がめつい奴(PART 1)
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デンマンさん。。。 質問があるのですけれど。。。
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日本語の質問ですか?
そうです。。。 上の演劇のタイトルはがめつい奴ということですけれど 「がめつい」というのはどういう意味ですか?
あれっ。。。 ジューンさんは、これまでに「がめつい」という言葉を聞いたことがないのォ~?
たぶん、聞いたことはあると思うのですけれど、意味も解らずに聞き流していたと思うのです。。。 たまたま上の演劇のクリップに出くわしたので、改めてデンマンさんに尋ねようと思ったわけです。。。
上のクリップを見れば意味が解るでしょう!?
一度観ましたけれど、よく聞き取れないのですわァ~。。。
どういう話なのですか?
この作品は、菊田一夫作の戯曲を基にして演じられたのですよ。。。 古い話だけれど、1959年度の芸術祭主催公演用に芸術座のために書き下ろされたのです。。。 戦後の演劇史においては初めてとなるロングラン公演となり、その記録は1983年に劇団四季が『キャッツ』を公演するまで破られることがなかった。
つまり、人気の演劇だったのですわねぇ~。。。で、どういう内容なのですか?
あらすじは『ウィキペディア』に書いてあります。
がめつい奴 (あらすじ)
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お鹿婆さんこと向山鹿は、釜ヶ崎で1泊60円の簡易旅館「釜ヶ谷荘」を営む一方で高利貸しも行っている。
よく深く抜け目のない性格は周辺の人々にも有名だが、戦災孤児のテコを引き取って育てる一面もある。
「釜ヶ谷荘」に定住している人々は多く、ポンコツ屋の熊吉と占い師のおたか、マッサージ師の圭子、鹿の娘である咲と共謀して美人局(つつもたせ)をしている「通天閣の雄」、ニコヨンの世話人である「播州の鉄」、麻薬屋の源さん、かつては女形の役者として活躍していた実川深之丞、千三つ屋の神田に加え、ホルモン料理の屋台を出している小山田初枝と絹の姉妹もいる。
かつて、小山田姉妹の父は「釜ヶ崎荘」周辺の土地を所有していたが、家族で疎開している間に、鹿を始めとする人々に勝手に使われてしまった。
妹の絹は鹿の息子の健太と親密な仲だが、姉の初枝は鹿から土地を取り返したいと強く望んでいる。
そんな初枝に熊吉がおたかの目を盗んで接近し、手を貸すと告げる。
戸惑いながらも初枝は熊吉の申し出を受け入れる。
そんなある日、鹿の亡くなった夫の弟だという彦八がやって来て、鹿が3000万を貯め込んでいることを知っていると暗にほのめかす。
土地を返すように頼み込んでもまともに取り合おうとしない鹿に、初枝は訴訟を起こすことを告げる。
そこに熊吉がやって来て、弁護士を料理屋に連れて来たから会おうと初枝を誘い、宿を出る。
初枝の体を奪うとともに土地の権利書を取り上げた熊吉は、次の日に健太たちに土地の売買を持ちかけるが、鹿に拒絶され、話はなかったこととなる。
熊吉が出て行った後に戻って来た初枝は、2人から権利書を売りに来たと教えられて驚き、熊吉を探しに出かける。
鹿が梅干しの瓶に入れてしまい込んでいた金を勘定していると、健太がやって来て、絹と結婚するから財産の半分をくれと頼み込む。
断る鹿ともめているうちに、健太は鹿の首を絞めてしまう。
騒ぎに驚いて集まった住人の1人である風船売りの「閣下」の人工呼吸によって事なきを得たところにテコがやって来て、自分の知らない男たちが「釜ヶ谷荘」を取り壊すと言っていたことを住人に告げる。
あわてて出て行った住人たちと入れ違いで入って来た彦八が鹿の金の入った瓶を探していると、テコに見つかってしまう。
彦八は、梅干しが好きだから800円で瓶を売ってくれと、テコに頼む。
本当に梅干しが好きなのかと念を押した上で、テコは彦八に梅干しの瓶を1つ渡す。
改めて彦八が瓶の中を確認すると、そこには金はなく、ただ梅干しが入っていた。
権利書を土建屋に売った熊吉がカフェーでホステスをからかっていると、初枝がやって来て権利書を返して欲しいと頼み込む。
馬鹿にする熊吉を初枝は隠し持っていたナイフで刺し、逃げる熊吉をなお追いかける。
一方、鹿と健太は、権利書を手にした土建屋の升金と土地の売買について話し合う。
熊吉が刺されたのを見た鹿は、土地を買う方が得だとわかっているものの、立ち退けば初枝と争うこともなくなり、絹も健太と幸せになれると考え、升金に立退き料を支払ってもらうことにする。
そして、亡くなった熊吉の身包みをはいで近所の空家に埋めた住人たちに立退き料を払った鹿は、絹を健太の嫁にもらいたいと、初枝に頼む。
警察に自首すると言う初枝に、絹は熊吉のような悪人は殺しても罪にならないと反対する。
しかし、初枝は普通の世間に出るためにはそう言う態度は通じないと諭し、さらにパン屋を営業していたこともあるおたかに、自分が出所したら一緒にパン屋をやろうと言う。
やがて「釜ヶ谷荘」は取り壊され、空地になる。
結局、鹿のもとから金を得られなかった彦八はやりたい事業も出来ず、大阪の千三つ屋から制裁を受け、そこを通りかかった鹿とテコにも邪険に扱われる。
簡易旅館の経営を辞めてからの鹿は、お金を貯め込んでいるにもかかわらず、テコと乞食を始めていた。
一方、健太と絹は玉3つを5人前にして売るうどん屋を始め、咲は雄と一緒に美人局を続けている。
出典: 「がめつい奴」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つまり、「がめつい」というのは、「よく深くて抜け目がない」ということですか?
そういうことです。。。 実は、「がめつい」というのは、上の作品を作った劇作家の菊田一夫の造語なのですよ。。。 「ごまかす」という意味の「ガメル」に「ツイ」をつけた形容詞なのです。。。 太平洋戦争前の広辞苑には掲載されてないのです。。。
「ごまかす」という意味の「ガメル」という動詞をデンマンさんは使ったことがあるのですか?
ありますよ。。。 子供の頃に、子供仲間では「騙して奪う」という意味で よく使われたものですよ。。。 おそらく、上の作品が人気が出て「ガメル」という動詞も使われるようになったのかも知れません。。。 僕は、子供の頃『がめつい奴』という演劇も、映画も見たことはないけれど、「がめつい」という言葉はよく使いました。。。
ついでですけれど、ホルモン料理の「ホルモン」は英語の"hormone"ですか?
たぶん、多くの人がそう思っているでしょうねぇ~。。。
違うのですか?
いろいろな説があるみたいですよ。。。 たまたま、バンクーバー市立図書館で借りていた本を読んでいたら次の箇所に出くわしましたよ。。。
辞書が嫌った「ホルモン焼き」
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ホルモン焼きと呼ばれる料理がある。
牛や豚の臓物を焼いた食べ物に、その名はあたえられている。
客には、小さく切った肉片を、串へさしてだすのが、基本形だとされてきた。 (略)
さて、『広辞苑』は代表的な国語辞典だとされている。
初めて出版されたのは、1955年であった。
だが、その初版は、「ホルモン焼き」という項目をのせていない。
もう、その名は、料理じたいも世にでまわっていたが、見おとしている。
あるいは、あえて黙殺をきめこんだという可能性もある。
いや、ことは初版だけにかぎらない。
その第2版(1969年)と補訂版(1976年)も、この言葉をひろわなかった。
『広辞苑』が収録へふみきったのは、ようやく第3版(1983年)になってからである。
岩波書店の『広辞苑』は、それだけおたかくとまっていたのだと、思われようか。
下世話な料理の名を辞書へおさめることに、はじめのうちはためらったのだ、と。(略)
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国語辞典はホルモン焼きを、なかなか国語としてみとめようとしなかった。
おりめただしい日本語だとは、考えなかったのである。
20世紀のはじめごろまでだと、牛や豚の臓物を食材につかうことは、なかったろう。
それらは肉料理に、まったくいかされず、すてられていた。
大阪弁風に言えば、みな「ほうるもん」=「放る物」だったのである。
ホルモン焼きという言葉の語源じたいが、この「ほるもん」だったとも言われている。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
132-133ページ 『大阪的』
「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた
著者: 井上章一
2019年1月20日 第4刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎
あらっ。。。 「ほうるもん」=「放る物」から「ホルモン焼き」が生まれたのですわねぇ~。。。 でも、これってぇ、信用していいのですか?
なんとなく、納得のゆくような説明になっているし、面白いから、この説を唱える人は多いですよ。。。
デンマンさんはどう思っているのですか?
あのねぇ~、英語のホルモンとも関係がありそうですよ。。。 というのも、栄養豊富な内臓を食べると、活力がつくと言う人は多い。。。 それに、ホルモン料理の名称は戦前からあったらしい。。。 戦前には、内臓料理に限らず、スタミナ料理一般、例えば、スッポン料理などもホルモン料理と呼ばれていたそうです。。。
つまり、栄養価が高い料理なので「ホルモン焼き」と呼んだのが始まりなのですか?
そう考える人も多い。。。 ホルモンは「放るもん」ではなく、明治維新の頃の西洋医学の影響を受け、栄養豊富で活力がつくから「ホルモン焼き」と名付けたのだと言うわけです。。。
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