愛と性の秘められた歴史
(bond017.gif)
萌えた恋の悲しい結末
(bond010.gif)
当子(まさこ)内親王は
長保3年(1001年)に
生まれました。
なんと、治安3年(1023年)に
22才の若さで亡くなっているのです。
しかし、短い命でしたが
波乱に満ちた愛と性の
悦びと苦悩に、その人生は
彩(いろど)られているのでした。
内親王は第67代三条天皇の
第一皇女でした。
寛弘8年(1011年)に
父親の三条天皇が即位すると、
翌年、内親王が11才の時に
斎宮(いつきのみや)に選ばれたのです。
満11才とはいえ、
既に匂いたつような美貌でした。
父・三条帝は当子内親王を
こよなく愛していたのでした。
それだけに、まだ幼い
内親王との別れが
死別するようにつらい。
三条帝は自らの手で
内親王の前髪に
『別れの小櫛』を挿したのでした。
しかし、帝は内親王との別れに
耐え切れず、
別れの儀式には
決して振り返ってはならない
という禁忌を破って、
振り向いて、内親王の姿を
もう一度見てしまったのです。
それ程別れがつらかったのでした。
このようにして、内親王は
13才で伊勢に旅立ちました。
しかし、彼女が15才の時に
三条天皇は譲位します。
そのため、内親王も慣例によって
斎宮の勤めを辞めて
1016年9月に帰京しました。
三条帝が目に入れても
痛くないほどの可愛い乙女でしたから、
何も無くそのまま平凡な余生が
待っているとも思えません。
やがて京の街に噂が
流れ始めたのです。
藤原道雅(ふじわらのみちまさ)が
前の斎宮・当子内親王と通じている。
人々は口伝に、
そのようにウワサし合ったのです。
道雅は道長の政敵だった
藤原伊周(ふじわらのこれちか)の息子です。
伊周は道長の兄・道隆の息子です。
今は失脚したとはいえ、
常に道長のキャリアを
脅かしてきた相手でした。
伊周の妹・定子は道長の娘・彰子と
一条帝の寵を争った“恋敵”です。
当代一の権力者・藤原道長の
目を恐れるならば、
藤原道雅は内親王にとって
最もふさわしくない相手でした。
運命は当子内親王に不幸の種を
宿したのかもしれません。
噂を聞いて父の三条院は激怒しました。
手引をした内親王の乳母(めのと)は
放逐され、
彼女の身辺の監視は厳しくなりました。
三条院は皇后や親王らの
とりなしも聞きいれずに
内親王を厳しく罰しようとしたのです。
しかし、憎しみは道雅に向かいました。
そのような訳で道雅には天皇から
勅勘が下りました。
つまり、天皇より勘当のお達しが
あったわけです。
すべての縁を切ると。。。
世間では
「伊勢物語の斎宮であればともかく、
この内親王は既に斎宮を
下りているのだから」
と同情する声もありました。
しかし、三条院は内親王を
目に入れても痛くないほど
可愛がっていただけに、
道雅を許す事が出来なかったのです。
内親王と道雅はその仲を
裂かれてしまったのでした。
心頼りにする道雅とは
もはや会う事も
文を通わす術もなく、
内親王はあれこれと心悩ませ
涙で袖を濡らす夜々を過ごしたのでした。
道長との関係も思わしくなく、
心痛が重なり健康が損なわれ、
眼病にも悩み、
やがて三条院は崩御しました。
内親王は16才の若さで
手ずから髪を下ろし、
出家したのです。
父を失い、
二度と道雅に会う事のないまま、
内親王は6年後の22才で
花の命を閉じたのでした。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(roses3.jpg+heartx.gif)
(manila05b.jpg)
デンマンさん、今日はずいぶんと悲しいお話をなさるのですわねぇ~?
(kato3.gif)
やっぱり、レンゲさんも悲しいと思いますか?
もちろんですわぁ。悲しすぎますわぁ~。
ほおゥ~。。。レンゲさんが涙ぐむなんて珍しいですねぇ~。。。鬼に涙。。。
んも~。。。デンマンさんは、あたしが血も涙も無い女だとおっしゃるのですかぁ~?
ち。。。ち。。。ちがいますよゥ~。。。決してそのような。。。タダねぇ~。。。レンゲさんが白いハンカチを取り出して目頭を押さえているところを見ると。。。ちょっとねぇ~。。。
ちょっと。。。なんですのォ~?
ちょっと芝居がかっていますよゥ。。。いつものレンゲさんならば、ここで、ガハハハハアぁ~~と笑うんですよゥ。
ど。。。どう。。。どうして。。。あたしが、一体どうして、このようにメチャ悲しいお話を聞いて笑うのですかぁ~?
だからぁ~、レンゲさんならばきっと言うと思いましたよォ~
言うって。。。何をですかぁ~?
だからねぇ~、今更、平安時代のそんな話を持ち出してきたところで、まともに涙など流す女など、今どき居ませんわぁ~。。。とねっ。。。レンゲさんならば、きっと、このように言うだろうと僕は思っていましたよゥ。
つまり、あたしには平安時代の奥ゆかしい愛など分からないと。。。デンマンさんは、そう思っていたのですか?
もちろん、レンゲさんならば理解できると思いますよゥ。タダ。。。ただ、僕が平安時代の話を持ち出すことに対して、レンゲさんは僕に激しい突込みを入れてくるだろうと思ったわけですよ。
あたしがどうして。。。どうして激しいツッコミを入れるのですかああぁ~?
だから、いつだってレンゲさんは言うじゃないですかぁ~。。。時代錯誤だってぇ~。。。
あたしが。。。あたしが、そのような事を言いましたぁ~?
ホラぁ~。。。また、そうやって都合が悪くなると忘れてしまうでしょう?。。。やだなあああ。。。
あたしはマジですわぁ~。本当にそのような事を言った覚えがありませんわ。
分かりましたよ。無駄な詮索はやめましょう。この記事が長くなるだけだからねぇ。。。それで、一体どういうところがレンゲさんの涙腺を緩(ゆる)ませてしまったのですか?
だから、22才の若い身空で花の命を散らしてしまったところですわぁ~。しかも。。。しかも、愛(いと)しい人と2度と会えないままで逝ってしまったなんてぇ~。。。なんだか、とっても悲しいですわぁ~
ところでねぇ~。。。レンゲさん。。。
何ですのォ~?
そのハンカチねぇ~
このハンカチがどうかしましたかぁ~?
ちょっと大きすぎるでしょう。。。? しかも、それって、さっきまで。。。ホラぁ~。。。そこの。。。そこのテーブルの上に敷いてあったテーブルクロスでしょう。。。?レースが多すぎますよゥ。僕はさっきから、このウェブカムを通して見ていたんですよ。
デンマンさん。。。んも~~。。。なんだっていいじゃありませんかぁ~?そのような事をこの場で言わなくってもいいじゃありませんかぁ~?デンマンさんは、あたしを世界のネット市民の皆様の前で、またコケにしたいのですかぁ?
とにかくねぇ~、こういう時には、花模様の可愛らしいハンカチで目頭をぬぐって欲しいのですよ。風呂敷のような大きなものを持ち出してきたら、誰だって気になりますよゥ~。
デンマンさんは。。。デンマンさんは。。。ハンカチのことを話したいのですか?それとも当子内親王の愛と性の秘められた歴史的事件を話したいのですか?どちらなのですかぁ~?
分かりました。。。分かりましたよ。。。また、記事が長くなると言いたいのでしょう?
分かっているのならば、どうでもいいハンカチの事など持ち出さないで下さいなぁ~。
うん、うん、うん。。。その通りですよ。それでねぇ、レンゲさんは22才の内親王が愛(いと)しい人と2度と会えないままで逝ってしまったぁ。。。と言ったけれど、レンゲさんも死にたい、死にたいと何度と無く言いましたよね?
それがどうだとおっしゃるのですか?
だから、確認したいのですよ。
不安と焦燥感と寂しさ
(sadgirl.gif)
2004/10/03 18:28
もう、このままで生きてるんなら、
命いりません。
ドナーカード持ってるから、
心臓でも角膜でも、
なんでも持っていって下さい。
家族はいません。
承諾とらなきゃいけない人は
誰もいません。
by レンゲ
(miroku3.jpg)
『事故死するみたいなことが書いてあって。。。』より
(classic.gif)
レンゲさんは、こうして何度も死にたいと思った。実際、こうして日記やブログに何度も同じ事を書きました。そうでしたよね?
デ。。。デン。。。デンマンさんは。。。、またこうしてあたしに悲しい時の事を思い出させるのですか?
違いますよ。僕はレンゲさんに悲しい時の事を思い出させるのではなくて、こうして命をもてあそぶ時の事を思い出して欲しいのですよ。
あたしが。。。あたしが。。。命を弄(もてあそ)んでいるとおっしゃるのですか?
そうですよ。境界性人格障害者は、よくこうして死にたいと言うのですよ。
デンマンさんは、死を弄ぶのが“ボダ”の特徴だとおっしゃるのですか?
そこまで断定するわけではないけれど、心に問題を抱えている人は、そうやって死を弄びながら同情を誘うような所がありますよ。例えばね、我が子の諒介ちゃんを殺してしまった美香さんも、そのようなところがあった。
死に向かって4時間
(dokuro3.gif)
「おめ、なんぼまた、神経たかりだな!」
(訳:あんたは、本当に神経が細かいね)
この「神経たかり」という方言を出して、
美香さんの事を説明してくれたのは、
彼女の一度めの入籍・男性Cさんの母親。
「美香さんが来たのは、
日中は毎日屋根の雪降ろしを
しなければならない季節でした。
私の夫は出稼ぎ中で、
息子は勤めに出ていたから、
昼間は美香さんと二人。
でも、あまり私のそばには
寄ってきませんでした。
美香さんはこちらで言う
『神経たかり』でした。
ストレスが溜まると、
カ-ッと爆発するという意味です。
それを発散させるためか、
美香さんはフラッと
いなくなることがよくありました。
何キロも離れた二つ下の集落まで
缶ジュースを買いに歩いていったり、
気がついたら産婦人科の病院に
入院していたということも二度ありました」
しかし、息子の嫁が知らないうちに
フラッといなくなって、
気がついたら産婦人科に入院していた
というのは、心配どころではないだろう。
家に爆弾を抱えているようなものである。
美香を案じたCさんの母親が
車の鍵を隠したら、
こんな出来事がおこったという。
「美香さんが二階の部屋で、
箪笥に向かって延々と
話しかけていたんです。
『オレなんか
死んでしまえばいいんだ』と。
実に4時間に及びました。
心配で部屋の外で見張っていました。
この時、初めて息子が
美香さんを叱ったんです。」
箪笥に向かって延々と
4時間話しかける嫁・・・
それも「死」という単語が
話しの中に入っている。
これはホラー映画より怖い。
今から十年前に
進藤美香が起こした事件も怖い。
1996年の5月15日の朝。
交際相手から別れ話を
切り出された美香さんは、
その日、立て続けに五箇所に
火を放ち逮捕されている。
20歳の時のこと。
「火をつければ
相手の気が引けると思った」
「焼身自殺を図って
相手を振り向かせるつもりだった」
犯行の動機をこう語ったという。
『4歳児殺害の進藤美香の怖さ』より
美香さんは間違いなく心を病んでいますよ。僕は美香さんも境界性人格障害を患っていたと見ていますよ。
確証があるのですか?
ありません。でもね、次の表を見れば、美香さんが該当する項目は一つや二つではないですよ。
【 境界性人格障害の判断基準 】
(manila92.gif)
■ 対人関係が不安定だ。
理想化とこき下ろしの
両極端を揺れ動く。
■ 衝動性が強い。
浪費、薬物乱用、過食、無謀運転、
見境なしのセックスなどに陥る。
衝動的に不倫に走ったりする。
■ 感情が不安定だ。
強い不快、イライラ、
不安などに悩まされる。
■ 自分ではコントロールできない
不適切なほどの強い怒りが起こる。
■ 自殺の振る舞いや
自傷行為などを繰り返す。
■ 自分自身に対するイメージが不安定。
自己同一性の顕著な混乱が見られる。
■ 慢性的な空虚感、退屈さがある。
■ 見捨てられる不安とそれを
避けようとする行為を繰り返す。
■ 妄想観念や解離性障害
(記憶喪失や現実感の喪失など)がある。
上の9つの項目のうち、5つ以上当てはまると
境界性人格障害と診断される可能性が高い。
美香さんの話を聞いて、この表を見れば5つ以上すぐに当てはめる事が出来ますよ。
つまり、あたしも美香さんも命を弄んでいるとデンマンさんは思っているのですね?
そうですよ。レンゲさんも美香さんも、その時には命を弄んでいると言う自覚は無かったかもしれない。でもね、死ぬ事など考えずに毎日毎日一生懸命生きている人の目には、レンゲさんの上の手記を読んでも、美香さんの上の話を聞いても、まるで命を弄んでいるように見えてくる。分かりますか?。。。僕の言おうとしていることが。。。
つまり、あたしは死ぬ事を考えていても、毎日毎日一生懸命生きていないとおっしゃるのですね?
僕はね、これまでに死にたいと思ったことがありませんよ。なぜだと思いますか?
なぜですか?
死ぬ思いを何度もしているからですよ。
たとえば。。。?
だから、僕はもう何度も書いていますよ。ブルックリンで、悪友が止せばいいのに馬鹿な事を言ったばっかりに、“キチガイに刃物!”で、相手が拳銃をポケットから出してぶっ放されて即死でしたよ。僕のすぐ目の前で起きた事です。僕はびっしょりと返り血を浴びて、次は僕の番かと観念しましたよ。
それで。。。他には。。。?
それで他にわってぇ。。。まだ僕の死にそうになった事を知りたいのですか?
ええ。。。参考のために。。。
だから前にも書いたでしょう?僕は野生の原野で死に直面しましたよ。
北極の原野での孤独
(nlight01.jpg)
本当に孤独になって寂しくなると、死ぬなんてことは全く頭から消えうせてしまうものですよ。むしろ本能的に生きようとするすさまじいまでの生に対する執着にとらわれるものですよ。
どういうことですか?
北極の原野に一人で置き去りにされた事を考えてみてくださいよ。寂しいなんて言っているどころじゃない。その瞬間から生きなければならない。腹をすかせたハスキー犬が牙をむいて襲い掛かる。グリスリー・ベアに出会えば、命はないと思わなければならない。
デンマンさんは、北極の原野に放り出された事でもあるのですか?
もちろん、ありませんよ。でも、僕の宿舎から5分も歩くと人の姿は見えませんでした。30分も歩いたら、そこは上の写真のような原野ですよ。野生化したハスキー犬が獲物を狙い、牙をむいて近づいてきますよ。
ハスキー犬って何ですか?
狼と犬の混血だと言われています。だから野生化したハスキー犬は人も襲いますよ。
怖いでしょう?
怖いなんてものじゃない。ハスキー犬の群れに襲われたら命がありませんよ。
それでハスキー犬に出会ったことでもあるのですか?
ありますよ。僕は2週間ほど休みをとって夏、北極の原野を歩きましたよ。せっかくイエローナイフに行ったのですからね。もう2度とそういう経験は出来ないと思いましたからね。
それで怖い思いをなさったのですか?
“怖い思い”と言っているうちは本当に怖くはないんですよ。
どういうことですか?
僕は“野生化する”という意味が初めて分かりましたよ。野生化するということは一口で言ってしまえば“死と隣り合わせ”で生きるということなんですよ。常にビクビクしていなければならない。感覚が研ぎ澄まされている。ライフルを背負っていないと安心していられない。
ライフルって、。。あの~。銃、。。。鉄砲のことですかあああ?
そうですよ。カップヌードルじゃないですよ。常に身を守る事を考えていますよ。ハスキー犬でもただの野犬でも、飛びかかって来る前にライフルを構えなければならないから、つねに辺りに気を配っていますよ。あんなに音に敏感になれるとは思ってもみませんでしたよ。葉っぱが擦れ合う音にさへ最初のうちはビクッとしましたよ。
それでどのような怖い思いをしたのですか?
夜でも横になっては寝られなかったですよ。
どのようにして眠るのですか?
座って寝るんです。とても横になって寝る気になれませんでしたよ。リュックを背にしてライフルを抱くようにしながら眠るんですよ。熟睡できない。1時間半から2時間おきに目が覚めますね。
それで。。。?
遠吠(とおぼ)えなんかが聞こえると実に嫌なものですよ。“お~い、獲物が居たぞォ~、みんなで襲おうじゃないかァ~~”そう仲間に呼びかけているように聞こえてくるんですよ。
それで。。。
よく西部劇で獣を寄せ付けないために一晩中火をたきながら眠るシーンがありました。でもね、あんな事は出来ませんでしたよ。
どうしてですか?
燃やす薪(たきぎ)がすぐになくなってしまうんですよ。上の写真で見るように森なんてありませんからね、潅木がチラホラ程度ですよ。燃やすものがなくなって火が消えて真っ暗になります。そういう時にオーロラが頭上を神秘的に踊っている。まさに踊っているようにサラサラ動いている。ゾォ~~とするような美しさですよ。でも、いつまでもボケーと見上げているわけにはゆかない。コソッとでも物音がしようものならすぐにライフルを引き寄せて構えますよ。最初のうちは、珍しいから撃ちたくってバンバン引き金を引きましたが、そのうち弾(たま)が減ってくるから、そうやたらに撃てなくなる。弾が無くなった時が僕の命が無くなる時ですよ。
それで。。。
最初の夜などは、かなりぶっ放しましたが5日ぐらい経つとライフルを撃つ事も面白くなくなる。それよりも弾の数が減ってくる事の方が心配になりますよ。
それで。。。
とにかく、近くにセブンイレブンはないんですよ。自動販売機もないんですよ。公衆電話もないんですよ。人っ子一人居ないんですよ。短波放送を聞く気になれば聞く事が出来ますが、ラジオなんかかけていたら、獣の物音が聞こえなくなる。ハスキーの群れに襲われたら、命は無いんですよ。耳を澄まして物音だけに神経を集中しますよ。そういう時には寂しいなんて気持ちにはならないものですよ。早く夜が終わってくれないか。そればかりを考えている。気を紛らせることができるのはオーロラを見上げる時ぐらいです。
それでどういう怖い事があったのですか?
1週間ぐらい経った頃ですかねぇ~。僕はもうやたらにライフルを撃たなくなりました。ある程度物音にも慣れてきました。“殺気”という言葉を聞いた事があるでしょう? 僕は初めてそういう経験をしましたよ。あれは、野生化した僕が本能的に感じたものだと思うんですよ。理屈ではどうにも説明できないんです。確かに物音を感じた。でも、それが獣だか潅木の葉っぱが擦れ合う音なのか?あまりはっきりしなかった。 とにかく“やばい”という胸騒(むなさわ)ぎがして僕はライフルを引き寄せてテントの入り口から外をソッとうかがった。
何が居たのですか?
目が2つ光って僕を見ているんですよ。ゾォ~としましたね。僕は引き金に手をかけていましたが撃つ気になれない。
それは何だったのですか?
おそらくハスキー犬か野犬でしょうね。瞬(まばた)きもせずに僕の方をジィ~と見ているんですよ。最初の夜だったら、僕は間違いなく、すぐにぶっ放していましたよ。でも、“殺気”はそれまでなんですよ。僕はもう怖さはない。すぐ撃てるからですよ。僕はブルックリンで人間の返り血を浴びた事があるから、結構そのような度胸はついている。“かかってくるなら来い、ぶっ放してやるだけだ!” そう思いながら僕も睨(にら)みつけましたよ。僕の目もおそらくオーロラの光を受けて光っていたでしょうね。僕には5分ぐらいに感じられたけれど、それ程長い間のことじゃなかったでしょう。とにかく、にらみ合いの挙句、その獣は諦めたようにクルッと身を翻(ひるがえ)すと帰っていきましたよ。
デンマンさんは撃たなかったのですか?
“殺気”が消えていたんですよ。喧嘩した後、さっぱりした気持ちになるでしょう。あの気持ちなんですよ。動物同士だって勝ち負けがついたら相手を殺さないものですよ。
それで、その夜はそれ以外には何もなかったのですか?
何もなかった。もうその獣はやって来ませんでしたよ。
それで、デンマンさんの寂しさって何ですか?
つまり、人間が野生に返って生きるなら、寂しさを感じている暇がないんですよ。僕はしみじみとそう感じたものですよ。そしてあの朝を迎えた時のなんとも言えない幸せな気分。僕はお日様に向かって感謝し、祈るような気分になりましたよ。
(pray03.gif)
“あああ。。。お日様さん、ありがとうございます。夕べも無事で命に別状はありませんでした。今夜もよろしくお願いします。どうか僕をお守りください” 朝日を浴びながら、実際そう思ったものですよ。レンゲさんに、この僕の伝えようとしている気持ちが分かりますかあああ?
『群衆の中の孤独!寂しくって死んでしまいたい』より
分かりましたわ。。。デンマンさんがおっしゃろうとしている事が。。。。
そうですか。。。分かってもらえましたか。
つまり、命を粗末にしてはいけないと言う事でしょう?
そうですよ。レンゲさんにだって分かっているんですよね。レンゲさんが当子(まさこ)内親王の話を聞いて涙がこみ上げてきたのは、何も22才で死ぬことはないじゃないか。。。生きていれば愛(いと)しい人に会えるかもしれないじゃないか。。。そういう無念な気持ちがレンゲさんにも感じ取れたからだと僕は思いますよ。
分かりますか?
その程度の事は僕にも分かりますよ。レンゲさんにだって悲しい思い出がありますからね。
禁断の園でレンゲさんが
坂田さんと秘め事をして知った悦び
(renge15.jpg)
レンゲさんにも16才の頃は、こうして可憐な乙女だったんですよね。
まだ高校1年生の女学生だった頃、レンゲさんは、初めて秘め事を経験した。
愛のない家庭で育ったレンゲさんは、心のよりどころがなくて、当時近所に住んでいた坂田さん夫婦の家に時々遊びに行っていた。
坂田さんも、レンゲさんの家庭の事情を良く知っていて、何かとレンゲさんのことを思いやり可愛がっていた。レンゲさんは、いつしか坂田さんに淡い恋を感じるようになっていた。
坂田さんは良い人だけれど、競馬競輪にハマッていて、そのことで妻の幸子さんと別居するようになった。レンゲさんは、そんなある晩、幼な妻のように坂田さんのために夕ご飯を作ってあげた。坂田さんにも何か感じるものがあったのかも知れませんよね。その晩、レンゲさんは坂田さんの腕に抱かれてハラハラ。。。、ワクワク。。。ドキドキしながら桜の花びらを散らした。。。
『性と愛の渇き』より
しかし、坂田さんとレンゲさんの恋愛事件は、レンゲさんが通っていた高等学校の職員室の中に衝撃を走らせたのですよ。ちょうど業平と斎宮の禁忌の愛が貴族社会に波紋を投げかけ、天皇の後継者争いにまで発展したように。。。レンゲさんの場合には、職員室の先生方に前代未聞の“女学生幼な妻事件”として取り上げられ、蜂の巣をつつくような騒ぎになってしまった。レンゲさんのお母さんにとって一生に一度の大事件だった。娘の不始末として職員室に詫びを入れる。でも、結局、学校は問題を抱えたまま、それがマスコミに漏れるのを恐れた。教育委員会に知れたら大変なことになる。“臭いものには蓋”で、レンゲさんを退学処分にして問題を処理してしまった。レンゲさんは、上の手記の中で“トラブルが起きるたびに、家族の溝は深まっていきました”と書いているけれど、この事件が最初の大きなトラブルだった。。。ですよね?
デンマンさんは、そうやってあたしと坂田さんの愛を非難しているのですわ。
違います。レンゲさんのオツムの中では純粋な愛であっても、職員室の先生方も、レンゲさんのお母さんも、そうは受け止めなかった、と言う事を僕は言っているのですよ。そして、その問題は、高校の職員室では片付いたことになっているけれど、レンゲさんとお母さんの間では、未だに持ち越されている。それ以外のトラブルも含めて、レンゲさんとお母さんの関係はこじれにこじれて、もう8年近くも会ってもいないし、電話で話したことも無い。。。ですよね?
そうやって。。。そうやって。。。また、デンマンさんは、あたしの古傷に塩を擦り込むのですわぁ~。
違いますよ。すでに坂田さんとの恋愛は、これ程の深い傷跡をレンゲさんとお母さんの心に残している。
『愛と性の密会』より
分かりますか、レンゲさん。。。?あなたが2004年10月3日に書いた上の手記では“命いりません”と書いている。午後6時半に書いた。その後で睡眠薬を多量に飲んで自殺を図っていたら、現在のレンゲさんは居ないと言う事ですよ。でも、レンゲさんは生きていたからこそ、坂田さんと再会する事が出来た。。。僕が、なぜ当子(まさこ)内親王の話を持ち出したのか?分かりますよね?
死んでしまっては愛(いと)しい人に会うことはできない。生きていれば会えるかもしれない。
そうですよ。レンゲさんは生きていた。だから坂田さんに会えた。そして、次のような愛と性の悦びを包み隠すことなく高らかに謳い上げたのですよ。
お願い、もう一度
抱きしめて
抱きしめて
(kiss350.gif)
2006/07/14
あなたとわたしは大きな広いベッドで
一日中愛しあった
甘い蓮華の花が咲く
広くて果てしないお花畑
それがあなたとわたしが
愛しあったベッド
ぬけるように青い空が
あなたとわたしが愛しあうのを
微笑を浮かべて見つめていた
祝福するように
うらやましそうに
楽しそうに
蓮華の花びらが敷き詰められた
肌ざわりのいいシーツと
柔らかなダウンが
いっぱい詰まっている
大きなまくら
朝から晩まで
あたなとわたしはベッドの中にいて
いっぱいキスして過ごした
ふたりはずっとわらっている
わたしはしあわせすぎて
時々泣いたりした
あなたはわたしの涙を
優しい唇で拭ってくれた
ああ、あなた...
いとしい人...
(kiss003.gif)
今のわたしの涙は嬉し涙
しあわせなメロディーが
この胸の中にとまらなくて
あなたの胸へと伝わってゆく
そしてわたしは
あなたのくちびるが
わたしのくちびるに
かさなる瞬間まで
じっと見つめていた
まぶたをとじて
じっくりと味わう
わたしの愛を
あなたのくちびるに差しだす
あなたは舌でからめとる
わたしの愛が
甘く透きとおって
あなたの舌のうえで
ゆっくりととけてゆく
あなたの愛は
甘露のようにわたしの心に
広がってゆく
あなたのくちびると
同じ味がする
わたしは全ての感覚で
あなたを愛しているから
わたしの全てが
あなたを恋しく思う
ああ、あなた...
いとしい人...
(wildrose.jpg)
わたしはあなたの腕の中で
生まれかわった
あなたはわたしの殻を破ってくれた
わたしはあなたの女になった...
あなたの愛がこの身体に
沁み透るように伝わってくる
その愛を全身に感じながら
わたしはもがき続けた
あなただけの女に生まれるために
わたしは苦悩する
そして強くなる
わたしは生まれかわった
あなたのために
ああ、あなた...
いとしい人...
あなたの全てがいとおしい
あなたのまぶたをくちびるで愛撫する
くちびるから全身にしびれるような
熱い波がひろがってゆく
狂おしいまでに
わたしはあなたの腕に抱きしめられて
身悶えた
わたしの思考を
空白にする甘美な衝撃
身を焼くようなあの歓喜
全身を打ち震わせるあの悦楽
女の芯をしびれさせる官能の疼き
あの悦びの瞬間を
わたしはあなたの愛の中で
あなたと溶けて一つになって
全身で感じていた
激しい歓喜の波が
押し寄せては引いてゆく
わたしはその悦びの波に
翻弄されながら
あなたの愛に耳を澄ませ
全身であなたの愛を感受して
あなたの腕に抱かれて
長い長い悦楽に酔いしれた
あなたがわたしをつつむやすらぎの光
おだやかな時がいつまでも流れてゆく
あなたにやっと出会い
そして愛し合う
(renge37.gif)
あんなに強く抱きしめた腕
ふたりは確かに結ばれて
身も心もとけあった
ああ、あなた ・ ・ ・
いとしい人 ・ ・ ・
あなただけが与えてくれた
あの至福
あなただけが教えてくれた
あの悦び
あなただけが癒してくれた
あの寂しさ
あなただけが満たしてくれた
あの虚しさ
ああ、あなた ・ ・ ・
いとしい人 ・ ・ ・
初めての出会いから
分かっていた
あの夜のしじまの中で
あなたと交わした愛が
とこしえに続くことを
愛している
あの朝、すべてが澄み切って
誰にもじゃまはできなかった
あなたとわたしは確かに結ばれて
身も心もとけあった
ああ、あなた ・ ・ ・
いとしい人 ・ ・ ・
お願い、もう一度抱きしめて
(linger62.gif)
by レンゲ
『お願い、もう一度抱きしめて』より
(water02.jpg)
分かるでしょう、レンゲさん。。。?うへへへへ。。。あの時死んでいたら、このようにして坂田さんと濡れ濡れにイクことは無かったのですよ。
デンマンさんは。。。デンマンさんは。。。またヤ~らしい笑いを浮かべて、あたしがエロい女だと。。。坂田さんとエッチに夢中になる女だと。。。そうやって晒そうとしているのですわぁ~。
ち。。。ち。。。違いますよゥ。僕は、レンゲさんがエロい女だなんて一言も言ってませんよ。
デンマンさんは。。。そうやって。。。自分で言わないで。。。あたしに言わせているんですってばああああ~。ヤ~ダ~~
初出: 2007年2月2日
(foolw.gif+funny3.gif)
【ここだけの話しですけれどね、レンゲさんはやっぱりエロい女にこだわっていますよねぇ~。エロい女だと思われたくない気持ちは分かりますが、少し、考え方を変える必要がありますよ。男と女の関係をいつまでも新鮮に長く保つ秘訣は、セックスを何度もすることではないんですよ。お互いにセクシーである事なんですよ。その意味で、レンゲさんは充分にセクシーな女なんですよ。でも、セクシーである事まで、レンゲさんはエロいと決め付けてしまうところがありますよね。あなたも、そう思いませんか?。。。とにかく、レンゲさんの話の続きは、ますます面白くなってゆきますよ。もっとレンゲさんのことが知りたいのなら、下にリンクを貼っておきましたからぜひ読んでくださいね。】
レンゲさんの愉快で面白い、そして悩み多いバンクーバーの日々は
次のリンクをクリックして読んでください。
(oniel05.jpg)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます