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小柴垣草子(PART 2)

2015-09-29 12:40:09 | 日本人・日本文化・文学論・日本語



 

小柴垣草子(PART 2)




(goshirakawa.jpg)

平安時代の末期である院政期には「日本で一番前衛的な天皇様」である後白河上皇が大活躍をして、絵巻物の黄金時代を現出させた。

(中略)

日本の国宝級の絵巻物を続々と生み出した日本最大の文化プロデューサーである後白河上皇は、ポルノというものが嫌いだったのだろうか?---ということになると、そんなことはない。
彼はちゃんと、ポルノグラフィーの制作に関与している(らしい)のだ。
男女---あるいは人間同士の性交渉を描写した(たぶん)日本で最初の絵巻物《小柴垣草子絵巻》の詞書(ことばがき)は、後白河上皇が直接書いたのだといわれている。
彼はちゃんと、やっている(らしい)のだ。

 (中略)

平安時代には、賀茂神社と伊勢神宮という二つの大きな神社の神に仕える、“斎院”“斎宮”と呼ばれる特別な未婚の女性がいた。
“特別”というのは、この女性たちが内親王をはじめとする皇族の娘たちだったからだ。
“神の花嫁”となって、斎院は京都の賀茂神社へ、斎宮は伊勢神宮へと出向いていった。
彼女たちは当然“未婚の処女”でなければならないし、神に仕える間に男との交渉を持ってはならない。
がしかし、その神聖な処女である伊勢の斎宮が、ある時警護の男性と密通をしてしまった。
大スキャンダルになって、彼女は斎宮の地位を下ろされて出家させられてしまうのだが、《小柴垣草子絵巻》は、その“歴史上の大事件”を題材にした絵巻物なのである。

 (中略)

986年の夏、やがては伊勢に下ってゆくことになる斎宮・済子(さいし)は、京都の野の宮で、身を清めるための潔斎に時を過ごしていた。
決して男を近づけてはならない斎宮を守るために身辺警護の男達がいて、その中に平致光(むねみつ)という武士がいた。
《小柴垣草子絵巻》の詞書によれば、「この男を御簾の間からご覧になった斎宮はポーッとなってしまった」のである。

ポーッとなってしまった斎宮は、夜になって、その致光が庭の小柴垣のそばで横になっているのを発見した。
身辺警護の武士たちが夜勤の時にいつもそうするように、致光も庭の垣根のそばで寝ていたのである。
ポーッとなった斎宮は、御簾から出て、その男を誘惑してしまった。


(shibagaki4c.jpg)

赤字はデンマンが協調のため。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより。)




168ページ 『ひらがな日本美術氏2』
著者: 橋本治
1997年8月25日 第1刷発行
発行所: 株式会社 新潮社




なるほど。。。 なるほど。。。 うふふふふふ。。。 神聖な処女である伊勢の斎宮が 庭の垣根のそばで寝ていた平致光(むねみつ)さんを見て ポーッとなってぇ、御簾から出て誘惑してしまったのですわねぇ~。。。 とっても。。。、とっても。。。、積極的なのですわねぇ~。。。 うふふふふふ。。。



卑弥子さん。。。 あまり興奮しないでくださいよ。。。 鼻息が荒くなってきましたよ。。。

つまり、平安時代の女性は性的に積極的だったのでござ~ますか?

それは僕よりも京都の女子大学で“腐女子”たちに「日本文化と源氏物語」を講義している卑弥子さんの方がよく知っているでしょう!? 次のような話も源氏物語にはあるじゃありませんか!


好色な老女官(ろうにょかん)をめぐる

恋のさやあて



(seisho05.gif)

頭の中将は「源氏に、自分だと気づかないうちに、ここを抜け出そう」と、無言のまま、怒り狂ったふりをして、太刀を抜くと、源の典侍(げんのないしのすけ)は「あなた様、あなた様。どうかお助けを」と、中将に向かって手をすり合わせるので、もう少しで吹き出すところだった。

典侍(ないしのすけ)は、色っぽく若作りしているので、うわべは何とか見られるが、57、8歳の女がだらしない姿でうろたえて、しかも二十歳(はたち)の若者たちの間で震えているのは、なんともぶざまだ。

頭の中将は、別人をよそおい、恐喝(きょうかつ)するふりを演じて見せたが、源氏はかえって目ざとく見抜いてしまった。

「自分と知ってわざとやったんだ」と気づくと、ばかばかしくなった。

「頭の中将だな」とわかると、おかしくてたまらず、太刀を握った腕を捕らえて、ぎゅっとつねった。

中将のほうも、見破られてしゃくに障るものの、我慢しきれず、吹き出してしまった。

(pp.86-87)


頭の中将が、源氏と老女官の寝ている部屋に忍びこみ、屏風(びょうぶ)をがたつかせて脅(おど)す場面である。
『源氏物語』の滑稽譚(こっけいたん)の最たるものだ。

女性は、早いと30代で床離れするのが、当時の夫婦生活である。
当然、この老女官は淫乱症として、徹底的に嘲笑されることになる。




源の典侍(げんのないしのすけ)は

紫式部の兄嫁か?


源の典侍は、50半ばの好色な老女として描かれている。
徹底的に戯画化して描かれ、彼女の登場は笑いを誘わずにはおかない。

ところが、この源の典侍にはモデルがあって、なんと、作者紫式部の兄嫁だというから驚く。
当時の公家日記に照合すると、確かに源明子という典侍が実在し、年齢も同じ50半ばだという。

しかも、『源氏物語』の評判を恥じて、辞表まで出したと推測されている。
もし事実ならば、紫式部という小姑(こじゅうと)の底意地の悪さは相当なものだ。
もっとも、事の真相は不明だが。

(pp.88-89)





『愛の形』より
(2009年6月6日)




卑弥子さんの専門の源氏物語にも 57、8歳の大年増(おおどしま)の好色な女官が出てくるのですよ。。。 でしょう!?



好色な大年増なら分からないことでもござ~ませんわァ。。。 でも、花も恥らう10代の女性で積極的なのは どうかと思いますわァ~。。。

あのねぇ~、年に関係なく、人間というものは性に関心を持つものなのですよ。。。 卑弥子さんだって10代の頃に性に関心を持ったでしょう!?

それは。。。 それは。。。 少しは。。。

少しどころじゃないでしょう! 10代の頃に性に関心を持ったので卑弥子さんは源氏物語を読み始めたのですよ!。。。 そうでしょう!?

デンマンさん! んもおおおォ~。。。 そのようなことをネット市民の皆様の前でバラさないで欲しいのでござ~ますわァ~。。。

とにかく、後白河上皇も好色な上皇だったのですよ。。。 だから、次のように書いている。



(shibagaki7.jpg)

御髪(おぐし)はいと心くるしくこぼれかかりて、また、黒くにくさげなるところ、月の影にほのばかり見ゆる心まどひ、言はんかたなし。




(現代語訳)

長い髪は痛ましげにこぼれかかって、黒くてちょっとヤバいところが、月の光でかすかにセクシーに見えてドキドキしてしまうところは、もうなんとも言えないのだよ。




上の写真はぼんやりしてよく解りまへんけど、誘惑された平致光(むねみつ)さんが斎宮の「黒くてちょっとヤバいところ」を見つめているところなのでござ~ますかァ~?



そうですよ。。。 その気持ちが僕にも伝わってきますよ。 うししししし。。。

そのように下卑た笑いを浮かべないでくださいましなァ~。。。 要するに、男性が喜ぶポルノですわねぇ~。。。

あのねぇ~、平安時代は性に対しておおらかな考え方を持っていたのですよ。 だから、現在のように隠れてコソコソとポルノを見るような雰囲気はなかった。 語弊があるかもしれへんけど、現在と比べれば、フリーセックスの時代だった。 そういうわけで、ポルノの需要がほとんどなかった。

でも、後白河上皇が性交渉を描写した(たぶん)日本で最初の絵巻物《小柴垣草子絵巻》の詞書(ことばがき)を書いたのでしょう!? ポルノの需要がなかったら、そのような事は書かないでしょうに。。。

あのねぇ~、卑弥子さんも知ってのとおり、平安時代には性に対するタブーは現在から比べれば極めて少なかった。 しかし、その少ない中のタブーが“斎院”と“斎宮”にまとわりついていた。

つまり、“斎院”と“斎宮”と呼ばれる女性は“未婚の処女”でなければならないし、神に仕える間に男との交渉を持ってはならないということですか?

そうですよ。。。 だから、当然、このタブーに男たちの関心が注がれる。 《小柴垣草子絵巻》という絵巻は、そのタブーを犯した事件があったから、男たちの関心が集まったというわけですよ。 原本は失われて、現在に伝わってない。 だけど、何度となく模写したらしく、そのコピーが現代に伝わっている。

要するに性的タブーがあって初めてポルノが生まれたと、デンマンさんは考えているのでござ~ますか?

それが大きな理由の一つだと思いますよ。 つまり、タブーを犯したという事実は、いつの時代にも、その当時の社会に衝撃を走らせる。 社会に波紋を広げてゆく。 その波紋が好奇心をくすぐって《小柴垣草子絵巻》という絵巻が出現したと思うのですよ。

斎宮・済子(さいし)と平致光(むねみつ)の密通事件は、それほどの波紋を投げかけたのでござ~ましょうか?

あのねぇ~、平安時代の性的におおらかな時代に、“斎院”と“斎宮”に厳しい“戒律”を押し付けることがそもそも不自然なのですよ。。。 だから、当然それを破る女性が出てきても不思議じゃない。。。 だから、この話は現代まで語り継がれているのですよ。



(laugh16.gif)





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