欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

『天皇陛下もお泊まりになる』…『奈良ホテル』の話!

2014年05月06日 09時30分33秒 | 建築のうんちく



『日本の富国強兵、近代化路線から、奈良ホテルは誕生した!』




皆さんは、「奈良ホテル」をご存知でしょうか?

和洋折衷のそのホテルは、長い歴史を重ねています。


最近では、「秋篠宮」が、ご宿泊されるので有名です。



今回は、この「奈良ホテル」の鑑賞の壷を、書かせて頂きます。

…まず、外観から…

 
 

外観は、如何にも日本建築と言う感じなのですが、外側に見える木造

の柱等は、「建築構造に関係無い」ツケ柱です。

つまり、見かけだけの柱です!



ロビーの外側にある、突き出した、ポーチも独特です。

如何にも、和風な感じがします。



戦後、アメリカ軍に接収されて居た頃は、この入り口付近に、「大砲」

が二門置かれて居たそうです。


アメリカ軍が接収直後に、建物全てを、米兵が「白ペンキ」で塗ろうとした

のを、当時の支配人が、「土下座」して、必死にとめた逸話も残って居ます。




…中に入ってみましょう…

そこには、二階まで吹き抜けになった、「ロビー」があります。

よく見ると、「昔、使われて居た暖炉」までありますが、どこか、変なのです。

デザインが、神社の鳥居をイメージした、「何とも奇妙な意匠」です。



…入って右手には、ちょっと、広い部屋があります…

そこは、旅人が休憩したり、一旦、身支度する為の部屋です。

この辺りも、如何にもヨーロッパの文化を先取りした感じがします。


その、部屋の、壁際に置かれた、一台の「アップライトピアノ」に注目して

ください。

そのピアノは、何と、あの「アインシュタイン博士」が、モーツアルトの

ピアノ曲を演奏したピアノです。

 



本当は、触ってはいけないのですが…

どうしても、アインシュタイン先生が演奏したピアノに触れたくて、ホテルの

従業員が誰も居ないのを、確認してから、触っちゃいました^^




…さて、「アインシュタインのピアノ」の真後ろの「窓」にご注目下さい…

「窓ガラス」から見える外の景色が、「ユラユラ」と見えませんか?

これ、「昔のガラス」です!


昔は、平らなガラスを作れなくて、表面が微妙に凸凹なのです。

このガラスを通してみる「サクラの花」は、美しいそうです!




…吹き抜けの中にある「階段」を上ってみましょう…

そこには、大きなサイズの「日本画」が沢山かけられています。

ちょっとした、「美術館」みたいです。


椅子やテーブルもありますから、ここで、ぼーっと、絵を眺めるのも

良いかもしれません。





…ここからは、客室で、宿泊客以外は、入れませんが…

奥には、客室が並んで居ます。


廊下には、「つるはし」が常備してあります。

これは、火災等の時に、ドアや、壁を壊して、「お客様を救出」する

為のものですが、今まで使った事は、無いそうです。



さて、いよいよ、天皇陛下もご宿泊される「ロイヤルスウィート」に入って

みます。


御部屋は、決して、広くはありません。

中に入ると、「暖炉」がありますが、現在は使われていません。


大正天皇が、この「奈良ホテル」にお泊まりになる時に、お体の弱い天皇が

呼吸器を痛められない様に、「スチーム暖房」に変更したと聞きます。


その為、御部屋には、「スチーム」の放熱器が、むき出しになっています。

この形が、何ともクラシックで、趣があります!




実は、この「ロイヤルスウィート」は、一般の人でも、宿泊可能です。

是非、皆さんも、一度、『日本のクラシックホテル』を堪能してください!


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