読む日々

テーマばらばらの読書日記

繭と絆

2015-11-29 | 
植松三十里「繭と絆」




世界遺産にもなった「富岡製糸場」。初代場長・尾高惇忠と、14才で第一号工女となった尾高の長女・勇の奮闘記。

たくさん集まるであろうと踏んでいた工女がまったく集まらない。理由は、技術を教えに来ているフランス人が飲む赤ワインが「若い娘の生き血である」と信じられていたから。
それを払しょくするためにわが娘を入社させる。
勇は間もなく嫁入りするはずだったのに。

許嫁は「待つ」と言ってくれた。そして父と二人、工女を集めに群馬県・埼玉県の養蚕がさかんな地を周り娘たちを勧誘。昔大奥に勤めていた中年女性・照を監視係に、大奥のようにそこへ勤めたらステイタスとなるような工場作りを開始する。

製糸場って「あゝ野麦峠」のイメージが強すぎて劣悪非道なところだと信じていたけど、ここは尾高の人柄もあるし、貧しい家の娘ではなく裕福な養蚕農家の娘中心、フランス人も常駐するハイカラでおしゃれな場所でした。もちろん仕事はハードですが。

照の孫、敬や、最初は意地悪で高飛車だった貴美との友情もいい感じ。

父の幕末の辛い体験や、叔父の渋沢栄一の活躍や、歴史的にも読みどころ満載。
とても面白かったし、ラストはハッピーエンドでよかった。

敬と貴美の決断が勇ましいし憧れる。

これはいい本です。

満足度100