読む日々

テーマばらばらの読書日記

雪つもりし朝

2017-11-24 | 小説・近代
植松三十里「雪つもりし朝 二・二六の人々」



2・26事件に関わった5人の人々のその日とその後。みんな少しずつ繋がってる感じ。先に出てきた人のその後が次の人でわかったり、とかそんな感じ。

義弟が身代わりになった岡田首相→その岡田から終戦時の首相を請われる、事件当日は妻のお陰で一命を取り止めた鈴木貫太郎侍従長→その鈴木貫太郎の妻、タカが教育係りを務め彼女を母同然に慕った秩父宮。同じく彼女を母と慕う兄、昭和天皇の怒りの凄まじさもわかる。可愛がった後輩が鈴木貫太郎を襲ったと知り困惑。→安保締結の首相、吉田茂の娘、麻生和子。当日は祖父の別荘にいて、祖父を庇いつつ難を逃れる。戦後は父を支えて生きる。→訳もわからず決起部隊の所属だった、ゴジラの監督の本多猪四郎。

どれも視点が襲われるがわであり、その体験を踏まえての、大戦、戦後の姿が描かれていてとっても感じるところがありました。
個人的には麻生和子さんが幼子を残して働き続け、安保締結後に帰国し、待ち続けた息子、太郎くん(麻生元首相ですね)の様子に涙が出ました。基本的に母と息子の話に弱い(^-^;

決起部隊が、秩父宮が味方してくれると思い込んでいた様子がわかりましたし、この事件を期に陸軍の派閥の均衡が崩れ、日米開戦に向かっていったのだ、とわかり、何とか避けられなかったのか、ということと、終戦を実現させるための苦労もわかりました。原爆落ちる前に何とかならなかったのか、と思っていたけど、終戦失敗したら冗談抜きで総玉砕か植民地だったのかも、と思うと恐ろしい。

なんだかさらにこの事件について知りたくなってきたかも。

どうしようもない時代のうねり、
も、あるんでしょうけれど。

満足度100



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