さりげない日常生活から離れ、
山という他界の中で巡拝をして
山岳修験の行に入り、
また戻ってくるという熊野への参詣は、
1000年以上もの歴史を越えて続けられてきた。
これまで多くの人が熊野を目指し
歩き続けてきただろう。
doironも2013年の春に
大阪八軒家浜から折々に歩き始めて、
途中命を失いそうになりながらも、
ここまで3年を費やしている。
普通に熱心にひたすら歩けば
1週間もかからない距離なのかもしれないが、
少しずついろんなことを
勉強しながら歩き続けてきたおかげで、
歩くことの楽しさを、
そして何よりも生きることの大切さを
これまで以上に実感できるようになったと思っている。
もちろんその間、
こんなあやふやな命を持つ身としては、
いろんな人のお世話になったことも
忘れられないことのひとつだ。
そんなdoironの熊野詣でも、
紀伊路を経て田辺からの中辺路も歩き、
ついに熊野の聖域と言われる
滝尻王子までたどり着いた。
ブログではその歩きを一話ずつ書き、
ここまでにつづった物語も
全部で136話となっている。
まだまだ内容的には
幼稚なことばかりしか書けないけど、
書き始めたころに比べたら、
少しは知識も身についたと
自分でも思うことにしている。
だから前半部分をもう一度ここで書け
と言われたら、内容はかなり異なるにちがいない。
まあ、そういう歴史もまた
一つの自分の変遷として、
なかなか思いで深いものになったと
自己満足的に思っている。
そんなdoironの熊野詣でも
ここからはいよいよ
「初入御山内」
と言われる神域への入り口を迎えたわけだ。
そこにはどんな楽しいことがあったのか、
そして心動かされるものが何かあったのか。
それではまた新たなストーリー
「熊野古道 聖地の鼓動」シリーズを
始めることにしよう。
まず、今回の動きとしては、
熊野古道滝尻王子まで車で行き、
熊野古道館の駐車場に車を止める。
そこから古道を歩いていき、
牛馬童子口までついたところで
バスに乗って戻ってくる
という方法を取った。
ここが、熊野古道館駐車場である。
古道ウォークなどの人は
ここに止めてくださいと親切に案内まである。
さあ、ナビをセットして歩き始めよう。
ここが熊野本宮や速玉宮、那智とめぐる
約100キロの聖域旅の支店となるのだ。
ここが前回の終点となった「滝尻王子」。
前回紹介していなかったこれは休憩所。
「熊野曼陀羅 第11番」と紹介しています。
そしてこれが、この滝尻から始まる
手押しスタンプの1番です。
このスタンプの横を通り過ぎて
奥に入っていき、標識に沿って
右の山へと登っていきます。
その入り口にあった看板がこれ。
「ふーむなるほど。ここは少しきついんだあ」
と思いながら登り始めましたが、
実はそれがもうこのたびの普通の始まりでした。
ここまでの熊野古道のことを考えると、
まあ、きついのぼりと言っても
そこを越えたらまた街があって、
しばらく平地が続いてから
また昇っていくといった状態を
繰り返すんだと思っていたのです。
ところが、「ここからは古道は山道となる」
と地図にも書かれているように、
舗装路はほとんどなく、
未舗装の山の道となって続いていくのでした。
ウヒャー、結構きついじゃないか。
doironの心臓は大丈夫なのか?
脳は生きているのか?
水分をしっかりととりたまに手を握り返して、
しびれが出ていないかなども確認しつつ、
じっくりと登っていきます。
これが、岩を抱いたケヤキです。
明治22年の水害の影響なんだそうです。
へえ~こんな高いところまでとはね~
と驚きつつ旅は続きます。