ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「あふれた愛」 天童 荒太 2015.10.1読了!

2015年10月02日 15時29分40秒 | 作家 た行
あふれた愛 (集英社文庫) 2015.10.1読了
天童 荒太 (著)

ささやかでありふれた日々の中で、たとえどんなに愛し合っていても、人は知らずにすれ違い、お互いを追いつめ、傷つけてしまうものなのか…。夫婦、親子、恋人たち。純粋であるがゆえにさまざまな苦しみを抱え、居場所を見失って、うまく生きていくことができない―そんな人々の魂に訪れる淡い希望を、やさしくつつみこむように描く四つの物語。天童荒太の本質がつまった珠玉の作品集。



「とりあえず愛」「うつろな恋人」「やすらぎの香り」「喪われゆく君に」の4編からなる短編集。ちょっと、読みながら胸がつかえるような気持ちになる。読んでいてつらくなる話もある。人は弱いんだけど、人の弱さや、痛みがわかるようにならないと、本当は相手を思いやれないんだなって思ったよ。

とりあえず愛は、自分勝手な夫が離婚届を突きつけられる。でも夫には理解できない。(だから、妻の気持ちがわかってなかったんだって、いつも自分のことばかりで…)。でもなんか最期はやさしい結末。(ま、どうなるかわからんけど)。

うつろな恋人は、自分のことしか考えてない中年男でてくる。(そんなんばっかだな)。精神を病み自分の作り出した幻想のなかで生きている女の子に惚れるんだけど彼女の妄想を壊しちゃうんだよね。(自分を相手にしてくれないから)

やすらぎの香りは、これも病んでる系のお話なんだけど、親の抑圧から精神に異常をきたす子どもたちは多いと聞くが、この物語の主人公の二人もそんな感じで、療養中。二人は出会いお互いをパートナーと必要とし、二人で自立の道を模索していく。

喪われゆく君には、身近な人が死んで自分の存在感も無くしていく人と、そのひととかかわりを持つことで、ひとつ人間として成長していく男の話。
どれもよかったよ。(好きなのは「やすらぎの香り」)…8点。

「竜の柩」(1) 高橋 克彦 読了!

2015年05月28日 16時55分50秒 | 作家 た行
「竜の柩」(1) [講談社文庫] 高橋 克彦 (著)  2015.5.17読了 。

龍神伝説を追うために津軽、信濃、出雲と列島縦断して調査を進める九鬼虹人たちアクト・ナインのメンバー。『古事記』『日本書紀』や風土記に残る寓話や神話を読み解く九鬼は、独自の論理的考察で、仮説を実証し真実に辿り着く。龍=ロケット、神=エイリアン。著者にしか辿り着けない圧倒的スケールの傑作

まあ、面白いには面白いんだけど、なんとも荒唐無稽な話になちゃってんだよな。これ6巻まであるんですが、これを6冊読ませるだけの、説得力が欲しい。俺は1冊読めば十分かなと思った。やっぱ、話に無理があるよって思いながら、6冊読めないよな。…6点。

「隣室のモーツアルト」 藤堂 志津子 読了!

2014年12月12日 14時43分10秒 | 作家 た行
「隣室のモーツアルト」 [文春文庫] 藤堂 志津子 (著)  2014.12.8読了 。

食道がんの手術のために入院した51歳の多花子。それは、半身不随の母をひとりで介護する暮らしの中で得たつかのまの休息だったが、隣の病室に昔の男がいることに気づいて…いくつもの人間模様を見届け、後半生をあるがままに受けとめ生きる女性の覚悟としなやかさ。不思議な迫力に満ちた傑作短編集。


まあ、こういうちょっといやな感じの小説、リアル感があってわりと好きなんだ。
かわいた感じだよね。…6点

「うなぎ鬼」 高田 侑 読了!

2014年10月30日 14時40分13秒 | 作家 た行
「うなぎ鬼」[角川ホラー文庫] 高田 侑 (著)  2014.10.13読了 。

借金で首が回らなくなった勝は、強面を見込まれ、取り立て会社に身請けされる。社長の千脇は「殺しだけはさせない」と断言するが、どこか得体が知れない。ある日、勝は社長から黒牟という寂れた街の鰻の養殖場まで、60kg相当の荷を運べと指示される。中身は決して「知りたがるな、聞きたがるな」。つまり、それは一体―?忌まわしい疑念と恐怖。次第に勝の心は暴走を始め…。いまだかつてない暗黒の超弩級ホラー、登場。


怖いですよ。怖い。暗黒の世界と、日本の裏社会、やくざのシノギ、そこに+都市伝説(?)的な。…7点

「汚れた檻」 高田 侑 読了!

2014年10月07日 17時09分50秒 | 作家 た行
「汚れた檻」[角川ホラー文庫] 高田 侑 (著)  2014.9.15読了 。

小さなプレス工場での単調な作業と上司の嫌がらせに鬱屈していた29歳の一郎は、偶然再会した友人・牛木の会社で、高級犬の販売を手伝うことに。だがやくざのような牛木の父、我が物顔で家にあがりこむ作業員たち―怪しいことだらけの状況に、一郎は不安をつのらせていく。噂では、牛木と親しくなった者は皆、死んだり家屋敷を取られたりの不幸に見舞われているらしい―。これは地獄の始まりなのか!?奈落のリアルホラー。 。


ホラーなんだろうか? なんか犯罪小説だよね、まあ怖いけどね。
結局、一番怖いのは、霊的なものより人だよね。いっちゃってる人はほんと何より怖い。
あとどうも主人公に感情移入できない。…6点

「旅のラゴス」 筒井 康隆 読了!

2014年09月05日 20時31分38秒 | 作家 た行
「旅のラゴス」[新潮文庫] 筒井 康隆 (著)  2014.8.22読了 。

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。


前から、読もう読もうと思っていてなかなか読まなかった作品。読んでよかった。
なんだろな言葉では言い表せない読後感。人生を垣間見たような、長い旅をしたような。薄い本なのにちょっと疲れた感じ。
この主人公にとって生きるということは、いろいろな経験を重ねることであり、それは旅なんだろうな。こんな一文がこの本の終わりに出てくる…
「わたしは、そもそもがひとつ処にとどまっていられる人間ではなかった。だがら旅を続けた。それ故にこそいろんな経験を重ねた。旅の目的はなんであってもよかったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生と同じようにね。」
やはり、生きるということは、死ぬことなんだよな…8点。

「如菩薩団―ピカレスク短篇集」 筒井 康隆  読了!

2014年08月11日 17時19分39秒 | 作家 た行
「如菩薩団―ピカレスク短篇集」 [角川文庫] 筒井 康隆 (著)  2014.8.3読了 。

上品で慎ましい主婦ばかりの盗賊団が高級住宅街のマダムから盗むものは?
上品でインテリだがつましい生活を強いられる団地の主婦たちが、連れだって高級住宅街にやって来た。そう、彼女たちこそ、最近世間を騒がせる女盗賊団だったのだ。悪逆非道な物語ばかりが並ぶとんでもない短篇集!

東京都民三百万人を殺害…したかもしれない男の言語道断。神も仏もない闘争が生んだ無慈悲。知性あふれるマダムの上品な極悪非道。文学のために私小説作家が敢行する落花狼藉。老いた生命の祝祭が暴走する破廉恥。―最凶の悪漢たちによるあまりにも過激な作品の数々。だが、どこかかわいげのある登場人物たち、ちょっとあなたに似ていなくもありませんか?新発掘短篇「傍観者」も収録。

筒井/康隆
1934年大阪生まれ。同志社大学文学部卒業。主な作品に『虚人たち』(泉鏡花文学賞)『夢の木坂分岐点』(谷崎潤一郎賞)『朝のガスパール』(日本SF大賞)『ヨッパ谷への降下』(川端康成文学賞)『わたしのグランパ』(読売文学賞)などがある。映画、演劇、テレビドラマなどにも出演、役者としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


短編集です。しかも、12編も収録されています。(別にお得感があるわけじゃないんですが)「コレラ」、「神様と仏さま」、「死にかた」、「小説「私小説」」、「如菩薩団」、「傍観者」、「ケンタウルスの殺人」、「断末魔酔狂地獄」、「三人娘」、「ながい話」、「村井長庵」、「わが愛の税務署」
なんだけど、なんだろな、おもしろいとか、おもしろくないとか以前に、この手の筒井康隆さんを受け入れるかどうかだよね。
だって、「神様と仏さま」なんて、些細なことで、神様と仏さまがいがみあい、腹いせに双方が人間どもに八つ当たりした、みたいなお話ですよ。困りましたね。
「死にかた」なんて株式会社なにがしなんてちゃんとした会社のある課に鬼が突然やってきて、その課の人間をひとりづつ、20人位だったかな、一人残らず頭を金棒で殴りつぶすってお話ですよ。頭蓋骨陥没したり、飛び散ったり、脳漿がばらまかれたり、脳みそふっとんだりですよ。どうしたらいいんですかね。
おもしろかったのは表題作の「如菩薩団」かな。でもな…4点。

「飛水」 高樹 のぶ子 読了!

2014年06月10日 20時41分15秒 | 作家 た行
「飛水」[講談社文庫] 高樹 のぶ子 (著)  2014.6.1読了 。

家庭がありながら運命的な出会いをした女と男。一緒に暮らす約束をした翌日、災難事故で逝ってしまった男への思い。奇蹟の恋愛小説。
夫のいる身ながら、わたしは知り合いの葬儀で出逢った妻子ある男からの強引とも言える告白に心惹かれる。その不器用なほど真っ直ぐな人柄に、ますます思いは募っていくが…。一緒に暮らす約束までした二人の、長い時を経ての逢瀬には、ずっと胸に秘めていた痛切な思いがあった。深く心に響く恋愛小説。


なんか途中からあれあれおかしいぞっと。
ああ、そっか、そういうことだったのね。
途中不覚にも涙する。こういう、長い時間、その人をずーっと愛し続けるってことが奇跡だよな。おれ、弱いんだ結構こういう話に…7点。

「カバチ流人生指南 弱者はゴネて、あがいて、生き残れ! 」 田島 隆 読了!

2014年01月30日 13時48分43秒 | 作家 た行
「カバチ流人生指南 弱者はゴネて、あがいて、生き残れ! 」 [単行本(ソフトカバー)] 田島 隆 (著)  2014.1.30読了 。


大人気コミック『カバチ!!』の原作者が明かす、衝撃の過去──。親の借金、DV、一家離散、生活保護、中卒で自立……社会の底辺で、不当な差別に直面しながらも、法律を武器に人生を逆転。同じような貧困と奈落の生活にあえぐ若者や子供たちに贈る、自分だけの武器を見つけて、人生をあきらめずに生き直すための極意とエール。格差社会、身分制社会化が進む今、必読の一冊!



前半は著者の生い立ちが語られる。ほんとに壮絶だ。本を書くために多少劇的に書かれているのだろうが、超絶悲惨、凄まじい半生だとおもった。そして、それにもまして壮絶な努力の結果、今の著者があるわけで…。
けして、この本はノウハウ本ではない。弱者のための「わらしべ長者的な生き方」は参考になるが、ノウハウの問題ではなく、やはり人並みはずれの著者の努力の賜物だと思う。
思ったよりもおもしろかった…7点。

「夜市」 恒川 光太郎 読了!

2013年09月30日 17時31分09秒 | 作家 た行

「夜市」 [単行本] 恒川 光太郎 (著) 2013.9.29読了。


選考委員激賞の、第12回日本ホラー小説大賞受賞作
何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した祐司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた。


第12回日本ホラー小説大賞受賞作の「夜市」と「風の古道」の2作品を収録。ホラーというよりは、ファンタジーじゃないかな? さらりと読めるのはいいんだけど、ちょっと読後感がこない感じ。アニメ化とかいいんじゃないかな?…6点。