ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「君の膵臓をたべたい」 住野よる 読了!

2018年10月26日 22時03分03秒 | 作家 さ行
君の膵臓をたべたい (双葉文庫) 2018.10.25読了。
住野 よる (著)

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!



実は、1回目は途中で投げ出してます。そして、なぜか満を持しての再挑戦。前回投げ出した原因でもあった文体の軽さ(ラノベ感)も、実は読みやすいという解釈に変わればこっちのもの。簡易な文体なのに登場人物の細かい描写が上手くえがかれていて目に浮かぶようだったり、ストーリーがありきたりじゃなく、奥深かったりと、読んでいるうちに印象が変わっていく。ラストに向かっての、まだあるか、まだ次があるかみたいな感じがスゴイ。…8点。

「ハサミ男」 殊能将之読了!

2017年10月13日 20時18分21秒 | 作家 さ行
ハサミ男 (講談社文庫) 2017.10.12読了。
殊能 将之 (著)

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。



残り100ページで、エーッってなって、違和感があったので、読み終わったあと、最初から検証のため読み直した。チッ、確かにそうは書いてないじゃん。うまく、ミスリードさせられてんじゃん。ただ、このどんでん返しを味わうために、500ページを読むのは長い。もう少しページを削いでくれたら良かったのに。あと真犯人の動機がよわいよなー。まあ、面白かったけども。…7点。

「解夏」さだまさし読了!

2017年05月01日 22時31分38秒 | 作家 さ行
解夏 (幻冬舎文庫) 2017.4.30読了。
さだ まさし (著)

東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。この先の人生を思い悩む隆之。彼を笑顔で支えようとする陽子。ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞く―。表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。



「解夏」、「秋桜」、「水底の村」、「サクラサク」からなる短編集。
さだまさしの本ははじめて読みました。
シンガーとして作詞作曲されるのですから、詩人ではありますが、小説を書かせても、すばらしい。
今まで読まなかったのがおしい。別に変な先入観で読まなかったわけではないけど。
小説家としての才能に本当に驚かされた。
奇をてらわず、王道の家族小説で心を揺さぶられるのだからすごいなぁー。
中でも、「水底の村」が一番スキだ。…7点。

「本日、サービスデー」 朱川湊人読了!

2017年03月14日 18時59分24秒 | 作家 さ行
本日、サービスデー (光文社文庫) 2017.3.14読了。
朱川 湊人(著)

しがないサラリーマン鶴ヶ崎のもとに、ある日、女の姿をした悪魔が現れた。今日は神さまがくれた、一生に一度の「サービスデー」。どんな願い事も叶う一日だというのだが…。この大チャンスを、彼はどう生かすのか(表題作)。アパートに現れる女性の右手首だけの幽霊と住人の、不思議で心温まる交流(「あおぞら怪談」)。短編の名手が贈る、心に元気をくれる傑作集。



「本日、サービスデー」「東京しあわせクラブ」「あおぞら怪談」「気合入門」「蒼い岸辺にて」の五編からなる短編集。
「あおぞら怪談」は大変面白かった。「蒼い岸辺にて」は良いお話でスキです。
あとは、なぁ~。5編中良かったのは2編なんで、計算はあわんけど、まあ…5点。

「陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1」 佐伯 泰英読了!

2017年01月30日 18時23分09秒 | 作家 さ行
陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1 (双葉文庫) 2017.1.29読了。
佐伯 泰英著

直心影流の達人、坂崎磐音。藩内騒動がもとで自藩を離れ、江戸深川六間堀で浪々の日々を送る。ある日、磐音はふとした縁で両替商の用心棒を引き受けるが、幕府の屋台骨を揺るがす大陰謀に巻き込まれてしまう。些事にこだわらず春風のように穏やかな磐音が颯爽と悪を斬る、著者渾身の痛快時代小説!


NHKの連続ドラマを3シーズン観て、SPドラマも全部観たので、あとは原作と、読みだした次第。全巻読むと50数巻あるらしいのでどこまで読んでいけるのやら。
江戸の市井を描き、藤沢周平っぽくもあるが、とくに商人、江戸の経済の事がくわしく描かれていて、興味深い。おもしろく、読みやすい。…7点。

「リング」 鈴木光司読了!

2016年10月12日 22時01分44秒 | 作家 さ行
リング (角川ホラー文庫)  2016.10.12読了。
鈴木 光司 (著)

同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった…。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。



たしかに、面白い小説だけど、ホラー小説で全然怖くないというのはどうなんだろう?…6.5点。

「さあ、地獄へ堕ちよう」  菅原和也読了!

2016年04月11日 16時52分42秒 | 作家 さ行
さあ、地獄へ堕ちよう (角川文庫) 2016.4.11読了。
菅原 和也 (著)

SMバーでM嬢として働くミチは薬とアルコール漬けの日々を送っていた。だが、幼馴染のタミーとの再会からミチの日常が変容していく。タミーが関わっているという残虐な死体写真が集められた“地獄へ堕ちよう”という裏サイトの存在。さらに自らにおぞましいほどの身体改造を求める、店の同僚リスト。出口のない欲望が絡み合い、凄惨な事件が起こる―。最年少で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞した衝撃の暗黒青春ミステリ。


この作家さん、お初ですが、1988年生まれというから、まだ20代!(最年少で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞している!)ということで、なにか凡人とは違う才能を感じる。
まずはその文体も独特。この小説は、若い女性の一人称視点で描かれているが、甘さがなく、乾いた硬い文体で、短いセンテンスで構成されている。そのためグロい描写もなぜかドライな爽やかさ(?)を含んでいる。
そして、SMや身体改造などをテーマとして扱い、それらの知識がたいへん豊富。

特殊なテーマのミステリー仕立てで、才能なのか、その硬質な文体からなのか、あっさりと読みやすく物語に入っていけるが、難点を言えば、主人公が、最初のキャラから、後半にはまったく別のキャラクターに変わってしまうことには、どうも納得がいかない。痛いのとかグロいのとか嫌いな人は読めない、読者を選んじゃう小説。もう一作読んでみたい。…6点。

「よだかの片想い」 島本理生読了!

2016年04月05日 14時46分09秒 | 作家 さ行
よだかの片想い (集英社文庫) 2016.4.5読了。
島本 理生 (著)

顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり…。一途な彼女の初恋の行方は!?



顔のあざのことで劣等感を抱えてきた女の子の初恋の物語。同時に、この恋がきっかけになり、彼女自身が成長していく成長の物語でもある。
恋愛小説にありがちな、愛する人が出来て、その人から手を差し伸べられて、人として自分自身も成長していく(まさに愛の力?)のではなくて、自分に自信が持てなかった女の子が、自分が自分を認め受け入れることによって自分だけで成長していくのだ。(自分自分うるさい)
初めての恋愛で、恋愛スイッチが入った彼女が、怖いもの知らずに突進していく姿は、感動するほどほほえましい。…7点。

「少女達がいた街」 柴田よしき読了!

2016年01月19日 15時49分35秒 | 作家 さ行
少女達がいた街 (角川文庫) 2016.1.19読了。
柴田 よしき (著)

1975年、渋谷。ロックの熱狂が鳴り響く街に16歳のノンノはいた。親友チアキはバンドの道を突き進む。ノンノは自分に似た少女ナッキーと出会い、惹かれ始める。それぞれの青春は光に満ちていった。しかしそこに見えない影が差す。不可解な出火事件。焼け落ちたノンノの家からは二つの焼死体と一人の記憶を失った少女が発見された。21年後、既に時効になったこの事件をたったひとりで堀り起こす刑事がいた。そこにはあまりにも意外な真実が…。宿命に操られる少女達ふたりの魂の謎を追い、青春と人生の哀歓を描いた、横溝正史賞受賞女流の新感覚ミステリ。



自分は、この手の話は苦手かもしれない。
しかし、柴田よしきさんの最高傑作としてあげる方も多く、途中で放り出してもいいかと読み始めた。人の言うことは聞いてみるもんだね。
作品は2部構成になっている。前半は1975年、ロック少年、少女達のまぶしいような青春時代。後半は1996年、雰囲気は一転してミステリーとして、21年前(1975年)の事件の謎が解き明かされていく。
前半も予想外に面白いのだが、ともかく後半、ひとつひとつ解き明かされていく真相に胸がしめつけられる。二転三転とする濃厚なストーリーも読み応え十分。
そして、物語のクライマックス、すべてが解き明かされたとき、心にしみる青春と人生の悲しみと哀愁。絶対に自信をもってすすめられる一冊。…9.5点。

「ヤンのいた島」 沢村凛 読了!

2016年01月06日 17時07分20秒 | 作家 さ行
ヤンのいた島 (角川文庫) 2016.1.6読了。
沢村 凛 (著)

服従か抵抗か。暴力か非暴力か。選ぶ未来の形は―ゲリラの頭目と1人の女性の物語。南の小国・イシャナイでは、近代化と植民地化に抗う人々が闘いを繰り広げていた。学術調査に訪れた瞳子は、ゲリラの頭目・ヤンと出会い、悲しき国の未来をいくつも味わっていく。「瞳子。世界はぼくたちを憎んでいるのだろうか」。力弱き抵抗者、ヤンたちが掴んだものは? 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。



主人公の瞳子は鼻行類「ダンボハナアルキ」を
求めて内乱のつづく南の小国へ。
反乱軍の指揮官ヤンがいる島。

夢と現実の平行世界を中心に話が進んでいくが、
当初、この平行世界がわかりにくく、読みすすめにくかった。

しかし、中盤、主人公が反乱軍と意思を同じくするあたりから
一気に物語りは加速。

手に汗を握りながら、
主人公同様、この小国の未来に思いをかける。
小さな島国の大きな物語だ。
ラストに向かい、鼻行類「ダンボハナアルキ」の話も効いてくる。

この物語のラストには賛否両論あるようだが、
自分は、このラストが好きだ。…8点。