ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「優しいおとな」 桐野 夏生 読了!

2014年12月19日 20時50分01秒 | 作家 か行
「優しいおとな」 [中公文庫] 桐野 夏生 (著)  2014.12.12読了 。

福祉システムが破綻した日本。スラム化したかつての繁華街“シブヤ”の野宿者・イオンは、闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。NGO「ストリートチルドレンを助ける会」、女性ホームレス集団「マムズ」…彼の「優しいおとな」はどこにいるのか。桐野夏生が描く、希望なき世界のその先とは。


近未来の渋谷が舞台なんだけど、これは近未来の話じゃないよね。
いまの日本、現実に格差が広がり、セーフティネットもあってないようなもん。
まして、ホームレスの人の中には、国の福祉の恩恵をまったく受けていない人たちも大勢いるだろう。
まさに、福祉システムが崩壊しているのと同じことだ。

主人公のイオンが、いろいろな経験をして愛という感情にめざめていくお話し。
哀しいけれど、どこか優しさに包まれるお話でした。…7点

「ゆがんだ闇」 小池 真理子他 読了!

2014年10月17日 16時16分15秒 | 作家 か行
「ゆがんだ闇」[角川ホラー文庫] 小池 真理子 (著), 篠田 節子 (著), 鈴木 光司 (著), 瀬名 秀明 (著), 小林 泰三 (著), 坂東 真砂子 (著)  2014.10.3読了 。

脳細胞までも凍らす、恐怖の連続…ホラー・シーンに新たな局面を拓いた作家6人が、それぞれの“怖さ”を突きつめ、描きこんだホラー小説の競作。


贅沢な本だよね。好きな作家さんいっぱいだし。怖いのは小林さんのやつ(さすがです!)、好きなのは小池さんの。…7点

「ゆりかごで眠れ」 垣根 涼介 読了!

2014年09月04日 21時09分58秒 | 作家 か行
「ゆりかごで眠れ」(上・下)[中公文庫] 垣根 涼介 (著)  2014.8.20読了 。

凄絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、ひとりの少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に勾留されている部下の奪還と復讐、そして…。ひとりの男と、彼に纏わる人間たちの愛憎を描く傑作巨篇。


クールでかっこいいし、人間の心の奥底の闇も丁寧に描かれ、面白い小説だった。前半のコロンビア編はなかなかなんだけど、日本に着いてからがいまいちかな? どうしても垣根さんの南米物っていうと自分は「ワイルド・ソウル」レベルを期待して読んじゃうんで、物足りない。…6点。

「家に棲むもの」 小林 泰三 読了!

2014年08月07日 15時03分20秒 | 作家 か行
「家に棲むもの」 [角川ホラー文庫] 小林 泰三 (著)  2014.8.2読了 。

ボロボロで継ぎ接ぎで作られた古い家。姑との同居のため、一家三人はこの古い家に引っ越してきた。みんなで四人のはずなのに、もう一人いる感じがする。見知らぬお婆さんの影がよぎる。あらぬ方向から物音が聞える。食事ももう一人分、余計に必要になる。昔、この家は殺人のあった家だった。何者が…。不思議で奇妙な出来事が、普通の世界の狭間で生まれる。ホラー短編の名手、小林泰三の描く、謎と恐怖がぞーっと残る作品集。

小林/泰三
1962年、京都府生まれ。大阪大学基礎工学部卒業、同大学院修了。現在、大手家電メーカーに勤務。1995年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


「家に棲むもの」と「お祖父ちゃんの絵」が良かったかな。
この作家さんのは、グロ系より、人間の狂気を描いた作品が好きですね。
「肉」系はちょっと…。
今度は長編を読んでみましょう。…5点。(短編なので)

「森に眠る魚」 角田 光代 頓挫!

2014年07月23日 19時19分06秒 | 作家 か行
「森に眠る魚」[双葉文庫] 角田 光代 (著)  2014.7.23頓挫 。

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。


いやー、まさか頓挫するとは…。
言っときますけど、わたし、角田さんのファンですから、だいたいの本読んでますから。このブログやる前ですけど。
でも、この本の冒頭、ママたち、いっぱい出てきて、誰が誰やらまったくわけわかんなくなって、そんで、そんで、誰が誰でももう、どうでもよくなって、そんでぶん投げました。ごめんなさい。

「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記」 木藤 亜也 読了!

2014年02月12日 21時30分44秒 | 作家 か行
「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記」 [文庫] 木藤 亜也 (著)  2014.2.12読了 。

「神様、病気はどうして私を選んだの?」 恐ろしい病魔が15歳の少女亜也の青春を奪う。友達との別れ、車椅子の生活、数々の苦難が襲いかかる中、日記を書き続けることだけが亜也の生きる支えだった。「たとえどんな小さく弱い力でも私は誰かの役に立ちたい」 最期まで前向きに生き抜いた少女の言葉が綴られた感動のロングセラー、ついに文庫化。



小説じゃなくて日記だからこそ、こころの奥にしみてくる言葉。真っ直ぐな思い。リアルな感情。だから、後半に読みすすめていくうちに、胸の痛みは増していく。
みんな、読んだ人は思うと思うんだ、五体満足でありながら、不平ばかりを口にして、毎日漫然と日常を生きている自分が恥ずかしいと。亜矢ちゃんはこんな状態でも、不平不満を口にせず、つらくてもがんばりやさんで、人に感謝し、人の役に立ちたいと望んでいた。それを思うと、今の自分がたまらなく嫌になるんだ。だから少しは、ほんの少しでも、この本を読んだ後、人の役に立ちたいと思った。
この日記は20才が最後になっている。彼女がなくなったのが25才だから4年から5年文字が書けない状態だったのだろう。この間が本人もご家族もほんとに辛かっただろう。そのことを思うとまた胸がいたむ。

「うつ病放浪記 絶望をこえて生きる」 工藤 美代子 読了!

2013年08月26日 20時23分57秒 | 作家 か行

「うつ病放浪記 絶望をこえて生きる」(単行本) 工藤 美代子 2013.8.26読了。

激しい動悸が、時間や場所に関係なく起きる。
手足が鉛のように重くなる。
なぜかわからないが、やたらと死ぬことを考えてしまう。
そしてある日突然、呼吸ができなくなった。
救急搬送された病院で、私を待っていたのは、
予想すらしなかった「うつ病」という診断だった・・・・・・。
患者数70万人超。「現代の国民病」と今も闘い続ける
ベストセラー・ノンフィクション作家が、衝撃のカミングアウト。
死ぬ日を決めて遺書を用意したサラリーマン
恋人からうつを“うつされた”派遣社員
発作の苦しさに泣き叫ぶOL
など、患者への取材と自分の体験に基づいて、
うつ病の知られざる実態と、苦しみのなかから見いだした
新たなる希望を克明に描き出す。


小説ではないんですけど…。こんな時代になかなか興味深いノンフィクションです。自分の体験と患者さんへの取材により、うつ病というのがどういう病気なのかわかりやすく書かれています。
読んでみて、うつ病に対しての認識を新たにしました。ほんとに普通の人が普通にかかってしまう病気であり、その症状もさまざま。ノンフィクションであるからこそ、リアルに伝わってきます。…6点。


新装増補版「自動車絶望工場」 鎌田 慧  読了!

2013年07月24日 20時50分56秒 | 作家 か行
新装増補版「自動車絶望工場」 (講談社文庫)  鎌田 慧 (著) 2013.7.24読了!


働く喜びって、何だろう。自動車工場で働きはじめた34歳のぼくを待っていたのは、人間性を奪うほど苛酷で絶望的な仕事だった。考える暇もなく泥のように眠る毎日、悲鳴をあげる身体、辞めていく同僚たち。読みやすい日記形式で「働くこと」の意味を問うルポルタージュの歴史的名作に、最新の情勢を加筆した新装増補版。 (2011年9月、講談社文庫として刊行)


これ、40年前に出版された本なのに…。日本は全然良くなってないじゃないか。何が世界の優良企業だよ。かぁ、ぺっ!だよ。…7点。

「サバイバー23区 東京崩壊生存者」木下 半太  読了!

2013年04月04日 16時16分51秒 | 作家 か行
「サバイバー23区 東京崩壊生存者」(講談社ノベルス) 木下 半太 (著) 2013.4.4読了。


何の前触れもなく、地球が崩壊した。全ての移動・通信手段は失われ、世界の人口は千分の一に。東京では、占い師に縋る者たち、瓦礫に落書きを描き続ける大人のグループ、徒党を組んでレイプを繰り返す男たち、リアルモンハンに興じる子ども集団が跋扈していた。そして駒沢公園跡に墜落したジャンボ機の中では、男が物語を綴り始めた―彼が書く、その理由とは何なのか!?壊滅した終末の都市で、人間関係が奇妙に交錯していく。


本のタイトルから連想するに、ハードなサバイバル的物語かと思いきや…。
まあ、そのサバイバルよりも主題は軽妙な文体から紡ぎだされる人間の哀れさ、おかしさにあんだよね、きっと。
でも、なんか最後が納得いかない…。…5点。

「天海譚 戦川中島異聞 天佑、我にあり」海道 龍一朗 読了!

2013年01月04日 18時21分24秒 | 作家 か行
「天海譚 戦川中島異聞 天佑、我にあり」(上)(下) (講談社文庫) 海道 龍一朗 著 2013.1.2読了!

あれから、四百五十年。こんな川中島合戦、誰も読んだことがない。──武田信玄 対 上杉謙信 戦国最強対決、裏の裏。

最強騎馬軍団を抱える武田信玄と、無敗の四天王を率いる上杉謙信。両軍は、川中島という狭隘地で数度相まみえた。最大の戦いとなる四度目の決戦から、はや四百五十年。いったい、誰が勝者だったのか。まれにみる緊迫、そして、史上もっとも「難解」といわれる合戦を、精緻な分析と大胆不敵な構成で描ききる、渾身の歴史長編小説。




ほんとに、これ天海が語ったのか? 天海が見てないところも語ってんじゃんよ。

8点(10点)そんなことつっこみつつも、いや、ほんとおもしろかったよ。下巻イッキ読みだもん。