ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「雨のなまえ」 窪 美澄読了!

2016年11月01日 15時19分16秒 | 作家 か行
雨のなまえ (光文社文庫) 2016.11.1読了。
窪 美澄 (著)

女は小さな声で、マリモ、と言った―。家具ショップで働き、妊娠中の妻と何不自由のない生活を送る悠太郎。ある日店に訪れた女性客と二度目に会った時、彼は関係を持ち、その名を知る。妻の出産が迫るほど、現実から逃げるように、マリモとの情事に溺れていくが…。(「雨のなまえ」)答えのない「現代」を生きることの困難と希望。降りそそぐ雨のように心を穿つ五編の短編集。



なんか、殺伐とした日常を描く短編集。
そうだよね、日常なんて殺伐としか言いようがないもんだよね。
…生きるのってつらいよね。
しかし、なんかこねえなぁ。…5点。

「ふがいない僕は空を見た」 窪 美澄読了!

2016年10月18日 16時26分55秒 | 作家 か行
ふがいない僕は空を見た (新潮文庫) 2016.10.18読了。
窪 美澄 (著)

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。




「ミクマリ」、「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」、「2035年のオーガズム」、「セイタカアワダチソウの空」、「花粉・受粉」の5つの短編から構成される連作短篇集。
「セイタカアワダチソウの空」、「花粉・受粉」が秀逸。
生まれてくることの苦しみや、痛み、生きていくことの難しさ。それでもそれぞれの環境や立場を受け入れて生きていかなければならないんだよ。…6.5点。

「隠蔽捜査」 今野 敏 読了!

2016年02月08日 16時02分25秒 | 作家 か行
隠蔽捜査 (新潮文庫) 2016.2.6読了。
今野 敏 (著)

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。




なんでか、今野敏さん初読みなんです。
主人公は、東大出のエリート警察官僚である。
前半、この主人公の変人としての人となりに終始する。
中盤、殺人事件が起こり物語は展開していくが、
主人公は警察庁長官官房の総務課長なので、マスコミ対応とか独特の警察組織の内部調整が描かれるが、殺人事件の現場がどうのとか、死体がどうした、捜査がどうのとか、事件の真相がどうのという、普通の警察小説としての読ませどころは一切でてこない。
隠蔽工作に出る警察組織に対し、特権を与えられているエリートはそれゆえに国民に対し重い責務を負うという主義を一貫してつらぬく主人公はすべてに原理原則で向きあい、正義を全うしようと隠蔽に反対し、組織と対立する。
読んだことのないキャリア官僚を主人公に据えた異色警察官僚小説だ。…6点。

「ミドル世代の危機を乗り越える! 45歳からやり直す最高の人生」 川北 義則 読了!

2015年11月17日 00時22分56秒 | 作家 か行
ミドル世代の危機を乗り越える! 45歳からやり直す最高の人生 (祥伝社黄金文庫) 2015.11.16読了
川北 義則 (著)

40歳を超え体力や容貌の衰えを自覚し始めるミドル世代。厄年を過ぎたあたり、いわば「人生の折り返し地点」に差しかかる時に顕在化する精神的危機のことをミッドライフ・クライシスという。仕事、家庭、人間関係、自己実現などへの不安や疑問から、自分の人生が無意味に思え、うつ病に陥ることも多く、欧米諸国では社会問題化しつつある。 平均寿命が80年に近い長寿社会の現在の日本では「ミッドライフ世代」の余命はまだまだ長い。そのまだまだ時間がある人生の後半戦、45歳からのミドル世代の危機を乗り越えるために重要なのは、とくに仕事に対する「仕事第一」「出世第一」というこれまでの人生を支えてきた価値観を見直すことである。 本書では、「人生、これでいいのか」「なぜ、自分だけこんな目に」と悩んでいる人たちに、解決の糸口を探しだすための考え方のヒントを与えている。



なんでか、この手の本を小説とともに併読してしまうんだよな。
だいたい中身が薄くてすぐ読めちゃうんだけど、あまり読んで為になったことないよな。
この手の本って、あっちこっちに書いてあった材料の再編成で、出来てしまうから、大概目新しいことが書いてあったためしがない。(だったら読むなって話だけど)

まあ、ひとつでも心に残る言葉が見つかればそれで読んだ価値があるんだろうけど。
この本で、「もしも、別の人生を…」は考えるな。という言葉があるんだけど、人はみなあのときに戻ってやり直せたらと考えがちだ。
そんなこと考えてないで、自分の人生に不満をおぼえたら、過去の選択を悔いるよりも、今の自分に足りないものを見つけ出して、それが解ればそれを埋める努力をしながら、この先を建設的に生きたほうがよい。 これは、その通りだ思いましたけど。…4点。

「氷山を狙え」 クライブ・カッスラー 2015.11.12読了!(再読)

2015年11月12日 13時11分18秒 | 作家 か行
氷山を狙え (新潮文庫) 2015.11.12読了
クライブ・カッスラー (著), 中山 善之 (翻訳)

氷山に閉じこめられたまま北大西洋を漂う死の船―― 沿岸警備隊が発見し、印をつけたはずの謎の氷山は、調査に飛んだダーク・ピットの前から忽然と姿を消し、かわって彼を出迎えたのは完全武装の潜水艦だった。
体力と知力のかぎりを尽くして、正体不明の恐るべき国際的な野望に立ち向かう、不撓不屈の海の男。卓抜なスケールと劇的な展開で描く、大型海洋アドベンチャー。(昭和57年刊新潮文庫カバー解説より)



再読です。前に読んだのは25年も前ですが。
たぶん、カッスラー様の本、最初に読んだのがこれだったかと。
ダーク・ピットシリーズの3作目。
私の大好きなアル・ジョルディーノが出てこないやつ。だからかななんか物足りないような。
ただ、われらがダーク・ピットは最初の登場からスーパーマンだったんだな、と改めて思った。
なんとしてもあきらめない不屈の闘志。そして、あの瞬間的な決断力。
サンデッカー提督が一緒に行動するっていうのは、めずらしい。
しかし、今読んでみると、なんか地味目というか、華やかさや、ロマンスも少なく。
このシリーズにしては華がないかなぁ。
見どころはピットたちのアイスランドのツンドラ地帯からの脱出場面だろうか。

カッスラー様の初期の作品をちょっと読んでみましたが、やはりというかなんとうか。
25年前にはじめて読んだときのあの胸のときめきはやはり甦りません。
もう一冊「タイタニックを引き揚げろ」までは読み返してみようかな(悩)。…6点。



「海中密輸ルートを探れ」 クライブ・カッスラー 読了!(再読)

2015年10月20日 12時17分14秒 | 作家 か行
海中密輸ルートを探れ (新潮文庫) 2015.10.13読了
クライブ・カッスラー (著), 中山 善之 (翻訳)

エーゲ海の平和な島にある米軍基地が、突如、第一次大戦当時の独軍複葉機に攻撃された。 近くに停泊中の調査船に赴く途中のダーク・ピットは、救援信号を受けて、 旧式の飛行艇で応戦する。翌朝、 偶然出会った美女の伯父の豪邸に招待された彼は、監禁され、 巨大なシェパードに襲われる・・・。エーゲ海を舞台に、 16トンもの麻薬密輸ルートの謎に挑むピットの活躍を描く長編。


たぶんこれカッスラー様デビュー作であったような。
ダーク・ピットシリーズです。
読むのは、2度目です。
面白かったんですが、やっぱ最初に読んだときの衝撃的面白さはない。
なんでなんだろ?
これからも、カッスラー様の作品をちょっとづつ再読していこうなんて思っていたのですが、やめるか? でも、もう何作か読んでみてからに。…6点。


「天使の囀り」 貴志 祐介 2015年9月16日読了!

2015年09月16日 13時47分32秒 | 作家 か行
天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志 祐介 (著)

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。


貴志さんの作品初読みでした。
小説として、大変面白く、満足は満足なんですが、
ちょっと、あらすじやレビューで自分を煽りすぎていたのでしょうか?
こんなもんか?という感じで読み終わりました。
テーマはとても面白いのに、なんか盛り上がんない。
最後のエピソードも、そこそこ読めてしまうし、警察に出頭してすべて話すというのも興ざめかも。

どうしても、アマゾンからはじまるお話しは、なんかもっと壮大じゃなきゃいかんよな。とか。
まあ、かってな、アマゾンから始まる話し好きなだけですが。

グロさに関しては全然。
こんなの自然の摂理の範疇です。…7点。

「アンボス・ムンドス―ふたつの世界」 桐野 夏生 読了!

2015年09月08日 14時32分53秒 | 作家 か行
「アンボス・ムンドス―ふたつの世界」 文春文庫 桐野 夏生  2015.9.7読了 。

不倫相手と夏休み、キューバに旅立った女性教師を待ち受けていたのは非難の嵐だった。表題作の他、女同士の旅で始まった生々しい性体験告白大会、若い女の登場に翻弄されるホームレスの男達、など七つの短篇を収録。女性の奥底に潜む毒を描き、直木賞受賞以降の刺激的かつ挑戦的な桐野文学の方向性を示す。


桐野さんらしい女の毒がつめこまれた短編集。
こういうの書かせるとうまいですよね。
なんか独特の世界観。いやなかんじ。
最初の「植林」がおれ好きだなぁ …6点。

「あなたの余命教えます」 幸田 真音 読了!

2015年04月20日 13時17分58秒 | 作家 か行
「あなたの余命教えます」 [単行本] 幸田 真音 (著)  2015.4.20読了 。

中堅電機メーカーで部長代理をしている永関恭次(56歳)は、定年を4年後に控え、妻と一人娘と平凡に暮らしていた。そんなある日、国際アガスティア研究所という組織の存在を知る。そこでは、ゲノム解析、予防医学、そして、データマイニングの高度な技術から人間の正確な「余命予測」ができるという…幸田真音、渾身の最新小説。


やめればいいのに、高い金払って、はたしてホントか嘘かもわからん自分の余命を聞いて、落ち込んだり、混乱したり、狼狽したりと言うお話。期待してなかった分、わりとおもしろく読めたが、結局何が言いたかったんだか?と主題がぼやけた感じのまま終了。いいんだけどね、それはそれで。…7点。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」 鴨志田 穣 読了!

2015年01月28日 20時58分49秒 | 作家 か行
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」 [講談社文庫] 鴨志田 穣 (著)  2015.1.28読了 。

アルコール依存症で離婚。10回の吐血。再飲酒。ついにアルコール病棟に入院することになった、元戦場カメラマンの「僕」。そこで出会った個性的な面々との生活が、僕を変えた。うちに帰りたい―。依存症を克服し、愛する元妻、子供たちとの時間を取り戻したが、そこには悲しい現実が…。笑って泣ける私小説。


まあ、前に読んだ本の流れで、
壮絶なアルコール依存の話なんだけど、悲壮感はあまりなく、淡々と物語りは進行していく。
たしかに、飾らない文章で、悪くないんだけど…。ノンフィクションなら。
小説としての出来はどうなんだろう?
やはり、らもさんにはかなわない。比べるほうがアレだけど…6点。