ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「今日から日雇い労働者になった」 増田 明利 読了!

2015年06月02日 20時47分59秒 | 作家 ま行
「今日から日雇い労働者になった」 文庫 増田 明利 (著)  2015.5.30読了 。

底辺労働の現場を体験取材!働いても働いても金なんか貯まらない。ここはまるで蟻地獄だよ…今、失業したらこんな生活が待っている!
ベストセラー「今日、ホームレスになった」の著者が、体を張って日雇い労働の世界をリポート。
1万円のタネ銭を持ち、日雇い労働&宿なし生活を1ヶ月間、敢行した。
ホームレス、ネットカフェ難民、日雇い労働者……。
彼らはどのような生活を送り、なにを考えているのか?
現代日本の暗部をえぐる骨太ノンフィクション。


設定として、種銭をもって日雇いをしながら、ドヤやネット喫茶なんかにとまってそれを自分で体験してみるルポ。それ自体はは、すんごく面白いんだけど。
しかし、どうもこの人、取材対象の人に寄り添えないんだな。
なんか小ばかにして見下した下りが目に付く。
だか、そんでも不快になりながら一気に読んでしまった。
ブログならそれでいいんだろうけど、本として出版するんなら、その辺のことも少し考えて欲しいなや。…6点。

「身も心も」 盛田 隆二 読了!

2014年12月08日 16時16分57秒 | 作家 ま行
「身も心も」 [光文社文庫] 盛田 隆二 (著)  2014.11.17読了 。

妻に先立たれ、毎日を無気力に過ごす礼二郎。彼を変えたのは、絵画同好会での幸子との出会いだった。やがて二人は恋に落ち、喜びも悲しみも分かち合いながら愛を育む。たとえ周囲の人間に後ろ指をさされようとも。だが、礼二郎は不意の病に蝕まれて…。ときめきを忘れかけていた男女が、限られた時の中で紡ぐ切実な恋愛模様を、まばゆいほどに美しく描く感動作。。


老いてから恋をするとどうなるのか?
いろいろと障害が立ちふさがる。
財産の問題や、狭い人間関係のなかのひがみややっかみ。
「いい歳こいて」っていう周りの目。
でも、結婚するとか子どもがほしいとか、家がほしいとか…、
当たり前だが、そういうことにはならない。
ただ二人で一緒にいれればそれでいいわけ、
老いてからの恋は、今生きている一分、1秒を愛おしくさせるのかもしれない。
ストーリーは特にドラマッチックなことがないまま展開されていく。
主人公の突然の病は衝撃的な出来事なのだろうか?
それとも老いてはそれも、日常なのだろうか?

だがしかし、盛田さんの作品としてはいまひとつ物足りないかも。…5.5点

「殺人出産」 村田 沙耶香 読了!

2014年11月04日 13時26分40秒 | 作家 ま行
「殺人出産」[単行本] 村田 沙耶香 (著)  2014.10.22読了 。

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。


「殺人出産」、「トリプル」、「清潔な結婚」、「余命」の4篇を収録。
10人産めば、1人殺してもいい。という帯の文句にひかれて読んでみた。
確かに今の常識は、100年後は非常識かもしれないし、何が褒め称えられる行為で、何が蔑まれる行為なのかは、その時代の価値観や、道徳観で変わっていくんだろうなとは確かに思わされたが。
すんごく面白そうな設定のわりに、盛り上がりにかけた印象。
この方の小説初めて読んだので…。こういう雰囲気の作家さんなのかもしれないが。…5点

「バスジャック」 三崎 亜記 読了!

2014年09月18日 14時07分37秒 | 作家 ま行
「バスジャック」[集英社文庫] 三崎 亜記 (著)  2014.9.5読了 。

今、「バスジャック」がブームである―。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。



「二階扉をつけてください」「しあわせな光」「二人の記憶」「バスジャック」「雨降る夜に」「動物園」「送りの夏」の7作品を収録。
なんか違和感が残るものから、すとんと腑に落ちるものまでさまざま。作品の長さもショートショートと呼べるものから中篇までさまざま。
そうなんだろうけど、非凡な才能なんだろうけど、俺の数多い突っ込みどころは誰が解消してくれるのか?って感じです。
ただ、「送りの夏」は大好きです。これは突っ込み別にないです。…6点

「レッドライト」 森村 誠一 読了!

2014年08月19日 14時31分23秒 | 作家 ま行
「レッドライト」[角川文庫] 森村 誠一 (著)  2014.8.13読了 。

忠誠を尽くした自分をゴミのように捨てた上司の米原を、衝動的に殺した桑崎。痕跡を消し逃走するが、タクシーで玉突き事故に巻き込まれてしまう。幸い無事に帰宅した翌日、ニュースを見て愕然とする。米原が、殺害現場近くの路上で轢き逃げされたというあり得ない事実が報じられたのだ―。2つの交通事故の背後に浮かび上がる、驚くべき人間模様と殺意の連鎖とは。驚天動地の長編ミステリ。


なんかなぁ、なんだろ腑に落ちないよな。刑事たちの地道な捜査と犯人を追い詰めていく事情聴取の様子とかはいいんだよ。だけど、変なしったかぶりの素人探偵みたいのがわけわかんなかったり、肝心の最初のひき逃げ事件がうやむやになってたり、仮にも事件の発端であわや殺人事件を犯した(確実に殺意あり)ような人がのうのうと幸せになったり、最後の犯人の自白がお芝居の台詞のようであったり、なんだかなぁ、全体的に腑に落ちないんだよね…4点。

「歌うクジラ」 村上 龍 読了!

2014年05月15日 14時37分25秒 | 作家 ま行
「歌うクジラ」(上・下) [講談社文庫] 村上 龍 (著) 2014.5.14読了 。

二〇二二年、ハワイの海底を泳ぐザトウクジラから、人類は遂に不老不死遺伝子を発見する。だがその百年後、人間は徹底的に階層化され、政府の管理下に置かれていた。流刑地に住む十五歳の少年アキラは、人類の秘密を握るデータを託され、悪夢のような社会を創造した人物に出会うため、壮絶な旅に出る。毎日芸術賞受賞作。


なぜ、自分は村上龍さんの小説を読むのか? たぶんそれは、自分の考えがまったく及ぶことのない、異質の次元を体験できるから。そんなことができるのは、小説を、村上龍さんの小説を読む以外に方法を知らない。こんな疲れる(凄い?)小説を読まずにいられるなら、それはそれでいいのかもしれないが、村上龍さんの小説を知ってしまった僕にはとても我慢することはできない。と、村上さんの小説を読み終わるといつも考えるのでした。

最後に主人公のセリフ。
「生きる上で意味を持つのは、他人との出会いだけだ。そして移動しなければ出会いはない。移動が、すべてを生み出すのだ。」←またしても極論だよな。
…村上さんの小説に点数をつけるなんてアホな

「流転の海」 宮本 輝 読了!

2014年03月27日 15時30分01秒 | 作家 ま行
「流転の海」 [新潮文庫] 宮本 輝 (著) 2014.3.20読了 。

敗戦から2年目、裸一貫になった松坂熊吾は、大阪の闇市で松坂商会の再起をはかるが、折も折、妻の房江に、諦めていた子宝が授かった。「お前が20歳になるまでは絶対に死なん」熊吾は伸仁を溺愛し、その一方で、この理不尽で我侭で好色な男の周辺には、幾多の波瀾が持ち上った。父と子、母と子の関係を軸に、個性的な人間たちの有為転変を力強い筆致で描く、著者畢生の大作第一部。

おもしろい。
破天荒というのはこの主人公のような人を言うのだろう。そのほかの登場人物も魅力的。スケールの大きな小説。…9点。

「悪道」 森村 誠一 読了!

2013年04月16日 17時58分36秒 | 作家 ま行
「悪道」 (講談社文庫)  森村 誠一 (著) 2013.4.16読了。


時は元禄。将軍綱吉が柳沢邸に御成り中、天下の大乱を招きかねない変事が勃発。吉保は秘密を知るもののみなごろしを暗殺集団猿蓑衆に命ずる。伊賀忍者の末裔の流英次郎は天才女医のおそでを護り、おくのほそ道を血に染め、逃亡の旅へ。強大な敵の喉元に迫るは不屈の一寸の虫たち。一方、江戸城奥深くでは、生きる屍のような「影」が「このまま飼い殺しにされてたまるか」と、その時を待っていた……。人の業を問う、傑作時代小説。


まあ、それにしても大胆な構想だわ。それが最後までつじつまがあわなくならないところがスゴイ! 主人公以外の登場人物もよい! 重厚でしかも面白かった。続編にも期待だな、こりゃ。…8点。

「マーダー・リング」 森村 誠一 読了!

2013年03月02日 01時22分48秒 | 作家 ま行
「マーダー・リング」 (光文社文庫) 森村 誠一 (著) 2013.3.1読了。


週末の帰宅電車の網棚で、鞄を取り違えられた中年サラリーマン。手元に残された鞄から現金三千万円が出てきた。翌日、ニュースで本来の所有者が殺されたことを知り、金の着服を企む。人生の一発逆転を狙った行動の結末とは―(「殺意を運ぶ鞄」)。多くの人間が行き来し、悪意が醸成されてゆく大都会。その日常にこそ最も危険な陥穽が待ち受けていることを描く傑作集。


なんか読むのに時間かかったよ…。短編なのに。やっぱ、おもしろくなかったからかな?
…4点。

「二人静」 盛田 隆二 読了!

2013年01月11日 16時30分07秒 | 作家 ま行
「二人静」 (光文社文庫)  盛田 隆二 (著) 2013.1.11読了。


困難を抱える男女が出会った。認知症の父親の世話と仕事に忙殺される町田周吾。他人との会話が困難な場面緘黙症の娘を女手一つで育てる乾あかり。介護施設での出会いを契機に二人は距離を縮めていく。しかし、彼らには幾多の苦難が待ち受けていた。真実の愛とは何かを問いかける第一回ツイッター文学賞受賞の傑作長編。巻末によしもとばななの特別エッセイを収録。

盛田隆二
1954年東京生まれ。’90年のデビュー作『ストリート・チルドレン』(光文社文庫)で野間文芸新人賞の候補に、’92年『サウダージ』(角川文庫)が三島由紀夫賞の候補になる。「ぴあ」の編集者を経て’96年より作家専業。『二人静』は第1回Twitter文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



なんか。二人の幸せを祈りながら読んでいた。でもね。やっぱり、こういう結末。ラストは物足りないと感じたが、「二人静」だからな…。

DVと老人介護と恋愛。そんでも、じんわりといい作品でした…やっぱリアルさは健在!

…8点。