ケッヘル〈上・下〉 (文春文庫) 2016.10.4読了。
中山 可穂 (著)
その音楽は神のものか、悪魔のものか―カレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。
ウィーンからプラハ、マンハイム、ベルリンへと、モーツァルトゆかりの土地へアマデウス旅行社のツアーは続き、復讐は重ねられる。モーツァルトしか弾かない美貌のピアニストとの恋が伽椰を更なる悲劇のうねりに巻きこんでいくのだが―過去と現在、複雑に入り乱れた愛と憎しみが生み出した絶望に差しこんだ一筋の光とは。
大作ですが、連載されていたためか、後半に来て矛盾点やご都合的な解釈がでてくる。詰め込みすぎた感じや、無駄な説明など長文の小説にありがちな欠点もみられ、あれもこれもと話が薄まってゆく。ラストは「いいのか?それで」っていう結末ですし。サスペンスだからとか恋愛ものだからとかではなく、この作家さんならではの濃密な小説を読みたい。…6点。
中山 可穂 (著)
その音楽は神のものか、悪魔のものか―カレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。
ウィーンからプラハ、マンハイム、ベルリンへと、モーツァルトゆかりの土地へアマデウス旅行社のツアーは続き、復讐は重ねられる。モーツァルトしか弾かない美貌のピアニストとの恋が伽椰を更なる悲劇のうねりに巻きこんでいくのだが―過去と現在、複雑に入り乱れた愛と憎しみが生み出した絶望に差しこんだ一筋の光とは。
大作ですが、連載されていたためか、後半に来て矛盾点やご都合的な解釈がでてくる。詰め込みすぎた感じや、無駄な説明など長文の小説にありがちな欠点もみられ、あれもこれもと話が薄まってゆく。ラストは「いいのか?それで」っていう結末ですし。サスペンスだからとか恋愛ものだからとかではなく、この作家さんならではの濃密な小説を読みたい。…6点。