「逃避行」 (光文社文庫) 篠田 節子 (著) 2013.11.28読了 。
心の通い合わなくなった夫や子どもと暮らす50代の主婦、妙子。愛犬のポポはそんな彼女が唯一信頼できる大切な存在だ。ところがある日、そのポポが隣家の子どもをかみ殺してしまう。非は子どもにあるにも関わらず、世間体から犬を処分しようとする家族と決別して、妙子はポポを連れて家を出る。行く当てもなく頼れる人もいない、妙子とポポの逃避行がはじまった。
まあ、あの切なく、しかも思いもよらないラストは、してやられた。
陽春の、ため池のほとりで遊ぶ妙子とポポのシーンは美しく、悲しい。
美しい文章に胸が震えた。
なんともいえない、読後感に解説の最後の言葉が追い討ちをかける。
本書のタイトルは「逃避行」である。
妙子はポポと逃げ続けている。
しかし、彼女は逃げながら近づいて行くのである。
人として生まれてきて本当に大切なものは何なのか、ということに。
…9点。
心の通い合わなくなった夫や子どもと暮らす50代の主婦、妙子。愛犬のポポはそんな彼女が唯一信頼できる大切な存在だ。ところがある日、そのポポが隣家の子どもをかみ殺してしまう。非は子どもにあるにも関わらず、世間体から犬を処分しようとする家族と決別して、妙子はポポを連れて家を出る。行く当てもなく頼れる人もいない、妙子とポポの逃避行がはじまった。
まあ、あの切なく、しかも思いもよらないラストは、してやられた。
陽春の、ため池のほとりで遊ぶ妙子とポポのシーンは美しく、悲しい。
美しい文章に胸が震えた。
なんともいえない、読後感に解説の最後の言葉が追い討ちをかける。
本書のタイトルは「逃避行」である。
妙子はポポと逃げ続けている。
しかし、彼女は逃げながら近づいて行くのである。
人として生まれてきて本当に大切なものは何なのか、ということに。
…9点。