徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

お帰り…やっと会えたね…そして…さようなら…またね…。

2007-08-11 23:26:02 | ひとりごと
 彼女が帰ってきました…。 
綺麗な木箱の中に納められて…無言の帰国です…。
弟さんがわざわざ遺影を持ってきて見せてくれました…。

幸せそうな笑顔…相変わらず若くて綺麗だね…。

居合わせた友人と顔を見合わせて笑いました…。

このひと月ほど…御主人が24時間付き添い…寝る間もないほど献身的に看病していた…と弟さんから聞きました…。

 御主人に愛され…御主人の大御家族にも愛され…本当に仲良く幸せに暮らしていたということです…。
遺された何枚もの写真の中の彼女がいつも笑顔で楽しそうにしているのを見て…友人もdoveも心から安堵しました…。

 彼女のお母さんが30数年の年月など無かったかのようにdoveの顔をちゃんと覚えていてくれて、何も言葉を交わさないうちから、doveちゃん…と呼んで足早に駆け寄ってきてくれました…。

 小さな声で一生懸命…彼女のことを話してくれました…。
電話のたびに…doveに会いたい…と言ってくれていたそうです…。

会いたいと言って…会うために自分が帰国できるわけもなく…簡単に来て貰える距離でもないから…と…敢えて何も伝えてこなかったとか…。

 お母さんも引越しの折にdoveの住所をなくしてしまい…連絡もできなかったと言っていました…。
ふたりには…つのる話もあったろうに…と…。

doveの電話番号は…彼女のPCに残されており…それで弟さんがdoveとふたりの友人に連絡をくれたのだそうです…。
残念なことにそのうちのひとりには連絡がつきませんでした…。

生きている彼女に会いたかった…と友人とdoveはお互いに語り合いました…。

それでも…魂の旅立った後ではあったけれど…直接…最後のお別れができて…幸いでした…。


お帰り…。
やっと会えたね…。

あなたが死ぬまで幸せでよかった…。 
優しい御主人とずっとラブラブだったんだって…?
弟さんが言ってたよ…。

早くに逝ってしまったけれど…思うとおりに生きた人生だった…と…。
お母さんから聞いたよ…。

ちょっとだけ言わせてな…。
直で会えないことは分かってるけど…声だけでも聞きたかったぞ…!

doveは遠回りな人生を送っているから…まだ当分そちらには行かんと思うけど…そちらに行った時には…また…会えるといいな…。
いっぱい思い出話ができるといいな…。
それから…。

まぁ…いいや…。
そちらへ行ってからのお楽しみということで…。

それじゃ…一先ず…お別れ…を言っとく…か…。
さようなら…○○ちゃん…。

またね…。








散歩道で拾った話…第三十九「マツバギク・ムラサキゴテン・サルビア青」

2007-08-10 17:25:00 | 植物
 植え込みが枯れて、ぽっかりと開いた跡地に、近所の人が花や野菜を勝手に植えてしまうことがあります。
お役所が管理している土地を勝手に使用するのは本当はいけないことなのですが、放置された何もない殺風景な植え込みの土を見ているよりは、花が咲いていた方が気分がいいのは確かです。

人為的に植えられた植物が植生に影響を及ぼす危険性とか規則違反の事実を深く考えたりしなければ…ですが…。

 散歩道にもいたるところにそうした花壇のようなものが作られてあります…。
よく手入れされているものから、単に植えてあるだけのものまでいろいろです…。



 このマツバギクは、あまり手入れをされていない場所のもので、おそらくは過去に誰かが植えたものが野生化したと思われます。
少し離れたところにあった植え込みの跡地にも植えられていましたが、そこはきちんと手入れがなされていました。

 葉っぱだけを見て、うっかり、マツバボタンという名前を思い浮かべてしまいましたが、まったく種類が異なるのだそうです。
そういえば…花の形が全然違いますよね…。

                            

 ムラサキゴテンは、パープルハートとも言うそうです。
ツユクサの仲間で外来の園芸種です。
このムラサキゴテンは完全に人が植えたもので…跡地が簡易な花壇のように作られてあって他にも可愛い花がいく種類か咲いていました。

                                                     

 これは青いサルビア…。
下流の方では跡地に赤いサルビアが植えられてあるのを見ましたが…こちらの跡地の花壇の方がずっと手が込んでいて…まるで庭かと見紛うほどに綺麗に作られてあり…幾種類もの花を咲かせていました…。

 跡地の花壇の花があまりに綺麗だったので幾種類か撮影してきました。
この中からはやがて種を飛ばしたり、根を這わせたりして、勢力を伸ばし、野生化するものも出て来るでしょう…。

 来年の夏あたり…川岸や中洲など、思ってもみないところで、それらの子孫にお目にかかるかも知れません。
心配といえば心配だし…楽しみといえば楽しみです…。
悪いことに…楽しみの方がずっと…大きいように思います…。
いけないことですが…。







天に召され逝くあなたへ…。

2007-08-09 12:48:51 | ひとりごと
 夕べ…悲しい知らせがありました…。
外国で暮らしていた親友が亡くなったと…。
doveと同じ齢…小学校からの付き合いでした…。

 中学卒業まで…同じ時を過ごし…その後は別々の離れた高校へ行ったこともあって…なかなか直接には会えなかったけれど…ずっと毎年…年賀状で安否を確かめ合ってきました…。

 doveは地元の大学へ行き…音楽を愛する親友は関東の音大へ…ますます会えなくはなったけれど…元気で居ることは分かっていました。
一度だけ…夏の帰省中に実家の方へ遊びに来てくれて…もうひとりの友だちを交えて…安い酒で再会を祝いました…。

 親友は卒業後海外へ留学…そのままあちらで結婚しました…。
それ以来…会えませんでした…。
何年経ってもdoveのことを忘れずにいてくれて…子供が生まれたと知るや…子供のためにTシャツを送ってくれました…。

 PCができるならメールで話そう…と親友が…アドレスを送ってくれたのが最後の手紙になりました…。
doveがメールを送っても…返事はなかったのです…。
それまでも…年に一度の手紙での安否の確認でしたから…アドレスが間違っていたのだろうと気にも留めませんでした…。

おそらくは…あの手紙あと…発病したのでしょうが…つゆほども知らずにいました…。
夕べ…弟さんから…電話があるまで…。


 あなたと…話したいことがいっぱいあった…。
メールができると分かって…どれほど嬉しかったかわからん…。
なのに…一度も話せなかったな…。

 この齢になって…幼い日を語り合える親友は…最早あなただけだった…。
あなたが…聴かせてくれたサウンド・オブ・ミュージックの国へ行って来たんだ…。
あなたのくれたプレゼントの本…あれと同じ話を子供たちに買ってやったよ…。
あの先生がね…あの校舎がね…あの子がね…あの家がね…。

伝えられない想いが悔しい…もどかしい…!

doveは綺麗な眼をした心優しいあなたが好きだった…。
気の強いところもあったけど…けんかもしたけど…大好きだった…。
あなたの幸せをいつも祈っていた…。

会いたかった…。


 ご主人がひどく心を痛めておられると聞きました…。
電話口の向こうの弟さんの背後から嘆きの声が聞こえていました…。
親友は…ご主人に愛されていたんだ…と想うことが心の救いでした…。
最後までよくしゃべり…静かに逝ったということです…。


 戦火のない平和なところであってさえも…病や事故に倒れ…生きたくても生きられない人が居る…。
今…ある命を…どうか大切にしてください…。
自分の命も…他人の命も…。

命があるということは生かされているということだと…心に刻んでください…。
無駄に奪ってはいけません…。
自分の命も…他人の命も…。

その命はその人だけのものではありません…。
その人と繋がる目に見えないすべてのものの為に存在しています…。
失われるものはひとつだけではないのです…。

 明けて…今日…長崎原爆の日…。
戦争は…無駄に多くの命を奪います…。
この世の絆のすべてを断ち切ります…。

生きられなかった親友の命を想う時…生きられる命を奪う愚かさを嫌というほど思い知らされます…。

どうか…大切にしてください…。
自分の命も他人の命も…。


彼女は…美しい人でした…。








散歩道で拾った話…其の三十八「コミカンソウ・オオアレチノギク」

2007-08-08 17:06:00 | 植物
 立秋…のはずなんですが…今日の散歩道は焼け付くようです…。
並木も野草たちもグッタリ…。
この時期赤いはずのホオズキも…お盆前だというのに茶色く干からびてしまって見る影もありません…。

 朝の天気予報では毎日のように…雷雨があるかもしれない…と言っています…。
確かに入道雲がもくもくにょきにょき四方に出ているものですから…大物洗いを控えたりしていますが…降らないですねぇ…。
洗えばよかったかなぁ…。

 そうは言っても自然は季節に敏感なようで…草の陰で虫が鳴き始めましたし…ほら…ススキ…まだ…一本だけですが…。
散歩道ではちょっとだけ秋の気配を感じられました…。
                                                  
 この時期…ちょっと面白い野草にお目にかかれます…。
この野草、ぱっと見ただけでは…綺麗な葉っぱだけど何の木の苗だろう…くらいにしか思わないで、大抵の人は通り過ぎてしまうかもしれません…。



実は…面白いのは…葉っぱの裏側…。
こんな可愛いものが隠れているんですよ…この草には…。
                                   
分かりますか…?
小さな蜜柑みたいでしょ…?
だから…コミカンソウ…といいます…。
   
花はとても小さく目立ちませんが…拡大するとこんな感じ…。
実がだいたい2~2.5mmくらいです…。
雄花と雌花があり…画像は多分雄花…雌花はさらに小さくて赤いようです…。

見つけたら…是非…葉っぱを裏返してみてください…。
花は小さ過ぎて見難いかもしれませんが…可愛らしい実はよく分かりますよ…。

 さて…かなり前にアレチノギクのところで…アレチノギクとオオアレチノギクは若苗の頃には見分けがつかない…ということをお話したと思います…。
やっと…オオアレチノギクが判別できる姿になりました…。
                                   
 アレチノギクはこの時期になってもせいぜい50cm以下…。
このオオアレチノギク…どのくらいあると思います…?
実は…doveよりも数十センチ高いんです…。
2メートルはあるでしょう…。
ここまでくれば…差は一目瞭然…。
今が一番青々としています…こんなに暑いのにね…。

 doveがあんまり…ウロウロと散歩道を歩き回り…あちらこちらしゃがみこんでは写真を撮っているせいか…どうやら…○○さんの奥さんは薄気味悪がっていらっしゃる様子で…今日…散歩道で会っても日傘を傾けて知らん顔…。
まぁ…顔見知りというだけで…お話したこともない方ですから仕方ないのかも知れません…。
この方の御主人は道で会えば必ず挨拶を返して下さる方なんですよ…。

 こちらは趣味で野草を撮影しているだけなんですが…何だか…寂しいですな…。
他の奥さん方は…胸のうちじゃぁdoveは変な趣味の持ち主だとは思っておいでかも分かりませんが…表向きは気軽に声をかけてくださり…調子はどう…気晴らしできていいねぇ…なんて言ってくださるんですがね…。

○○さんの奥さん…別に悪さしようってわけじゃありませんので…ご安心を…。







散歩道で拾った話…其の三十七「イヌホオズキの実・林檎・スイカ」

2007-08-07 15:11:15 | 植物
 朝から入道雲が東西南北に陣取っていて…今夕はどうやら雷雨になりそうです。
入道雲というのは見ていると面白いですね。
何かこう…生き物のようで…。
今日から天体観測の合宿に行っているdoveちゃんず姉…うまく星空を拝めるでしょうか…。

 ここのところなんだかんだ用事があって、なかなか散歩に行けないのですが、下流ではそろそろ花の種類が代わっていそうなので、撮影時期を逸しやしないかと心配です。

 さて…少し前にUPしたイヌホオズキ…小さな白い花と緑の小さな実の画像を覚えていらっしゃるでしょうか…?
今日は…その小さな緑の実が熟すとどんな色になるかを…お見せします…。
                                               
分かりますか…?
この真っ黒な実が…イヌホオズキです…。
doveは最初…ホオズキというからには赤い実が生るのだろうと想像していました。
本物のホオズキは御存知の通り、提灯のような殻を被った濃い朱色の実ですから、殻はなくてもきっと似たような色だろうと考えていたんです。
ところが真っ黒…でした。(勿論…図鑑には最初から黒と書いてありますが…。)

よく似たワルナスビの実が黄色…キンギンナスビが白色から赤色であることを思えば…こっちの方がずっと茄子っぽいですよね。

 ところで…同じ下流の散歩道の…あの林檎は…こんなに増えていました…。
まだ青いのですが…すでに美味しそうです…。
他の枝にもたくさん生っています…。
林檎の実は…手の届かない川に張り出したところにあるので…熟したら全部野鳥の餌になるのでしょう…。



できれば…ちょっと齧ってみたい気がします…が…。
川に落ちそうなので…やめておきます…。

 散歩道の車道側…低木の植え込みにはスイカが自生しています…。
最初は誰かが趣味で作っていたのですが…どうやら勝手にあちらこちらに勢力を伸ばしたようです…。

                                                 
こんなに可愛い実が生っていました…。
生意気にも…すでにシマシマが…。
このスイカも何れ…虫たちの餌…かな…。

強い植物は環境さえ適合すれば…勝手に増えていきます…。
逆に…繁殖力の弱い植物はそれらにどんどん淘汰されていきます…。

見た目には美しい花々ですが…生き残る戦いは凄絶です…。
良かれと思って植えたひとつの苗が…周りの植物の生きる環境を変えてしまうこともあります…。

綺麗な花だから、美味しい実だからといって…何でもかんでも、むやみやたらに、何処にでも植えてしまうのは…良いことだとは言えませんねぇ…。

doveも気をつけなきゃ…。










原爆の日に思う…。

2007-08-06 21:42:30 | ひとりごと
 広島に原爆が落とされてから62年…。
これまでに亡くなった方の数は25万3008人…。
今なお…被爆の後遺症に苦しむ人たちが大勢…居る…。

 doveが幼い頃…雨が降るたびに大人たちは言った…。
傘をさしなさい…さもないと…髪の毛が抜けてしまうよ…。
雨には放射能が含まれているんだよ…。

 放射能の恐ろしさが一般に知られるようになったのはずっと後のことで…原爆が投下された当時は…一瞬にして都市を消し飛ばす威力に対しての恐怖の方が知れ渡っていただろう…。

 普通の人々が放射能の存在を知り、恐怖を感じたのは、おそらく第五福竜丸事件の頃からではないかと思う…。
doveに傘をさせと言ったのは…終わりのない実験による放射能が雨によって運ばれてくると考えたからなのだろう…。

 最早…雨を怖がる大人もいなくなったが…今なお…被爆した人々の身体の中に放射能の爪痕は残っている…。
それも…本人だけでなく…何代にも亘って…。

 これほどの結果を齎す原爆を落とされて…仕方がない…という人が居るとは驚きだ…。
それも国を動かしている偉い人の中のひとりだそうな…。
被爆したのは…戦争を仕掛けた人たちではなく…否応なしに戦争に巻き込まれた普通の人々…なのに…。

 核爆弾というバベルの塔を建ててしまったせいで…お互いに会話の通じなくなった国々がこれからの時代…どうなっていくのか…。
バベルの塔を崩して…対話の道を築いていくことができるのか…。
今はその勇気が…なくて…片手に爆弾持ちながら…片手で握手をしている状態…。

 原爆の日の…今日も…戦火は消えない…。
核を使わなくても…命が消える…。
毎日のように…大勢の命が…消える…。

過ちは繰り返されている…。
世界中で…。



原爆によって…戦争によって…亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします…。
一分一秒でも早く…この世界から戦争がなくなることを願って止みません…。





今日の一品…バンバンジー…dove風…。

2007-08-06 17:56:00 | 簡単手抜き料理
 今日もじりじり焼け付くような暑さ…。
体脂肪の多い身体には堪えます…。
何故だか食欲は減らないけど…体重も減らない…。
これは…喜ぶべきなのか…悲しむべきなのか…。


 さて…今日の料理は先日のレンジで蒸し鶏の応用編…バンバンジーです。
ソースは最近ではスーパーなどでも売っていますが、自宅で好みの味を作ることもできます。
 
 今日…作るソースは2種ですが…それぞれ…さらに2種に分かれます。
甘酸っぱいのがお好みの方用のソース2種と、甘さを少し抑えたいという方用のソース2種…。
画像のものはdoveの好みで甘くないタイプです。

doveんちの晩の献立の都合上(他の料理との兼ね合いがありまして…)、付け合せの野菜はミニトマト・胡瓜・クラゲを使っていますが、普通のトマトスライスやレタス・きくらげ・アスパラ・ブロッコリーなどなど…いろいろ楽しめます。

市販のソースの方が楽でいい…という方もおいでだと思うので…レシピは希望があれば…ということで…。

胡麻の香りが食欲をそそる…バンバンジー…dove風…お試しあれ!





続・現世太極伝(第百二十四話 決別せよ!)

2007-08-05 17:01:00 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 緊急事態…とは言っても相手は子供ひとりきり…。
それもエナジーたちの怒りを買ってほとんど自滅寸前…とあって…執行部も各組織もすでに普段の落ち着きを取り戻していた。

 HISTORIANが再び動き出した…という情報に当初は色めき立った連携組織も、状況がはっきりするにつれて少しばかり余裕を見せ始めた。
ノエルの空間壁を支える能力者は…あえて増員の必要なし…と判断された。

 無論、HISTORIANが絶対に動かないという保証はなかったし、子供とはいえマーキスが侮れない力の持ち主であることも確かで、警戒を完全に解除するまでには至らなかったが…。

「さて…どうする…かな…? 」

前に居並ぶ執行部面々の緊張した面持ちを他所に…いかにも興味深そうに宗主が言った。

 宗主の眼には…滝川の特別な部屋…に作られた空間内の様子がはっきりと見えている…。
仲根の第一報が御使者に届いたその時から…ずっと成り行きを見守っている…。

 血族の中でも最も宗主に似ている…と言われる西沢の言動には意識せずとも興味が湧く…。
宗主が魅かれるのは…西沢に内在する光と闇の二面性…。
まるで…自分自身を見ているようだ…と思う…。

「時には…驚かせてもくれるが…概ね…分かるな…。 」

 異なる環境に育ちながらも…何かしら身の内に同じものを持っているらしい…。
血とは不思議なものだ…。

 宗主は西沢に対して…マーキスを生かせ…とも…殺せ…とも…はっきりした命を下してはいない…。
事あれば…然るべき措置をせよ…と指示したに過ぎない…。

マーキスを操っていた首座兄弟を情け容赦なく消した時にも、特にどうしろと命じてあったわけではなかった。
そうなるだろう…と…思ってはいたが…。

 穿った見方をすれば…宗主は自ら手を汚すことを避け…西沢の闇の力を利用しているともとれる…。
西沢を本家の登録家族…息子と呼んで特使を名乗らせたのも…同じ主流の血を引く者への情愛からというよりは…宗主や本家が直接傷を受けないように生きた楯とするためだと…。

「まぁ…それも…ないとは…言わないが…。
紫苑に任せておいた方が…何かと融通が利くのでな…。 」

口さがない者の噂に…苦笑する…。

情愛がないわけでは…ない…。

如何に抜きん出た手柄があっても、心が求めたのでなければ、当然、家族などにはしない…。
息子と呼ぶのは…可愛いと思えばこそ…だ…。

裁定人の宗主などというお役目は…情愛だけでは…務まらぬものがあるのさ…。
 
 利用できるものは感情抜きに利用はするが、知らぬ顔で置くわけではない。
すべての責任を宗主が負い…西沢の処置は裁定人の宗主命令によるものだ…と同族にも他の家門にも言明してある…。
それゆえに…誰もが西沢の力を恐れはするが…その人となりを悪く言う者はない…。

「少なくとも…あいつが…二度と問題を起こさないように…もしくは…起こせないようにしてもらいたいものだ…。 」

動き始めた西沢の姿を眺めながら…宗主はそう…呟いた…。



 終わりだ…とマーキスは思った…。
目の前で見た首座兄弟の死…それが今…自分にも訪れようとしている…。

西沢は気付いている…。
誰が…あの女を殺したかを…。

磯見の無意識下の能力を使って三宅を操り…あの女の息の根を止めた…。
どれほど敏感な能力者でも…あの現場に僕の気配など微塵も感じ取ることはできなかったはずだ…。

それでも…多分…。

西沢の気配を…触れるほど近くに感じながら…マーキスは考えた…。
恋人を殺された男が…犯人に対して好意的であろうはずがない…と…。

「紫苑…この子を殺しても…麗香は喜ばない!
犯した過ちを悟らせることが…天爵ばばさまの務めなんだから…! 」

智明が必死に訴える…。
そのことに…マーキスは少なからず驚いた…。

何故…?

大切な姉を殺した犯人と薄々は気付きながら…智明はマーキスを庇おうとする…。

その顔を冷ややかに西沢が見返す…。

「誰を殺したか…なんてことはどうでもいい…。
問題は…こいつが何れ…この世界の崩壊因子になりかねないってことだ…。」

そう…今は過去のことなど頭にはない…。
考えるべきは未来…。
それが…裁定人の有り方…御使者の務め…。

御使者…西沢…の心が呟いた…。

「それなら…こいつの力を封印すれば事足りる…。
力さえ使えなければ…何もできやしない…。 
殺す必要などない…と…エナジーたちに執り成してくれ…。 」

壁のエナジーたちから再びブーイングが湧き起こった…。
キャッキャと笑う吾蘭の声がする…。

別に…こいつの命乞いをしてるわけじゃない…。

滝川は…西沢の背中に見えている黒い翼に眼を向けた…。

紫苑の心が…悲鳴をあげるのを聞きたくないだけだ…。
宗主がどう責任を取ろうと…実際に手を下した紫苑の痛みが軽くなるはずもない…。

「封印は…一時凌ぎに過ぎない…。
それでことが済むなら…執行部のお偉い衆が…庭田に渡す前にそうしている…。
尤も…こいつの成長を考えての配慮でもあったわけだが…無駄だったな…。 」

 そう…マーキスがまだ子供であることを考慮して…執行部としてはできる限り厚遇してきたつもりだった…。
敢えて過ちを咎めることもなく…力の封印もせず…普通の中学生たちと変わりない生活ができるように気を配ってきた…。

 けれども…マーキスは普通の子供として生きるより…HISTORIANの最高指導者として生きることを望んだ…。
その望みは最早…HISTORIAN側から一方的に絶たれてしまったのだが…。

何だと…言うんだ…こいつらは…。

へたばっているマーキスの頭の上で…理解し難い会話が飛び交う…。

能力者たちの善意と厚意に背いた崩壊因子マーキス…。
敵対と看做し処分しようとする西沢…天爵ばばの務めとして誤った道から更生させようとする智明…治療師として為すべきことを為さんとする滝川…。

何れもマーキスひとりのことで躍起になっている…。
まさか…と思う…。
マーキスの乏しい経験からすれば…問題となるような者は…いつの間にか組織の中から消えてなくなる…。
誰もその者の過去や未来など真剣に考慮してはくれない…。

これまでずっと…そうだった…。
力のある者…役に立つ者だけが…残る…。

不意に…空間壁を支えていたエナジーたちが静かになった…。
離れたところでエナジーたちと話をしていた吾蘭がちょこちょこ駆け戻ってきた…。

紫苑が行かせたんじゃなかったのか…?
吾蘭を動かしているのは…王弟の記憶と呼ばれるプログラムの方なのか…?

 王弟の記憶…その言葉が滝川の脳裏をかすめた瞬間…信じられない素早さでマーキスの腕が吾蘭を捕らえた…。
今にも息絶えそうなくらい衰えているはずのマーキスの身体が…俊敏に跳ね起きた…。

「おまえだけは…消さねばならん…。
我々にとっては…おまえこそが…破滅のプログラム…。 」

なんということを…。

智明は言葉を失った。
思わず…西沢の顔色を探った。
表情は変わってはいない…。
ただ…じっと…見つめている…。

判断つきかねて…滝川に眼を向ける…。
滝川の引きつった顔を見れば…容易ならざる事態だ…ということがはっきりと分かる…。

滝川には…大きく広げられた闇の翼が見える…。
マーキスが吾蘭に手を出した瞬間…すべての希望が崩れ落ちた…。

あのまま…転がっていてくれればよかったものを…。
もう…僕等には…どうしようもない…。
紫苑の出方を見守る以外に…打つ手はなくなった…。

「我々…とは…誰のことだ…? 」

吾蘭の唇から再び王弟の記憶が語りかける…。

「おまえには…もう…我々と名乗るべき仲間は居ない…。
奴等は…おまえを見捨てたのだ…。

今更…奴等の為に何をしようと…誰も喜びはしない…。
奴等にとっては最早…私という存在も…天啓宮女の魂も…どうでもいいことなのだから…。 」

怯えもせず…泣きもしない…。
初めて王弟の言葉を語った時のように気を失うこともない…。
マーキスの腕の中から…淡々と父親…西沢を見ている…。

「決別せよ…。
いつまでも過去に拘ることはない…。
おまえの方から…奴等を断ち切れ…。

未来は…ある…! 」

断言するかのように…王弟の言葉はそこで途切れた…。

同時に西沢の周りに幾つものエナジーの触手が集まり始めた…。
探るように西沢に触れては離れていく…。
マーキスを閉じ込めようとしていた檻は今や形を変え…細く鋭いエナジーの矢となっている…。

西沢が手を差し出すと矢は、その手に引き寄せられるように自ら移動した。

太極はマーキスを還元すると言っていた…。
エナジーの矢で粒子レベルに破壊するつもりなのか…。
ちょっと待て…やばいぞ…それは…。

滝川は焦った…。

アランは…どうなる…?
下手をすりゃぁ…一緒に粉々になっちゃうぞ…。

「紫苑…やめろ…。 アランが…。 」

聞く気がないのか…聞こえていないのか…西沢は止まらない…。
魔物の気配が全身から漂う…。

うぅっ…紫苑じゃねぇ…あいつ眠ってたんじゃなかったのか…?

触手の一部が滝川目掛けて突進し、滝川を押しのけ、押さえつけた…。

「仲根! 紫苑の脳に直でストップをかけろ! 
アランが危ねぇ! 」

身をよじりながら滝川が叫んだ。
仲根は即座に西沢に直接…呼びかけた…。

「だめです…。 何かが妨害していて…僕の力じゃ…。 」

万事休す!
仲根でだめなら…誰の声も届かねぇ…。
滝川は唇を噛んだ。

見かねて智明が前に出ようとした…が…エナジーの触手がそれを遮った…。
壁のあちらこちらから伸びた触手が智明の全身に纏わりつき…動きを止めた…。

「放せ! こらっ! 」

智明が吼えたその時…エナジーの矢は西沢の手を離れた…。







次回へ

散歩道で拾った話…其の三十六「アオサギ・カワウ」

2007-08-04 17:07:00 | 生き物
 散歩道の川では植物だけでなく幾種類もの鳥類が姿を見せてくれます。
カルガモやコサギなどは比較的のんびりしていて撮影しやすいのですが、小鳥たちとなると敏感で動きが素早く、さすがに古いデジカメとdoveの腕では捉えきれません…。

 この春も…鳴き声に引かれて追っかけましたが…あっち飛びこっち飛び…振り回されただけで…撮れた画像はボケボケの小さいもの…結局…名前を特定するに至りませんでした…。
やっぱり…望遠レンズじゃないと小鳥は無理だなぁ…。

えっ…腕のせい…?
まぁ…それが…一番の問題なんですけどね~…。

 腕のことは置いといて…今日は植物をお休みして…時々この川にやってくる素敵なお客さん…をご紹介しましょう…。
以前、オシドリとコサギをUPしましたが、この川には他にも様々な種類の鳥たちが姿を見せてくれます。

                               

 まずは…アオサギ…なかなか鋭い顔でしょ…。
6~7年前に下流の町へ行った折に、コサギ、アオサギ、チュウサギ、ダイサギが並んで魚を獲っている…という不思議な光景に出くわしたことがあります。
町中の川にそれだけ揃うのは珍しく…何か…ものすごく得した気分でした…。
当時はデジカメのデの字も使ったことがないdoveでしたから、そんな愉快な光景を撮影しておけなかったのがとても残念です。

                        

 doveの散歩道でよく目にするのはカルガモとコサギ…そしてカワウです…。
その中でもカワウは片時もじっとしていてくれないので、これまで撮影できたことがありませんでした。
餌の魚を追いかけて川に潜ると、出てくる位置はかなり先の方で、出てきたと思うとすぐ潜ってしまい、デジカメでここぞという瞬間を狙うのが難しいのです。

                    

 それが今回…ラッキーなことに…カワウさま…長時間に亘って一ヶ所にじっとしていてくれたので…初めて撮影できました。
今回はその中から三枚UPします。
残りは折を見てまた…ということで…。

 何年か前まで…この散歩道ではカワセミやゴイサギも見ることができましたが…最近は姿を見せません…。
住宅が多くなり…環境が少しずつ変わって…餌場を変えたのでしょうか…?

 そうだとすれば…鳥たちにとっても…人間にとっても…大変残念なことだと思います…。
彼らが戻ってきてくれるような環境を望むことは…もう無理なのでしょうか…?
悲しいですね…。






今日の一品…豚肉のみぞれ和え…dove風…。

2007-08-03 11:19:00 | 簡単手抜き料理
 ウサギさんの影響で今日は風が強いです。
涼しけりゃ少々の風は有り難いですが…ゴォーゴォー言ってる上にほとんど温風状態ですからねぇ…。

あぁ~暑い…!

 夏バテしないように滋養のある物を食べた方がいいんですが…こう暑いとさっぱりしたものを…というので豚肉は敬遠されがち…。
美味しいんですけどね…。

 画像…ちょっと失敗…タレの具を混ぜてからかけてしまいました。
のっけてから混ぜりゃ綺麗だったのに…。

まぁいいです。
味に変わりはござんせん…!
画像はタレがのっかった状態…実際にはタレと和えて召し上がってください…。

 画像の豚はもも肉ですが、好きなところをお使い下さい。
豚肉は茹でてあります…。
柔らかく仕上がるし…レンジでは思うように脂が落ちてくれないので…。

脂は残っても…少しでも涼しい方がよければ…昨日の鳥料理を応用してレンジで作ってください…。

或いは…深皿に湯を入れて…そこへ豚肉を入れておけば…レンジでも茹でられるでしょう…。

 みぞれと言うからには大根おろしを使ったタレですが…いたってシンプル…鷹の爪・醤油・(出汁こぶ)・酢・葱の微塵切り…です。
辛いのがお好きな方は大根の先の方を勢いよくすってくださいね。

大根おろしと酢以外は…できれば出汁こぶから出汁が出るくらいの時間を見込んで早めに合わせておいてください…。

大根おろしと酢は食べる直前でOKです。

好みで酢橘やレモンを加えても美味しいです。

タレは市販のものでも構いませんが、作った方が味としてはさっぱり…。
味醤油使用の場合は出汁こぶは使いませんから短時間でOK。

鷹の爪でなくても一味などで十分です。
ポン酢なら大根おろしと一味だけで美味しく頂けます。

御子達には大根も甘めの方が好まれるでしょう。
大根の葉に近い方をゆっくりすってください。
鷹の爪や一味いらないかも…。

野菜・キノコはアルミホイルやラップでレンジ調理ができます。
お使いのレンジの機能にしたがって調理してください。

勿論…茹でても美味しい。
お好みの野菜を使ってください。

因みに…このタレ…付け合せはほうれん草や白菜・キノコがお勧めです…。
もやしの炒め蒸しも美味しいですよ。

夏に涼しく栄養豊富…舌にさっぱりの豚肉のみぞれ和え…dove風…お試しあれ…!


《追加》

豚を茹でたら…冷水か氷水でさらすとあくが流れて身が締まり…より美味しいです…。