緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

子どものミカタ:届く言葉とは

2023年06月18日 | 医療
筆者の山登先生は徹底的に子どものミカタ。とはいえ、好ましくないことをそのままにはしません。例えば、未熟な若者への声掛けとして・・成熟が困難な時代だからといって、オトナにならなくていいという法はない。もし、患者があまりに依存的に寄りかかってきたら、私はふつうに「それはキミが決めることだよ」というだろう。他罰的なもの言いにカチンときたときは、「あれ、それってオレのせい?」と、意地悪く笑うかもしれない。 . . . 本文を読む
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子どものミカタ:薬は登山の靴

2023年06月04日 | 医療
薬に対しての立ち位置は、千差万別・・最近、処方が必要な方で医療用麻薬は拒薬される方は、ほとんど出会わなくなりました。眠剤や抗不安薬は、自ら処方希望される方が多数いらっしゃいます。化学合成薬より漢方薬を希望される方もいらっしゃいます。診察の時から、ご自身の薬に対する考え方について話し合うことができる場合もあれば、何も質問ありませんという方で症状の改善が思いのほかよくないためよくよく確認してみると思い . . . 本文を読む
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子どものミカタ:一言でいうとどんな病気?どんな状態

2023年05月28日 | 医療
とても面白くて、通勤の友になっている本「子どものミカタ」山登敬之.日本評論社,2014副題は”不登校・うつ・発達障害 思春期以上、病気未満とのつきあい方”帯には”思春期はいつもグレーゾーン。悩みか病気かあいまいな子どもと向き合うためにベテラン精神科医が明かすヒント”と書かれています。この本の中から、一言でいうとどんな病気か・統合失調症よくわからなくな . . . 本文を読む
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仕事で座っている時間が長いと一部のがんのリスクにかかりやすくなる(?!)

2023年04月30日 | 医療
最近読んだ論文・・・仕事で座っている時間が長い男性は、膵臓がんのリスクが有意に高くなる・・・おお?!・・なんと・・運動しないことで膵臓癌???と推測しながら論文を読むと、座っている時間とBMI(肥満)と膵臓癌とは関連性がなく、余暇の運動時間とも関係がなく。では、女性は??なんと、なんと、座っている時間が長いと肺癌が増えると・・なぜ???そこに喫煙は関係がなく、考察では、受動喫煙が増えている可能性が . . . 本文を読む
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がん妊孕性の番組で・・批評家ではなく、応援団になろう!!

2023年04月16日 | 医療
先週、夜遅い時間に何気にTVをつけたらがんの妊孕(にんよう)性を取り上げた番組が・・ハートネットTV“しあわせ”の選択 ~AYA世代のがんと妊よう性~日本人の2人に1人が生涯で「がん」になると言われています。特に15~39歳までのAYA世代では、毎年2万人が新たにがんと診断。直面するのが「子どもをもつ能力(妊よう性)」を失うリスク。医療の進歩に伴い、“妊よう性を . . . 本文を読む
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人生の物語は完結してしまったのだけど・・

2023年03月26日 | 医療
2011年2月6日というと、東北の震災の1か月位前のことの記事・・そんな気持ちで過去の記事を見ていました。先日、コメントを頂いた記事。こんな古い記事を記憶に留めていてくださっていた・・読み返してくださっていた・・言葉が見つからないほど・・嬉しく・・感激でした。改めて、患者さんのことを想い、振り返ってみたいと思います。マサコ アーントによるPixabayからの画像 ーーーーーーーーーーーーもう、死に . . . 本文を読む
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お父さんの絵(3)

2023年03月19日 | 医療
思い出せないお父さんの顔(2)からの続きです。大切な人を亡くした子供たちのサポートグループ。ある日のテーマは、亡くなった人の絵を描こうというものでした。お父さんの顔を知らないみほちゃんは、描けないと言葉にしてくれたことで、ファシリテータだった私はリフラクションというスキルを使いながら、絵を描くことではなく、記憶にないお父さんのことについて、対話を進めていました。絵本を作っているお母さん。お父さんの . . . 本文を読む
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思い出せないお父さんの顔(2)

2023年03月12日 | 医療
30年くらい前のこと・・大切な大人を亡くした子供たちのサポートグループに私はボランティアで参加していました。ある日のグループワークのテーマは亡くなった人の絵を描いてみようというものでした。 トレーニングを受けたファシリテーターが参加した子供一人に一人ずつつきます。その日、私は10歳位のみほちゃんの担当でした。最初の輪になったセッション。そしてグループワークと続きます。でも、ワークへの参加は必須では . . . 本文を読む
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みほちゃんとグリーフワーク(1)

2023年03月06日 | 医療
25年ほど前、シンシア ホワイトさんは大切な人と死別した子供達をサポートするダギーセンターのトレーナーでした。ルーテル学院大学が学術振興会の助成でシンシアさんを日本に招聘し、当時、国内にはほとんどなかった大切な人を亡くした子供たちのグリーフワークのためのファシリテーター研修と6回コースのサポートグループトライアルを実施したことがありました。私もはじめてトレーニングを受け、ファシリテータとして参加す . . . 本文を読む
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死すべき定め(5)

2023年02月26日 | 医療
「よりよい生活」の章から本当の命を生きる(同 P.135)なんて、強い言葉なのでしょう。。。「定めに任せる」の章には、2010年のTemerの論文から再発進行肺がん患者を対象とした早期からの緩和ケアの導入が緩和ケアを受けなかった患者に比較して25%長く生きたことも記述されていました。加えて、膵がん患者さんは平均3週間、うっ血心不全患者さんは3か月も緩和ケアの導入によって長く生きることができたことも . . . 本文を読む
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死すべき定め(3)

2023年02月12日 | 医療
「形あるものは崩れ落ちる」という章から。衰えは人の運命であるーいつか死がやってくる。しかし、人の中の最期のバック・アップシステムが壊れるまでは、そこまでの道を医療によって変えることができる。一気に下る断崖にすることも、穏やかな下り坂にして、生活の中でもっとも大切なことができるようにすることも可能である。医療に携わるわれわれのほとんどがこの可能性を考えていない。特定の個別の問題を取り上げるのは得意で . . . 本文を読む
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死すべき定め(2)

2023年02月05日 | 医療
2018年7月の記事に加筆した記事です。Susanne Jutzeler, Schweiz 🇨🇭 💕Thanks for LikesによるPixabayからの画像 ーーーーーーーーーーー序文から・・作者のガワンデ医師がレジデント3年目の時のこと。緊急放射線治療抵抗性の前立腺がんの患者さんに、脊髄圧迫症候群による両下肢麻痺が突如起こり、かなりリスクが高い状態でした。脊髄の転移腫瘍切除術を受けるか、受 . . . 本文を読む
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人生が医療によって埋めつくされてしまわないよう・・

2023年01月22日 | 医療
何らかの疾病に罹患しつつ、人生の終わりが近づいてきた時。治療の限界を受け止め、家で生活を続けたいと思うことがあります。一方で、人生の終わりが現実になってきたとき、何か治療を継続できないか、藁をもすがる気持ちで模索を続けることもあります。それは自然な心の反応ですが・・・そこから抜け出せなくなってしまう場合があります。多額のお金をかけるような何かをしていると安心とか、病院の中で過ごしていれば安心とか・ . . . 本文を読む
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悪心を抑えて放射線治療を完遂!

2023年01月15日 | 医療
放射線治療照射の副作用の一つに悪心・嘔吐があります。日本癌治療学会発刊の「がん診療ガイドライン」の中に「制吐療法」が設けられています。〇総論:どうして吐き気が起きるのかといった機序から、それぞれの対処方法の概略〇クリニカルクエスチョン一覧:臨床上、解決したい疑問をまとめた一覧クリニカルクエスチョンを頭文字をとって、CQと言います。ここには18個のCQがあり、各CQ毎にそ . . . 本文を読む
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嬉しかったこと!イリノテカンの下痢

2023年01月08日 | 医療
新しい年が明けました。切に、コロナや戦いから解放されていく年となることを祈っています。(Gerd AltmannによるPixabayからの画像 )縁者が数年前に亡くなった時の引き金は、がん専門病院ではない病院で投与されたイリノテカンの下痢等でした。私とあまり年が違わなかったこと、そこに至った経緯、対処の甘さ、下痢で頻回ナースコールした後の病院の対応・・思い起こすと今も悲しみがこみ上げます。昨年、あ . . . 本文を読む
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