エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

ピンネシリ(958m)~吉田岳(794m)~アポイ岳(810m) 縦走

2017年05月18日 | 山紀行 (日高山系)
HYMLの仲間たちと夏山初め花めぐり・・・
ピンネシリ (957.7m)
   
吉田岳 (794m)アポイ岳 (810m)縦走
■ 山 行 日    2017年5月16日(火)  日帰り
■ コ ー ス     北尾根コース~冬島旧道コース 縦走
■ メ ン バ ー      petuさん、トモさん、すみちゃん、まきちゃん、エバ
■ 登 山 形 態     登山道
■ 地 形 図    1/25000地形図   「アポイ岳」
■ 三角点・点名   ピンネシリ  三等三角点  点名「賓根尻ピンネシリ」
           吉田岳    地形図に山名の記載なし標高点のみ
           アポイ岳   一等三角点   点名「冬島フユシマ」

■ コースタイム   登り  5時間15分     下り  2時間20分
<登り>
07:35   ピンネシリ登山口出発
09:05   835北尾根肩付近
09:35   957ポコ
10:00   ピンネシリ頂上 (登り 2時間25分)
~10:15
12:00   吉田岳頂上  (ピンネ~1時間45分)
12:50   アポイ岳頂上 (吉田岳~50分)

<下り>
13:25   下山開始
14:25   五合目休憩小屋
15:45   アポイ岳登山口駐車場

※ アポイ岳登山口駐車場からピンネシリ登山口まで約18㎞ありますが、内13㎞は
  狭い舗装路になっています。片道約30分でした。





★ 夏山初めと出会い・再会・・・
今年の1月、紋別岳のお誘い以来4ヶ月ぶりに再び声が掛かりました。
アポイ岳~吉田岳の往復をしたいとの提案でしたが、人数がいるならピンネシリ~アポイ岳まで
縦走しませんかと逆提案すると参加者が増えて5名になりました。
当初、ピンネシリ登山口までは幌満側の林道を使用する予定でしたが、アポイ岳ジオパークセンターに
確認すると、幌満林道は一部崩壊していて通行止めらしく、ジオパークからすぐの林道なら通行可と聞き
変更しました。林道と言っても最初の約13㎞は狭いながら舗装道路でした。T字路から右折してダートに
変わりますが整備された林道は走り易く約5㎞で登山口に到着です。片道約30分でした。

登山口の前には車数台分の駐車スペースがあり、林道を挟んで登山口と入林ポストが設置されていました。
「がんびの神様」という標識も立っていましたが、何の標識かは不明です。

心配していた天候でしたが、雨ではなく細かい霧が舞う程度で登山は決行です。
一応用心して全員上下雨具を着て出発する事にしました。

今回のメンバー、夏山では全員初の同行者となりますが1月の紋別岳を一緒したメンバーが三人と初対面の
すみちゃんを加えた5名での山行となりました。





ピンネシリ登山口駐車場・・5~6台の駐車スペースあり (整備されている・トイレ無し)


駐車場から林道の向かいに登山口と入林ポストがある・・・



★ 14年前の記憶ゼロ・・・
自分から「縦走しよう・・」と逆提案をしておきながら、縦走路の状況や景色すら何にも思い出せず
記憶はほぼゼロだった。
前回登ったのは2003年10月。14年も経過するとホント記憶は曖昧になるものだ・・・。

今は、ネット上で山行記録を調べたりガイド本でコースタイムも参考に出来る。
この時期咲く花や山座同定するための広域な地形図も用意すれば展望の良いところで確認も出来よう。
改めて地形図を眺めながら長い縦走路を目で追って、果たして計画通り歩けるのかと一抹の不安はあった。


★ 元気リーダーの賑やかチーム・・・
一抹の不安はどんな山に臨むときもあるものだが、登山口に一歩踏み入れるとその不安は消えた・・。
今日のリーダーはpetu女史。昨年のHYML懇親会ルック岳で初対面以来、縁があるのか馬が合うのか
はたまた酒が呼んだのか?夏には沢デビューに一緒する機会もあり今後ますます期待の山ガールで
とにかく一緒にいると大声と笑いが絶えない楽しい方である事は間違いなさそうだ・・。
そんな山ガールが3人も居れば、還暦のオヤジ族2人は口を出す間もない (笑)



歩き始めてすぐの登山道は白樺林と一面ミヤコザサの中にあった・・・



★ 雑談山行でゆっくりと・・・
登山口の標高は437mあり北尾根の肩は835mだ。
その後は緩斜度の尾根上を少しずつ登りながら958mのピンネシリまで登り2時間10分というのが
夏山ガイドのコースタイムである。ピンネシリはこの山行中の最高点でもありアポイ岳までは平均下りとなる。
急ぐ山旅でも無く、まずはスロースタートで雑談は止まない。

C650付近に来ると樹林帯から抜け出し視界が一気に開けて来る。
タイミング良くガスが一瞬切れて下界を望み太平洋と微かな山並みを望んで気持ちが良かった。
私以外は全員初コースではあるが、記憶の消えた私を含む全員が見る景色に感動して歓声が上がる。
とは言っても見えた景色は一コマ一コマ一瞬のチャンスのみで南日高の大展望は結局最後まで見る
事は出来なかったのが少し残念である。



C650付近から望む下界と太平洋・・・


同じ場所にて・・・


咲き始めたヤマツツジについ目が留まり癒される・・・


C700付近の北尾根・・・
森林限界を超えて晴れていれば展望のいい場所だが・・・心地よい風が気持ち良く全員で一枚撮った



ピンネシリ頂上直下のハイ松漕ぎ・・・


ピンネシリ頂上標識


ピンネシリ(957.7m)頂上・・・ガスで景色はゼロ

★ 初登頂に歓声・・・
10:00 ピンネシリ頂上 (登り 2時間25分)
ピンネシリ頂上へはピーク直下の登山道を過ぎてアポイ寄りの稜線からハイ松をかき分けて頂上に着く。

予定外の頂上に初登頂とあれば喜びもひとしお・・・第一ピークを踏んで笑顔が絶えない。
天気が良かったらなかなかここから離れないのではと心配になる程だが、ここで
マダニ事件が勃発!する。

ほぼ全員の雨具には数匹から10匹ほどのマダニがボルダリングしていた。
払い落していいのか摘まんで潰した方がいいのか戸惑う人も・・・結果、「見なかった事にしよう・・」
と、ある程度払い落したのち再び山行を継続した。

一瞬だけガスが切れて太平洋を望み、また歓声が上がるもそれで終わり。
15分ほど滞在して次の吉田岳を目指すことにした。



ピンネシリ頂上から一瞬ガスが切れて太平洋が顔を出したがまたすぐガスで覆われてしまった・・

★ 花期は2週間後?・・・
ピンネシリ~吉田岳の間は、今回のように縦走でもしない限りあまり人の訪れる事は珍しいらしい。
しかし、高山植物の群落地もあり隠れたお花畑に出会えるかも知れない場所。ただ今回はちょっと
早かったようで、地形図に載っている「高山植物群落」という場所にはほとんど花は咲いていなかった。
一面がミヤコザサに覆われ「本当にここが植物群落地」なのだろうかと疑いたくなる風景だった。

山開きは6月1日と聞き、2週間は早いのかな?とちょっと期待外れだった。



ガスの中でもワイワイ楽しい山行がせめてもの救いだ!


尾根上のかんらん岩とハイ松のコントラストそして心地良い空気に一枚撮りたくなる・・


地形図にも載っている高山植物群落地なのだが・・・





吉田岳頂上では、本降りの雨となり通過した場所

★ 岩と喧嘩事件・・・
アポイ岳の手前にある岩場の登山道で突然前かがみに倒れたのは、リーダーpetuさん。
私は、その前を歩いていたが異変に気が付き振り返るとハイ松の中に顔を埋めるように前かがみで倒れていた。
すぐに救助しなければと駆け付ける直前、突然大声で笑いだすpetuさんにびっくり!して足が止まる。
「ホッ・・」としつつも他のメンバーが彼女を起こし救助する。膝を岩に強打したようだが本人は大丈夫と
平穏を装う。ならば岩は大丈夫か?なんて冗談も言える雰囲気で事なきを得たが、ボッケに入っていた
カメラは無事も雨具が破れて痛々しかった・・。

是非とも登山中は、岩と喧嘩せず仲良くしてほしいものだ。
という笑い話になってしまった・・。





登山道から吉田岳(写真右端のピーク)を振り返る・・・


雨に濡れた「ヒダカイワザクラ」


アポイ岳手前の北尾根を歩く。かんらん岩の岩場が続きポツポツ花が目立ち始めた・・


まだまだ蕾が多い「エゾキスミレ」

★ アポイ岳到着・・・
12:50 アポイ岳山頂
登山口から5時間以上も歩いているので、みんな疲れているだろうなぁ~と思ったが岩場に来て少しずつ
咲く花を発見するとみんな足を止めてカメラのシャッターを切り始め楽しそうだった。
そもそも今日の山行目的はアポイ岳に咲く花もあったので見つけると嬉しいものだ!

頂上では、それぞれお湯を沸かしてカップ麺を作ったり、おにぎりを食べてゆっくり休んだ。
忘れていたダニーズくんを思い出しチェックすると「居たいたぁ~」である。
この時期はどうしても多いので仕方ないが、気をつけたいですな!

雨もすっかり上がりポカポカ感じながら30分ほどの休憩を取った。



メンバーの一人が連れて来たカエルちゃんと標識・・・




縦走最終ピークのアポイ岳にて・・・

★ 下山開始・・・
13:25 下山開始
期待した天候は、回復したもののガスは消えず、景色を諦めて下山することにした。
道中誰に会う事もなくこのまま登山口まで私たちパーティーの貸切?と思っていたら、馬の背
付近から人の声が聞こえ始め、ガスの中を注視してると何やら作業中の面々と出会った。

ジオパークの関係者らしく保全作業をしているところに出会い、こんな日に登山をしている私たちを見て
逆にびっくりしていたかも知れない。
その後、一般の登山者に会う事が無かったのでやっぱり私たちの貸切登山だった。

咲いていた花を全部撮った訳ではないが、登山口から目立っていたのは「エゾオオサクラソウ」で
アポイ岳の登山口付近でも大株のエゾオオサクラソウが花盛りだった。
その他にも日高では準固有種と言われている「ヒダカイワザクラ」やアポイ岳固有種の「アポイアズマギク」
「サマニユキワリ」「アポイタチツボスミレ」などに出会たので、目的達成で二重丸としよう。

コースタイムは、登山では約8時間10分。登山口までの移動と回収の分を含めると約10時間となった。
これでもし花満開だったら撮影に時間を取り、登山だけで10時間は掛かったかも知れないので
今日のところは、これで良し。と思った。



下山を開始するメンバーたち


固有種 「アポイアズマギク」


固有種 「サマニユキワリ」


「サマニユキワリの大株」


固有種 「アポイタチツボスミレ」その1


「アポイタチツボスミレ」その2


休憩小屋手前の登山道に咲くアポイタチツボスミレに感動のシャッターを切るまきちゃん


五合目休憩小屋


ピンネシリの登山口近くにも目立っていた「エゾオオサクラソウ」


間もなくアポイ岳の登山口に下山する・・・

★ 出会いを大切に・・・
普段の夫婦登山とは別に複数でパーティーを組み、ワイワイ歩く山行も楽しくて好きだ。
今日のパーティーもpetuさんを中心に始めて出会った方やHYML懇親会での出会いを機に知り合い
呼び掛けて計画を立て同行したメンバーの集まりでもあった。

考えてみればツアー登山などとある意味同じで、見知らぬ方たちとツアーを共にする事となんら変わり
ないのかも知れない。また、ツアー登山はガイド会社で募集したツアーに料金を支払ってガイドをして
もらうが、HYMLのパーティーは参加者全員がリーダーでありすべてに於いて自己責任というリスク
を承知して参加する登山なのである。だからガイド料は掛からない。

時に初対面であるが故に相手の情報は何もなく登山経験や技術・知識がどれ程かも知らずに山を共に
するのだから、山行途中でのトラブルも付き物なのだ。
それでも無事終わってみれば、何故か楽しい山行になるんだろう? ハンドルネームで呼び合って
本名すらわからない場合もあり、酒を交わせば共通する山の話題だけで時間を忘れるから不思議だ。

そもそも同じ人間など二人として居ないが、職場の登山部とか社会人山岳会の仲間とは違って組織の
中ではなく、縛りも制限も会費も上下関係もベテランか初心者も関係のない自由な山情報共有サイト
の中の個々人の集まりがHYMLの基本になっている事をいつも思い出す。

ちょっとくどくなってしまったが、出会った仲間は大切にしつつももし自分と合わない人と思えば
同行を避ける事も自由であり、気の合う仲間だけで山に行きたいと思う気持ちも尊重される会なのである。

この歳になると一度会っただけである程度の性格や人柄は予想出来るが、それはあくまである程度であり
本当の相手を知るにはそれなりの時間と語り合いも必要だと思っている。かと言っていつも同じメンバーと
山に登れる訳でもなく、一緒に行きたいと思っても都合を合わせるのも難しい場合も多い。

でも、それでいいのだ。

結論は、この一言で終わる気がする・・・。


※ 5/22 一応アップ終了します。