エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

摺鉢山(1026.4m)

2009年12月27日 | 山紀行 (道北)
上川三山のひとつ・・・摺鉢山(すりばちやま)(1026.4m)
(07年のリベンジも予想外の深雪に悪戦苦闘・・タイムアウト)

■ 山 行 日     2009年12月23日(水)~24日(木)
■ コース・ルート  上川町豊原牧場から南西尾根ルート
■ メンバー      夫婦登山 No.35
■ 登山形態     山スキー
■ 地 形 図     1/25000図 「上川」
■ コースタイム   ( 登り 5時間  下り 2時間 ) ・・・頂上直下で敗退

★ 忘れられない2007年の失敗・・

  八谷和彦氏の「ガイドブックにない北海道の山々」を教本にして選んだ摺鉢山に2007.12.19に
訪れた。本と地図を頼りにまずは登山口となる豊原牧場とスタート地点となる林道の状態を偵察に立寄
った。そして当初はその林道入口に駐車してホテルハイエースへと移行する予定だったが、牧場事務所
兼牛舎から漂う強烈な香りは都会育ち?の二人には到底耐えがたく居ても立っても居られないという現
場だった。止む無く移動し安住の地を層雲峡温泉と決め30分ほど車を走らせた。
 夏場には良く利用する最高の宿地「層雲峡駐車場」に着き、いつものように1階入口から入った。その
途端滑るようにス~と車が流れ操作不能となり場内の柱(コンクリート製)に前面から激突したのである。
 アッという間の惨事に一瞬言葉を失い二人で顔を見合って「いまどうしちゃったの?」とキツネに抓まれ
た思いだった。
 我に返り、車から降りて見ると床がスケートリンク状態で正にテカテカだった。そして恐る恐る車の前面
を覗くと見るも無残な状態で大破していた。

・・・もう山どころではなく、応急処置をしてそのまま帰宅したという出来事があったのである。


★ 上川三山

 摺鉢山は、上川町市街地と天塩岳の間に位置し天塩山地の中では一番上川町に近い山である。
すぐ北にある「突角山(とっかくさん)(1059m)」と東にある「天幕山(てんまくざん)(1052m)」を総称して上川
三山と呼んでいるようだ。どの山も夏道は無く登頂には沢登りか積雪期しかない。また三山とも独立性が
高く尾根伝いに縦走は出来ず一座一座の登頂に今後何度か通うことになるだろう。この他にも「宇江内山
(うえんないやま)(1187m)」や於鬼頭岳(おきとうだけ)(1176m)」など周辺には1000m超峰の未踏の座も
多く、片道250キロ強の山通いが始まりそうだ。


★ 因縁の層雲峡駐車場・・・

  2年振りにリベンジの機会を得てやって来た。前回と同じ豊原牧場と林道の積雪状態を偵察するため
に立ち寄り、牧場スタッフに明日の早朝駐車する許可も得て宿地「層雲峡駐車場」を目指した。教訓を活
かし滑り止めの砂や入口前の一端停止、下車して場内の偵察を行って尚且つ慎重に車を停めよう・・と
準備は万全だった。
 しかし、なんの因果か1階駐車場は工事中のため使用出来ず、屋外の2階駐車場に仕方なく駐車する
羽目となった。万全の準備はすべて無となり誰も居ない広い駐車場に停めた。

温泉は、ホテル朝陽亭(日帰り入浴 700円)

★ 猛吹雪・・・

 前泊のホテルハイエースは、寒々しい広い屋外の駐車場となるも温泉で温まった体と冷たいビールで
始まる夕食の膳に一応に満足の前祝いとなった。チーヤンのメイン料理はクリームシチュー。いつものよ
うに夫婦の他愛も無い山談義で時は過ぎて行く。
19:30には消灯し、明日に備えての早寝で二人ともすぐに爆睡状態だったが夜中に目を覚ますと外は
猛吹雪で車が揺れるほど風も強かった。



【12/24(木) 】 吹雪

 4:00起床、6:00出発の予定も暴風雪状態では身動き出来ず半分以上は計画を諦めていた。
  再びシュラフに潜り込み実際には6:00に起床する。

 リベンジで遥々250キロを走りながら、吹雪でただ退散・・では芸がないと言う事で吹雪の中でも登山
口まで向かい、
歩けるところまで歩こうと決めて7:30に駐車場を後にした。

8:00 豊原牧場駐車場に着く

「豊原牧場」の駐車場に許可を得て駐車

★ 登頂は諦め偵察登山に切り替え・・・

8:10 出発。
  吹雪は少し収まり小雪程度の出発となった。積雪60~70cmの深雪に新しいトレースを付けて軽い
ラッセルのはじまりだった。
 林道というよりは、牧場の中の一般車道といった立派な道路を約2キロ強1時間ちょいのアルバイトをし
た。身体もちょうど温まって来て天気もまずまずなので自然と先に進む事になった。



牧場から北東に延びる作業道からスタート

9:20 林道終点。
場所は牧場の北側になり周りは樹林帯で囲まれている感じだ。目の前には牧場の雪原が広がり本来な
らその北には目指すべく「摺鉢山」を望めたのであろうが前途は何も見えない状態だった。
「まずは、牧場の端まで行って見るか」とコンパスで方向を示唆し少しずつ深くなる雪原のラッセルを始め
た。
八谷さんルートは、地図上のC763ピークから派生する南東尾根の先端付近から取り付き763ピークを
経由して摺鉢山の南西斜面を辿っている様だったが、山全体が見渡せない状況下では不安もあったの
で沢形の脇を詰めてC763ピークの南斜面を直登する事にした。
牧場の最北端と樹林帯の境目に小さな沢があり渡渉して樹林帯に入って行く。
深いトレースを残して行くので標識など不用とも考えたが万が一に備えてテープを付けながら前進する事
にした。



牧場の北端から沢を渡渉し深雪をラッセル登行


地図上のC763の南斜面を登る(上の写真と同じ場所)

★ 古い標識テープ・・・

10:30 C763ピーク
ピークというよりも小さな稜線上の標高点で松の大木や若い白樺の樹林帯で密集していた。ピークと見
られる松の大木には赤いペンキと営林関係の標識が打たれその近くには登山者用と見られるピンクや
赤の古い標識テープを発見した。
テープは、所々で発見し確実に摺鉢山ルートを辿っていた。
763ピークから北へ小さなポコを経由してアップダウンし、いよいよ本峰の南西尾根750m付近に来た。

ここで 11:12 になっていた。


イブのツリーが感動的な迫力だった・・・


高度を上げていくと更に深い樹林帯へと突入する・・

★ 850mから腰上のラッセルと急登・・・

ここからわずか 100m登るのに2時間を要してしまった。
単なる偵察で終わるつもりが、思いもよらず山に取り付きもしかしたら登頂も・・・なんて安易に考え始め
ていたら、そうは問屋が卸さなかった。深い雪はともかく急登に苦戦させられた。直登は出来ないので小
さくジグを切りながら登るがなかなか前に上に進まず何度も呆然と頭上を見上げてばかりいた。
チーヤンの先頭は一歩も前には進めなかった。



頂上の肩付近、雪庇の下を慎重にトラバル・・


頂上直下、最後の急斜面も深雪と奮闘するチーヤン




深雪と急斜度と体力とタイムアウトでギブアップ・・・悔しい途中下山を決める

★ 吉凶岳の再来か・・・

13:20  下山・・・
今年1月、夕張山地の吉凶岳に登った時もあと僅かという頂上直下で深い雪と微妙な雪庇に阻まれて
撤退という経験があったが、正に記憶が蘇える場面だった。
あと1時間あれば・・と、結果論ではあるが悔やまれる途中下山の決断だった。

エバ夫婦流・ダメなら下山・・・
悔やむ必要はなく、ここまで登れたことを満足しての下山・・・また来るさ。



帰路の豊原牧場から振り返り摺鉢山の裾野が顔を出したが・・・

★ さすがのスキーの威力・・・

下りは、トレースを利用しながらも滑るスキーの威力は絶大だった。2時間掛かった100mの登りも下りでは15分だったし、5時間の登りも2時間の下りで車に着いた。

今シーズンの再々リベンジを誓って帰路に着く・・・