「今日は実に上下一致して、東洋のために百年の大計を講じなくてはならぬときで、国家問題とは実にこのことだ。今ごろ世間で国家問題といっているのは、みんな嘘だ。あれはみんな『私』の問題だ」(勝海舟「氷川清話」より)
百年も前、勝海舟はすでに東洋の平和を考えていました。幕末の時代にも幕臣でありながら常に日本のことを考え、私の立場を乗り越えて公の立場で物事を考え行動していました。それは一つの立場に固執せず、常に全体の平和を考え、それを一人一人の人とのつながりから全体を捉えて行動していました。現代の中国との関係を見るとき外交上の問題と政府間の関係で一国と一国の関係ですが、勝海舟は清国の李鴻章とも一人の人間としてつながりを持っていました。はたして現代において中国とどれだけの人的関係があり、お互いの私を超えて東洋の平和、世界の平和を考えて行動できる人がいるのか疑問を感じている今日です。