後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔45〕はてさて、教育における「戦後レジームからの脱却」とは何でしょうか。

2015年09月10日 | 市民運動
 さて、私の請願・趣旨説明説明の時間がようやくやってきました。3分程度で話せと指示されてはいるのですが、ついつい長くなってしまいます。おおよそこんなことを話しました。

  昨年から今年にかけて3回の陳情・請願をしました。
・2014年9月市議会 道徳の教科化に反対する陳情
・2015年6月市議会 国歌・国旗に関する国立大学への要請に反対する請願
・2015年9月市議会 教員の政治的中立「違反に罰則」に反対決議を求める請願

 ここ2,3年の教育行政側の傾向がこの請願などに顕著に現れていると思います。それは文部科学省であったり、安倍首相や自民党の教育に対する強い思いが示唆されているようです。もっといえば、安倍氏の唱える、教育における「戦後レジームからの脱却」の一端が実現してきていると見ることも可能でしょう。 
 戦後しばらくして復活した道徳は、教科ではありませんでした。教科書の使用義務もなく、評価をする必要もありませんでした。この道徳を2018年から教科にしようというのです。戦前の道徳は修身という名称で、国定教科書を学び、「甲乙丙丁」の評価がありました。内容的には家父長制の下で、天皇主権体制=国体を維持するための最も重要な教科の1つに位置づけられていたのです。
そして、学習指導要領がない国立大学への国旗・国歌要請は大学の自治や研究の自由を踏みにじるものです。戦前に起こった滝川事件・矢内原事件・天皇機関説事件などは日本が軍国主義の道をひた走った契機になったものです。
 さらに、今回の“教員の政治的中立「違反に罰則」に反対決議を求める請願”は、戦前の教育システムをいやがうえにも想起させられます。教師(訓導)たちは教育内容や方法、進度までも細かく視学官に管理され、その指示に忠実に従っていたのです。
 教育の政治的中立ということでいえば、本来、求められるのは権力者や為政者ではないのでしょうか。一定の基準はあるものの、教育内容・方法・進度などは専門的力量を持った教師や教師集団に委ねられるというのが先進国の教育システムでなくてはならないのです。日本国憲法の三本柱に教育を加えて、4本柱にすることも考えられます。時の権力者に左右される教育では困るのです。

 3つの陳情・請願体験から明らかになったのは、どう考えても教育の戦前回帰ということでした。教育における「戦後レジームからの脱却」とは教育の戦前回帰に他ならなったのです。

 *かつて、ブックオフの100円コーナーで買った『美しい国へ』(安倍晋三、文藝春秋新書)には「教育の再生」とあり、「誇りを回復させたサッチャーの挙育改革」「ダメ教師には辞めていただく」などの目次が踊っていました。

〔44〕まずは“ 清瀬の若者を戦地に送らないことを宣言する請願”の趣旨説明です。

2015年09月10日 | 市民運動
 前回の続きです。そしてさらに請願関連のコメントが続きますよ。
 まずは連れ合いの請願の趣旨説明です。文章にまとめてきて、委員会で読み上げたものです。

清瀬の若者を戦地に送らないことを宣言する請願
福田 緑

 清瀬・憲法九条を守る会、清瀬・くらしと平和の会の会員、福田 緑です。
 私たち家族が清瀬に越してきてから34年になります。清瀬の緑豊かな自然の中で子どもたちを育てたいと願ってのことです。
 この地に住み始めて少しずつわかってきたのは、清瀬では毎年夏休みに小学生や中学生をピースエンジェルズとして広島に送りだし、原爆被害の非人道性と戦争の悲惨さを学ばせているということ、清瀬中央公園には平和の塔が建てられ、請願にも書いたような素晴らしい碑が置かれているということ、市内のあちらこちらに「非核清瀬市宣言」の大きな看板が立てられていること、毎年のように平和を祈念する行事が行われていることでした。ここは平和を願う町なのだと誇りを持ち、安心して生活することができました。
 今年の8月29日に開かれた平和祈念フェスタin清瀬に参加したときには、実行委員長石崎政治氏、および渋谷市長の平和を強く願う挨拶、ピースエンジェルズに今まで参加した子どもたち、若者たちの心のこもったスピーチを聞き、胸打たれました。特に一人の中学生が長い沈黙の後、「戦争は絶対いやです。みんなで戦争をしない国を作っていけたらと思っています。」と、ことばを絞り出すように語った姿は会場にいた人々の心を強く打ちました。

 一方、ここ数年の政治の動きは戦争への加速を感じさせます。現在参議院で討議されている「安保法制案」は、状況によっては自衛隊を世界のどこまででも切れ目なく送り出せるようにするものです。また、先日、友野ひろ子議員が一般質問での冒頭に、「誰が考えても戦争をしたいという人は一人もいないと確信するが、回りの国からの脅威をどう抑制するのか。『戦争しない』では答えにならない」という挨拶をしました。これはつまり戦争するのもやむを得ない言っているように受けとめられます。
しかし、渋谷金太郎市長は、6月議会における佐々木あつこ議員の「清瀬市では自衛隊員になる若者の激励会をしているが、この若者たちが戦地に行くことをどう考えているのか。」という質問に対して「戦地に行くということは全く考えていない。」とはっきり答えています。
 また、内閣のホームページで法制案に関する一問一答を見ると、
【問17】「日本が戦争をする国になり、将来、自分達の子供や若者が戦場に行かされるようになるのではないか?」に対して「日本を戦争をする国にはしません。そのためにも、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しくなる中で、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、外交努力により争いを未然に防ぐことを、これまで以上に重視していきます。」
と書かれており、戦争をする国にはしないと明記しています。
 憲法九条が戦後日本の平和を70年間守りぬいてきました。そして世界に日本への信頼が生まれました。国連PKOで世界の紛争地域での武装解除に活躍してきた伊勢賢治さんの講演では、非武装は最大の武器だと聞きました。

 清瀬市の先達が記した「いつまでも平和を守りぬいていきます」ということば、市が毎年重ねてきた貴重な平和祈念の行事、そして何よりもこの内閣の明確な回答に則り、戦後70年の節目として、私は清瀬市に「清瀬の若者を戦地に送らないことを宣言する」請願を採択していただくことを強く要請いたします。私たちは、清瀬に限らず、日本の、そして世界の平和を願うものです。

 次回は私の請願・趣旨説明です。