後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔48〕日曜美術館「まど・みちおの秘密の絵」-まどさんの新しい発見がありました。

2015年09月28日 | テレビ・ラジオ・新聞
 2015年9月27日は法事があり、孫たちと芋掘りで遊んでいたので、日曜美術館は録画して見たのですが、まど・みちおさんの絵の世界にスポットをあてて、なかなか秀逸でした。まどさんをよく知る谷川俊太郎さんの語り口とコメントに心がふるえました。
まずはNHKの番組サイトでその概要を知ってもらいましょう。

 「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」。日本中で愛される童謡の産みの親、詩人まど・みちお(1909-2014)。今からおよそ50年前にひそかに描きためた100枚以上の絵がある。
 その絵は、短く、平易なことばでつくられるまどの詩とはまるで似つかない。画用紙一面を細い線で塗りつぶしている。紙の地肌は削れ、波を打っている。何を描いたのかさえわからない不思議な絵。そこには一体どのような思いがあったのか・・・。
 まどが絵に没頭し始めたのは50歳を迎えたころ。戦後、児童雑誌の編集者と童謡作家の二足のわらじの生活を続けながら、「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」などを生み出してきた。それは、童謡の創作に専念するため、退職してまもなくのことだった。「描いても描いても絵が描きたい。なんということだろう。」そんな言葉を残したほど、絵にのめり込んだ。しかし、それらの絵は完成した後、押し入れにしまわれた。長いあいだ誰にも見せないままだった。
 絵に没頭したのは3年半のあいだ。そののち、まどは童謡を離れ、自由詩に活動をうつした。そして、独自の宇宙観にあふれる詩の世界をつくりあげた。詩人は絵を描くことを通して何をつかみとり、そしてどこへたどり着いたのか。
100枚におよぶ秘密の絵から、まど・みちおの知られざる姿を見つめていく。

 まどさんの絵といえば、数年前に確か川崎の美術館で鑑賞したことがありました。私は象の絵が一番気に入っていて、学級通信などにカット絵として使わせていただいたものでした。
 今回のまどさんの絵は、研究者の谷悦子さん(梅花女子大学名誉教授)が発掘したものと言っていいようです。谷さんは、かつて小学校の教師をしていた時期があって、新美南吉や、阪田寛夫などの研究者としても知られているようです。彼女の著作です。

『新美南吉童話の研究 文学教育の実践をめざして』くろしお出版 1980 大阪教育大学国語教育学会双書
『まど・みちお詩と童謡』創元社 1988
『まど・みちお 研究と資料』和泉書院 近代文学研究叢刊 1995
『阪田寛夫の世界』和泉選書 2007
『まど・みちお 懐かしく不思議な世界』和泉選書 2013

  谷さんの本とともに読んでみたいのが、『続 まど・みちお全詩集』理論社、6,500円(税込7,020円)です。谷川さんが番組で教えてくれたものでした。続編が出ていたのですね。亡くなった名編集者の伊藤英治さんはこれを手がけていたということはお連れ合いの手紙で知ってはいたのですが、市河紀子さんが引き継いだんですね。この刊行にはびっくりでした。
 手に入れたいけど高価なのでどうしようかな、と思案しているところです。(下掲の文は、理論社のサイトより)

 「身近な生き物から宇宙まで、この世界の不思議を100歳まで詩に詠み続け、昨年104歳で亡くなった詩人まどさん。1990年代以降の詩500編余に、新たに見つかった若いころからの詩約200編を補遺として収録。詳しい年譜、著作目録、総索引も収録。」
●編集者コメント
「ぞうさん」で知られる詩人 まど・みちお『全詩集』待望の続篇。1992年刊行の『まど・みちお全詩集』と今回の『続 まど・みちお全詩集』の2冊で、まどさんの約80年間にわたる詩業の全貌を伝えることを目指しました。(伊藤英治/市河紀子 編、サイズ A5変型 発行 2015年9月 576ページ)
〔参考〕『続 まど・みちお全詩集』発刊の記事、「まど・みちおさん流 20代のシュール」朝日新聞、2015.9.29(夕刊)
     「まど・みちおを遊ぶ」、拙著『実践的演劇教育論』(晩成書房)に収録。