後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔118〕「通販生活」の矜持を断固支持したいと思います。

2016年12月11日 | 図書案内
 ドイツから帰国してすぐに郵便物をざっと点検しました。時差ぼけの頭で「通販生活」2016年冬号を眺めると、あれあれ、〔夏号の「参院選特集」に172人の読者からご批判とご質問」〕という頁があるではありませんか。急いでその箇所をめくってみたら、次のような見出しがついていました。

〔ご報告 前号(16年夏号)の参院選特集に関して、172人の読者から ご批判、ご質問をいただきました。〕

 前号というのは、「自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか。」と表紙に書かれたときのものです。この号を最初に手にしたとき私は、なかなかやるな、と思ったものでした。戦争法強行採決、原発再稼働、沖縄基地問題などを考えたとき、「アベ政治を許さない」というのはまっとうな庶民感覚であり、それは日本国憲法を守ることに繋がります。ごく普通の生活者の感性ではないかと思うのです。
特集批判の手紙は、例えば次のようなものでした。

 「貴誌は全国的に幅広い読者(利用者)を有していると思われ、紹介の商品も安心安全に利用できるものが多く、妻も貴誌の紹介した商品が安心できることで少しばかり利用していようですが、今回届いた貴誌をみて驚きました。共産党や社民党の機関紙あるいは反日でしょうか。現政権反対の記事だらけ、どこかの国が喜ぶ記事が満載。仮に公平を謳うのであれば、反論記事も掲載してもいいのではないかと思いますが如何でしょうか。貴誌を利用している多くの善良な読者を反政権に導くための記事の数々でしょうか。平和を願う一市民として素朴な疑問を呈します(念のため私は自民党とは何の関係もありません)」                         (兵庫県・男性・80歳)

 最初に特集は2頁だけと勘違いして、慌てて編集部支持の手紙を書いて投函しましたが、じっくり目を通したら4頁でした。そこには16人の批判文と「編集部からのお答え」が掲載されていました。この「編集部からのお答え」が秀逸で、編集部の矜持を感じるものでした。

 172人の読者のご批判は、おおむね次の3つに集中していました。
⑴買い物雑誌は商品の情報だけで、政治的な主張はのせるべきではない。
⑵政治的記事をのせるのなら両論併記型でのせるべきだ。
⑶通販生活は左翼雑誌になったのか。 

 ⑴について申しますと、「買い物カタログに政治を持ち込むな」というご意見は「音楽に政治を持ち込むな」と同じ意見になるかなと思いました。
たとえば福島第一原発のメルトダウンがいい例ですが、日々の暮らしは政治に直接、影響を受けます。したがって、「お金儲けだけを考えて、政治の話には口をつぐむ企業」にはなりたくないと小社は考えています。「政治の話は別にやれ」という使い分けもしたくありません。 企業の理念と行動をありのまま読者の皆さんにお見せしたいと考えています。 
 ⑵の両論併記は、「対立する異論を理解し合う形式」の一つと考えて実行してきました。これからも実行していきます。しかし、憲法学者の約9割が違憲としたほどの「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認に関する決め方」は両論併記以前の問題と考えた次第です。
 ⑶についてお答えします。
戦争、まっぴら御免。
原発、まっぴら御免。
言論圧力、まっぴら御免。
沖縄差別、⊃まっぴら御免。
 通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな「まっぴら」を左翼だとおっしゃるのなら、左翼でけっこうです。

「良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念」と今後の購読を中止された方には、心から おわびいたします。永年のお買い物、本当にありがとうございました。


  どうですか。なかなかやるでしょう。わたしはますます「通販生活」が好きになりました。