後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔550〕読み応えのある、敵基地攻撃めぐる「腰越9条ニュース」(196号)が塚越敏雄さんから届きました。

2022年12月11日 | メール・便り・ミニコミ
 塚越さんのコメントと鎌田慧さんのコラムを合わせてお読みください。

◆腰越9条ニュース196号ができましたので添付します。
 今回、敵基地攻撃について書きました。読者からの投稿記事は読み応えがあり
ました。
                t417mabui@nifty.com 塚越敏雄





 ◆袴田事件の血痕鑑定
鎌田 慧(ルポライター)

 「袴田事件」についてはこのコラムで何度か書いた。8年前、静岡地裁
が死刑確定囚・袴田巌さん(86)に対し「これ以上拘置を続けるのは耐え
難いほど正義に反する」(村山浩昭裁判長)と再審開始、同時に死刑停止、
仮釈放の決定を出した。
 しかし、検察側が即時抗告して、いまだ再審は始まっていない。検察側
は袴田さんが犯行時に着ていた5点の衣類が、勤め先のみそ工場のみそ
タンクの底から発見され付着した血痕にはまだ赤みが残っていた、と主張
している。が、はたしてみそに漬かって1年以上がたっても血痕に赤みが
残っているものかどうか。
 弁護団側は、5点の衣類自体が証拠としては疑わしく、最近の検察側の
みそ漬け実験の観察によっても「赤みが残らないことが明らかになった」
と主張している。
 「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」は今月上旬、東京高裁に
対して「即時抗告を取り下げ静岡地裁の再審開始決定を確定せよ」と要請
した。
 この日の実行委員会のメンバー、日本プロボクシング協会袴田巌支援
委員会の横断幕は「時間がない」と大書されていた。
 袴田さんが逮捕された56年前、1日12時間以上の取り調べが勾留期間中
続いた。正当な取り調べ違反として、第一審裁判官だった熊本典道さんは、
無罪の心証を固めていた。が、この時は、無罪判決にならなかった。
    (11月22日「東京新聞」朝刊25面「本音のコラム」より)

◆トマホーク500発購入 戦争進備を止めよう

  鎌田 慧(ルポライター)

 「敵基地攻撃能力」と口走ってしまった。すぐに「反撃能力」と言い
換えた。
 露骨な言い方を和らげる話法というよりは、本質を隠すマヌーバー(
大衆操作)。11月下旬になって「政府有識者会議」は、「我が国の反撃
能力の保有と増強が抑止力の維持・向上のために不可欠」との報告書を
岸田首相に手渡した。
 そのあと首相は大手を振って「反撃能力は抑止力」というように
なった。
 敵基地攻撃能力は、そのものズバリ、直截(ちょくせつ)的な表現だっ
たが、これでは憲法ギリギリの「専守防衛」の枠を跳びだす。そこで
知恵者が「反撃能力」との糖衣剤。

 なにしろ、政府有識者会議は元駐米大使や元防衛次官などのほかに、
読売新聞社長、日経新聞顧問、元朝日新聞主筆などのマスコミ人で構成
されている。
 「侵略」が「聖戦」、「退却」が「転戦」、「敗戦」が「終戦」、
「臨時工」が「非正規社員」。現実の悲惨を言い換える報道が歴史を
突破してきた。

 「敵」のミサイル基地をたたくために導入されようとしているのが、
米軍需産業が製造する巡航ミサイル「トマホーク」。棍棒(こんぼう)に
石を括(くく)りつけた戦斧(せんぷ)が語源だが、いかにも恐ろしい。
 当面500発購入する。誘導する宇宙衛星も数10基必要になる。10兆円
以上に倍増する防衛予算で賄われる。
 日本は平和国家をやめ、戦争強国に変貌する。戦争進備を止めよう。
(12月6日「東京新聞」朝刊23面「本音のコラム」より)