脱原発・反原発を旗印にするたんぽぽ舎メルマガに貴重な論考が掲載されました。私にとっては馴染みのあるお二人です。再録させてもらいました。
■たんぽぽ舎メルマガ〔4822号〕より
87歳の袴田巌さんの残された貴重な人生を
愚弄(ぐろう)するな!殺すな!
袴田ひで子(姉)さんの凛とした強さが弟を支えた
静岡地検は有罪立証方針を撤回せよ…静岡県弁護士会・声明
溜口郁子(無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会)
7月16日(日)は夕方から【袴田巌さんの完全無罪を求めるくにたち
集会】でした。
最初にお話された金聖雄監督は、袴田巌さんを描いた「夢の間の世の
中」や「獄友」という冤罪を訴えながらお互いを励まし合う4人の「
友」の日常を映したドキュメンタリー映画を作られました。
金監督と袴田さんを救う会はそれ以来ご縁があります。
最近は「オレの記念日」という、布川事件で冤罪を晴らすために闘わ
れた桜井昌司さんを丹念に撮られた映画で、最近第28回平和・協同ジャー
ナリスト基金賞 奨励賞受賞や第14回座・高円寺ドキュメンタリーフェ
スティバルコンペティション部門で大賞を受賞されました。
今回はテレビETV特集で放映された「雪冤(せつえん)〜ひで子
と早智子〜」という冤罪を訴える弟さんや夫を支える2人の素敵な女性
のドキュメンタリーの一部に新たな袴田巌さんとひで子さんの日々を加
えた約30分の録画上映をされた後にお話を伺いました。
「冤罪映画監督と言われてしまいまして」とユーモアを交えながらも
今回の検察の袴田事件への有罪立証に静かな怒りを述べておられました。
袴田巌さんの日常にも触れられて、最近の「お金を儲けて平和のため
に使わなきゃあかん。」とか「蒲田に最高裁がある。」と巌さんの言葉
が伝えられました。
袴田巌さんが長年の収監による拘禁症状から抜け出せることはなかな
かないようです。
又「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」からは門間幸枝副代表が
お話し、これまでの袴田さん支援の日々と、完全無罪を強く願いながら
天国に召されてしまった熊本典道元裁判官への思いを切々と語りました。
何より嬉しいのはと、袴田事件を通して理不尽な冤罪がなくならない
日本を知り、ある小学校と中学生の2人の男子が裁判官とそれに関係す
る仕事を目指している喜びを語りました。
門間幸枝さんは、「袴田さんを救う会」の広告塔としてこれまで全
国に支援を訴えて回り、ジュネーブの国連人権理事会に訴えたり、海外
にも何カ国も足を運んできました。
私たち「袴田さんを救う会」では、これまで袴田ひで子さんの凛とし
た強さに逆に励まされてきた年月でもあります。
検察は今後有罪立証をするとか。袴田巌さんの気の遠くなるような年
月の理不尽さを思います。
この袴田巌さんの再審公判を巡り、静岡県弁護士会の杉田直樹会長
は18日、静岡地検に対し、有罪立証方針を撤回するよう強く求める声明
を公表した。
静岡市葵区で記者会見した杉田会長は「いたずらに貴重な時間を費や
す行為。袴田さんに残された貴重な人生を愚弄(ぐろう)している」と
述べました。(静岡新聞より。)
これからも袴田巌さんが完全無罪を勝ち取るまでご支援をよろしくお
願い致します。
主催者の「くにたちで人権を考える会」の皆様、お世話になりました。
司会をされた押田さんは狭山事件の支援者、当会にも多大な協力をし
てくださっている方です。ありがとうございました。
◆沈思実行(155)デッチあげ捜査官の手口
みそタンクには何もなかった−現場を捜査した静岡県警の発言
鎌田 慧
冤罪事件は誤認逮捕からはじまる。逮捕された容疑者は、警察署
の密室で、刑事たちから虚偽の自供へ誘導される。やっていないのに自
白するわけはない、とだれでもが考える。が、刑事たちは執拗で捕らえ
た獲物に供述調書への署名、指印をさせてしまう。
彼らは自分たちに不利な証拠は隠蔽し、有罪の証拠を偽造する。その
結果、死刑の宣告を受ける。
非人間的な、不条理のドラマだ。「みそタンクには何もなかった」。
1966年、清水市(現静岡市)での一家4人強盗殺人事件で、現場を捜査
した静岡県警の元刑事が東京新聞記者に語った(6月30日付け)。
逮捕されていた袴田巌さん(87歳)は、東京でプロボクサーになってい
たが、清水市のみそ製造工場ではたらいていた。「ボクサー崩れ」との
賤称が容疑者にされた理由だ。逮捕理由はパジャマに付いていた血痕
が、被害者の血痕と一致する、だった。
が、逮捕の翌年、みそタンクから、白ステテコ、白半袖シャツ、ズ
ボン、緑色のズボンの5点が発見された。
検察は犯行時の着衣をこれまでのステテコから、5点の衣類に替え
た。みそ工場の労働者が、自分たちがつくった商品「みそ」の中に血で
汚れた下着を捨てようと思うかどうか。
当時、捜査を担当した刑事が、べつの警察署に移動していたが、み
そタンクから着衣が出てきた、とのニュースを聞いて「なんであんなも
のがでてくるのか」と驚いた、という。
着衣に付着していた血痕の色は、事件から1年が経って発見された
にしては、「赤み」が残っていて不自然だった。
袴田さんが逮捕されたあとに、第三者が入れた可能性を否定できな
い。「第三者は捜査機関の可能性が高い」というのが、再審開始を決定
した東京高裁の判断だった。
容疑者の着衣に警官が血痕を付着させた例としては、「弘前事件」(
教授夫人殺し、1945年)がある。
狭山事件では石川一雄さん自宅の鴨居に被害者の万年筆があったとさ
れてきた。
が、それは被害者のものではなく、別物の万年筆を三度目の家宅捜査
時に捜査官が置いたとしか考えられない。
(7月19日週刊「新社会」第1315号より転載)
■たんぽぽ舎メルマガ〔4822号〕より
87歳の袴田巌さんの残された貴重な人生を
愚弄(ぐろう)するな!殺すな!
袴田ひで子(姉)さんの凛とした強さが弟を支えた
静岡地検は有罪立証方針を撤回せよ…静岡県弁護士会・声明
溜口郁子(無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会)
7月16日(日)は夕方から【袴田巌さんの完全無罪を求めるくにたち
集会】でした。
最初にお話された金聖雄監督は、袴田巌さんを描いた「夢の間の世の
中」や「獄友」という冤罪を訴えながらお互いを励まし合う4人の「
友」の日常を映したドキュメンタリー映画を作られました。
金監督と袴田さんを救う会はそれ以来ご縁があります。
最近は「オレの記念日」という、布川事件で冤罪を晴らすために闘わ
れた桜井昌司さんを丹念に撮られた映画で、最近第28回平和・協同ジャー
ナリスト基金賞 奨励賞受賞や第14回座・高円寺ドキュメンタリーフェ
スティバルコンペティション部門で大賞を受賞されました。
今回はテレビETV特集で放映された「雪冤(せつえん)〜ひで子
と早智子〜」という冤罪を訴える弟さんや夫を支える2人の素敵な女性
のドキュメンタリーの一部に新たな袴田巌さんとひで子さんの日々を加
えた約30分の録画上映をされた後にお話を伺いました。
「冤罪映画監督と言われてしまいまして」とユーモアを交えながらも
今回の検察の袴田事件への有罪立証に静かな怒りを述べておられました。
袴田巌さんの日常にも触れられて、最近の「お金を儲けて平和のため
に使わなきゃあかん。」とか「蒲田に最高裁がある。」と巌さんの言葉
が伝えられました。
袴田巌さんが長年の収監による拘禁症状から抜け出せることはなかな
かないようです。
又「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」からは門間幸枝副代表が
お話し、これまでの袴田さん支援の日々と、完全無罪を強く願いながら
天国に召されてしまった熊本典道元裁判官への思いを切々と語りました。
何より嬉しいのはと、袴田事件を通して理不尽な冤罪がなくならない
日本を知り、ある小学校と中学生の2人の男子が裁判官とそれに関係す
る仕事を目指している喜びを語りました。
門間幸枝さんは、「袴田さんを救う会」の広告塔としてこれまで全
国に支援を訴えて回り、ジュネーブの国連人権理事会に訴えたり、海外
にも何カ国も足を運んできました。
私たち「袴田さんを救う会」では、これまで袴田ひで子さんの凛とし
た強さに逆に励まされてきた年月でもあります。
検察は今後有罪立証をするとか。袴田巌さんの気の遠くなるような年
月の理不尽さを思います。
この袴田巌さんの再審公判を巡り、静岡県弁護士会の杉田直樹会長
は18日、静岡地検に対し、有罪立証方針を撤回するよう強く求める声明
を公表した。
静岡市葵区で記者会見した杉田会長は「いたずらに貴重な時間を費や
す行為。袴田さんに残された貴重な人生を愚弄(ぐろう)している」と
述べました。(静岡新聞より。)
これからも袴田巌さんが完全無罪を勝ち取るまでご支援をよろしくお
願い致します。
主催者の「くにたちで人権を考える会」の皆様、お世話になりました。
司会をされた押田さんは狭山事件の支援者、当会にも多大な協力をし
てくださっている方です。ありがとうございました。
◆沈思実行(155)デッチあげ捜査官の手口
みそタンクには何もなかった−現場を捜査した静岡県警の発言
鎌田 慧
冤罪事件は誤認逮捕からはじまる。逮捕された容疑者は、警察署
の密室で、刑事たちから虚偽の自供へ誘導される。やっていないのに自
白するわけはない、とだれでもが考える。が、刑事たちは執拗で捕らえ
た獲物に供述調書への署名、指印をさせてしまう。
彼らは自分たちに不利な証拠は隠蔽し、有罪の証拠を偽造する。その
結果、死刑の宣告を受ける。
非人間的な、不条理のドラマだ。「みそタンクには何もなかった」。
1966年、清水市(現静岡市)での一家4人強盗殺人事件で、現場を捜査
した静岡県警の元刑事が東京新聞記者に語った(6月30日付け)。
逮捕されていた袴田巌さん(87歳)は、東京でプロボクサーになってい
たが、清水市のみそ製造工場ではたらいていた。「ボクサー崩れ」との
賤称が容疑者にされた理由だ。逮捕理由はパジャマに付いていた血痕
が、被害者の血痕と一致する、だった。
が、逮捕の翌年、みそタンクから、白ステテコ、白半袖シャツ、ズ
ボン、緑色のズボンの5点が発見された。
検察は犯行時の着衣をこれまでのステテコから、5点の衣類に替え
た。みそ工場の労働者が、自分たちがつくった商品「みそ」の中に血で
汚れた下着を捨てようと思うかどうか。
当時、捜査を担当した刑事が、べつの警察署に移動していたが、み
そタンクから着衣が出てきた、とのニュースを聞いて「なんであんなも
のがでてくるのか」と驚いた、という。
着衣に付着していた血痕の色は、事件から1年が経って発見された
にしては、「赤み」が残っていて不自然だった。
袴田さんが逮捕されたあとに、第三者が入れた可能性を否定できな
い。「第三者は捜査機関の可能性が高い」というのが、再審開始を決定
した東京高裁の判断だった。
容疑者の着衣に警官が血痕を付着させた例としては、「弘前事件」(
教授夫人殺し、1945年)がある。
狭山事件では石川一雄さん自宅の鴨居に被害者の万年筆があったとさ
れてきた。
が、それは被害者のものではなく、別物の万年筆を三度目の家宅捜査
時に捜査官が置いたとしか考えられない。
(7月19日週刊「新社会」第1315号より転載)