後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔759〕「九条チラシのリニューアル版を作りました。」(腰越で奮闘する畏友、塚越敏雄さんから)

2025年01月14日 | メール・便り・ミニコミ

●9条チラシを11月に作りましたが、ほとんど無くなったため、リニューアル版を作りました。添付します。 今年もよろしくお願いいたします。                     塚越敏雄

◆「曖昧な決着」への疑問
  袴田巌さんの無罪確定に対する検事総長、法務大臣の意見

                             鎌田 慧(ルポライター)

 死刑囚・袴田巌さんの無罪確定は今年の大きな喜びだったが、畝本直
美検事総長は控訴断念後、「証拠を捏造(ねつぞう)と断じたことには強
い不満を抱かざるを得ない」と判決を批判した。年末に発表された最高
検「検証結果」も、捏造説を「不合理」と反論した。自己剔抉(てっけ
つ)の精神がない。

 58年前に発生した殺人事件。今年5月の再審結審時でも、検察は死刑
を求刑した。論拠の供述調書ばかりか、最重要な衣類5点とその端切れ
が、捜査官による「捏造」とされて、面目を失ったのは理解できないわ
けではない。
 しかし、ひとりの人間を死刑にするかしないか、人間社会での最大の
決断である。依拠した証拠がでっち上げだったなら、罪は深い。まして
国家の決定である。

 捏造でなかったとしたなら、無罪決定は誤判となる。決定に対して検
察側が控訴しなかったのは「長期間にわたり法的地位が不安定な状況に
置かれてきた。その状況が継続するのは相当ではない」(検事総長)。
法務大臣も同じ意見だった。
 検事総長も法務大臣も、有罪と思いつつ、「無罪を否定するものでは
ない」(「検証結果」)。
 暖昧なままの決着。これで幕引きにするつもりか。
 「疑わしきは罰せず」は冤罪を防ぐための裁判の鉄則だが「過ちて改
めざる、これを過ちという」の精神が必要だ。狭山事件など、まだ寛罪
事件は多い。
         (2024年12月31日「東京新聞」朝刊15面「本音のコラム」より)

◆新年の希(ねが)い
  狭山事件の再審開始を
                                   鎌田 慧(ルポライター)

 新年を迎えて日本の現状を考えると、軍備増強・兵器輸出、さらには
集団的自衛権行使と敵基地攻撃能力の保有まで、平和憲法に背く米国へ
の追随政策が甚だしい。
 米軍が自衛隊を軍事支配する危険性が強まっている。一方で、民間企
業の日本製鉄によるUSスチールの買収は大統領命令で中止された。
 力関係の象徴といえる。トランプ政権になったら、もっと露骨な、や
らずぶったくりになりそうだ。

 さて、今年こそ狭山事件の再審開始につなげたい。新たな証拠の鑑定
人尋間が早く実施されるよう、もう少し力を出そう。冤罪者の石川一雄
さんは86歳になる。なんとか元気なうちに無罪になってほしい。
 石川さんが殺害し、女子高校生の自宅へ脅迫状を持って行ったとされ
ている。
 しかし、当時、非識字者だった石川さんが脅迫状を書くなど、本人に
も想像できない行為だった。一審は死刑判決。が、石川さんはけろりと
していた。身に覚えがなかったからだ。

 袴田巌さんは一審死刑判決から無罪判決まで56年もかかった。この非
情と恐怖の歳月は、精神的な拷間であり、人間性無視の極限だった。
 わたしたちは講談や芝居の影響か、親の仇(あだ)を返す敵(かたき)討
ちの思想や主人の復讐をする忠臣蔵の思想に影響されすぎている。
 戦争も死刑制度も勧善懲悪の人殺しなのだ。
        (1月7日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


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