エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

侘助(わびすけ)が咲いた

2009年11月20日 | 日記
「一子侘助」という花がある。
小さな椿科の花である。
赤、ピンク、白と色は多種ある。
楚々とした可憐な花であり、茶花としても珍重される花である。





         侘助


     侘助に乗り移ったような楚々とした佇まい
     きみの容姿の向こうに
     白い小さな花が咲いていた

     寒さに震える冬の夜
     きみが温めてくれた布団の柔らかな匂いに
     酔いしれた若き日々
     いつだって夢をみていたのだった

     牛乳瓶に一輪挿されていた花は
     この季節
     決まって侘助だったのだ
     どこか近くの生垣から失敬してきたものだった

     侘助を眺めながら
     きみの輝くからだを抱きしめた日々
     あわあわとしたきみの肌に口づけた日々

     若き日々の頁(ページ)には
     侘助が楚々として咲いていたのだった






侘助は一子を冠にする。
一子侘助である。

“侘助”という変わった名の由来は、千利休の下男の中に花を愛する者がいて、ある日、その下男の育てている椿の中に、美しい椿を利休が見つけ、その椿に下男の名を付けたと言われている。

お茶の席で一輪挿される。
茶室に良く似合うのである。




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                 荒野人


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