エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

白きもの

2015年01月03日 | ポエム
白きもの。
今日は、やはり吉祥の白い水仙である。



白きものは、不思議な魅力がある。
先人は「白きたおやかな峰」などという小説をものにしたりしている。

白きものは、真綿のようなものであって、手の平でクルクルと転がして丸くしてしまいたくなる。
その白きものは、柔らかく弾力がある。
手の平に余る・・・そんな感触であるのだ。

この白きものは、ビオトープの一画に咲いている。



深落葉が積っている。
蜘蛛の巣も張り放題だ。

かつては、米軍キャンプの中であった。
民間のおそらく農家であった。

屋敷林に囲まれた、立派な屋敷であったと思われる。
米軍は、手つかずに置いたのであろう。



朽ちつつある、井戸。
何故かしら寂しい。







「水仙の白き光の煌めけり」







白い水仙は、そのビオトープの中にある。
そして、ただこの株だけである。
しかしながら、毎年必ず咲いてくれる。

魅力的な花である。
そして、一人占めしてしまいたくなる花である。
誰にも見せず、こっそりとしまいこんでおきたい。

不思議なのは、蕊に付着した花粉だけが黄色なのである。
密やかに、人に見せなければ良いのに。

ぼくの知っている白い水仙は、桐の箱に入って静かにしている。
エウゲニ・オネーギンのタチアナのように・・・。




      荒 野人


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。