「イスラエルが幸せにされるどんなときにも、あなたはわたしの住まいの衰退を見るようになる。あなたの家には、いつまでも、年長者がいない。」(Ⅰサムエル2:32新改訳)
エリは大祭司アロンの子孫で、四〇年間にわたり、神の幕屋にあってイスラエルを指導した。▼だが年を取るにしたがって力がおとろえ、息子たちも言うことをきかなくなった。そのため、イスラエルの人々は幕屋に来ることをいやがり、二人の息子祭司の横暴(おうぼう)は神を怒らせた。本章後半に記された、エリに対する預言者の忠告は恐ろしいものであった(27~36)。▼悲しいことに、高齢になったエリには、息子を敢然(かんぜん)といさめる気力も、神に心から悔い改める力も残っていなかったことで、悲劇のおとずれは時間の問題になった。ただひとつの明かりは、少年サムエルが献身者としてエリのもとで奉仕していたことである。すべてが閉ざされた霊的暗黒のなか、神はひとりの少年に目を留め、将来の救い手として準備しておられたのであった。▼「なぜあなたがたは、わたしが命じたわたしへのいけにえ、わたしへのささげ物を、わたしの住まいで足蹴にするのか。なぜあなたは、わたしよりも自分の息子たちを重んじて、わたしの民イスラエルのすべてのささげ物のうちの、最上の部分で自分たちを肥やそうとするのか。」(29同)