「この人たちも、まず審査を受けさせなさい。そして、非難される点がなければ、執事として仕えさせなさい。」(Ⅰテモテ3:10新改訳)
パウロはここで、教会の監督と執事たちを選ぶときの注意点をテモテに教える。使徒たちは世界宣教にたずさわっていたので、一か所に定住することはできなかった。そのため、あたらしく生まれた教会を牧会指導していくための監督や執事たちを選んで任命する必要があったわけである。▼ここで目立っていることがいくつもあるが、その中に「自分の家庭をよく治めている」(4、12)という条件があげられていることに注意したい。そしてパウロは、「自分自身の家庭を治めることを知らない人が、どうして神の教会を世話することができるでしょうか」(5)とも言う。▼現代は個人の尊厳が重んじられる一方、家族の結び着きがともすれば軽視されやすい風潮を生んだ。つまり権威主義を極端に嫌う生き方であり、これが家庭の秩序を弱めているという指摘がある。これを正しい姿に戻すのは、神とキリストへの敬虔な信仰に親子が共に生きることに尽きよう。それを実証しているキリスト者が監督、執事としてふさわしいとパウロは言うのである。わが国では4代、5代と続いている信仰家庭はめずらしいが、ないわけではない。貴重なそれらの家庭を模範にしながら、ほんとうの家族形成に努めさせていただこう。