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首都一極の危うさ 政府、首都移転から代替へ

2011-06-12 11:30:35 | Weblog
首都一極の危うさ 政府、首都移転から代替へ(産経新聞) - goo ニュース

 政治、経済の中枢機能が集中する東京で、大災害やテロなどが起きた場合にどう備えるか-。東日本大震災が突き付けたこの問題に対し、菅直人首相は5月1日の参院予算委員会の答弁で、一歩踏み込んだ。

 「私も今回の大震災で指揮をとる中、万が一、首相官邸の機能が失われたらどうなるのかということが頭に浮かんだ」

 民主党の川上義博参院議員の質問にこう答えた首相は続けて「(東京で)大きな地震があっても、影響されない地域で首都機能が代替できるということについては、しっかりと考えておかなければならない」と明言した。

 東京が危機に陥った際に首都機能をバックアップする危機管理都市(副首都)構想。超党派の議員連盟で議論されたこの構想に、政府が初めて前向きな方針を示した答弁だった。

 首相答弁を受けて、所管官庁の国土交通省はさっそく動き出した。

 国交相の諮問機関である国土審議会は、国の新たな防災体制を検討する「防災国土づくり委員会」を新置、今月7日に初会合を開いた。その論点の1番目には「機能の分散配置(バックアップ機能)」と記された。危機管理都市を念頭に置いた論点なのは言うまでもない。

 同省はさらに、夏の組織改編で国土計画局首都機能移転企画課を廃止し、新設する「国土政策局(仮称)」内の総合計画課に統合する方針だ。これにより、従来の首都機能移転構想は事実上廃止され、新たに危機管理都市構想が本格的に動き出すことになる。

 東京都千代田区永田町1丁目7番1号。地図帳を開いて国会議事堂を中心に、コンパスでぐるっと円を描いてみると、東京への一極集中は一目瞭然だ。

 半径1キロ圏内には霞が関の中央官庁や最高裁判所など、半径3キロ圏内には防衛省や日本銀行本店、また米国、英国、ロシア、中国といった主要国の大使館もすっぽり収まる。

 総務省が今月3日に発表した統計によると、平成21年7月現在、全国180万5545社のうち15・5%にあたる28万603社が東京都内に所在。とくに大企業のほとんどは東京に本社を置いている。

 海外に親会社がある企業も、全国267社のうち約7割の191社が東京にある。

 首都としてのあらゆる機能が集中する「超過密首都・東京」。その抱えるリスクは測定不能なのかもしれない。

 ■「もう議論の段階ではない」

 東日本大震災発生から約2週間後の3月23日。国会内で開かれた超党派の「危機管理都市推進議員連盟」(会長・石井一民主党副代表)の会合は、メンバー以外の議員も多数出席し、会場は緊張感が張り詰めていた。

 同議連は平成17年に発足、危機管理都市の建設を議論してきたが、東日本大震災を受けて「もう議論の段階ではない。実行に移さなければならない」(議連幹部)との認識が一気に広まったのだ。

 会合の冒頭、プロジェクトチームのメンバーとして研究を重ねてきた民主党の大野元裕参院議員が、「危機管理都市のあり方」と題した4枚のペーパーを配布し、説明に立った。

 「今回のような大震災が関東で仮に発生したら…、という懸念はだれでもお持ちのはずです。東京に一極集中しているわが国において、東京圏以外に首都機能を代替する都市を建設する必要性があります」

 その上で、大野氏は危機管理都市の条件として「東京から一定の距離がある」「平時においても有事においても日本全体を動かす組織が安全な形で集中して建設できる」などを挙げた。

 議連内では危機管理都市の建設候補地として、廃止が取り沙汰されている伊丹空港(大阪府豊中市、池田市、兵庫県伊丹市)跡地が有力となっている。東京からの距離、陸海空の交通アクセスの良さ、一定の広さをもった平坦(へいたん)な敷地の確保-などの条件を総合的に考慮した結果だ。幹部は「危機管理都市の建設を急ぐには伊丹空港跡地以外にない」と言い切る。

 1990年代に盛り上がりを見せた首都機能移転構想は、東京一極集中是正を目的に国会や中央官庁、最高裁判所など国の首都機能を、東京以外に移そうというものだった。

 これに対し、今回の危機管理都市構想は、首都は東京のまま、国会や中央官庁などの政治、経済・金融の中枢機能の代替施設を備えた都市を建設し、東京が危機に陥った際のバックアップ機能を持たせるという計画だ。

 米国のワシントンとニューヨークなど他国では政治と経済の中枢機能が分離されている例は多々あるが、危機管理都市は平時は副首都として、有事の際は首都としての機能を担う。世界初の試みといっていい。

 危機管理都市推進議連は震災前、「総合特区制度法案」の成立を危機管理都市建設の前提と考えていた。同法案は今国会に提出済みで、議連は、最有力地の伊丹空港跡地を政府から総合特区として閣議決定してもらい、この制度を利用して整備を進める方針だった。

 しかし、東日本大震災で状況は変わった。「危機管理都市の建設は確実に、そしてスピードアップして進めなければならない」(幹部)との危機感から、新規立法の制定を急ぐことにした。議連は5月から幹部会を週1回ペースで開き、「国家危機管理都市建設推進法案」(仮称)の大綱づくりを進めている。

 議連幹部の一人は「来月には大綱案をまとめ、法案策定作業に入りたい。そして、平成23年度第3次補正予算が編成されるなら、建設のための調査費を計上したい」と意気込む。

 議連には現在、民主、自民、公明、みんな、国民新、たちあがれ日本の各党から計200人が参加している。与野党のコンセンサスは形成されつつある。

 東京一極集中のわが国の危機管理。まさに政治が取り組むべき課題だ。

今回の大震災を契機にやはり搭乗してきました。
一極集中の危険性を解消することは本当に可能なのでしょうか。