こどものころにみた夢 角田 光代,島本 理生,石田 衣良 講談社 このアイテムの詳細を見る |
天気 早朝までそれから次第に
角田光代 著 : 男
を、読みました。
幼いころから夢は毎日見ていて、
見た夢は頭の中の箱に分類される。
「おうちの箱」「学校の箱」「本当の箱」そして「よぶんの箱」
意味不明な脈略のない夢が放り込まれる「よぶんの箱」に
続きものの夢があります。“男”の夢です。
男は、主人公が幼いころから夢の中でずっと歩いています。
どこだか分らない場所を、ずっとずっと旅をしているのです。
小さな女の子が、
「絶望と思える失敗と、ささやかな成功をくりかえし」
やがて大人になりました。
大人になって、子どもの時代から遠く離れてしまっても
“男”は、淡々と夢の中で歩いているのです。
時には“男”にあまやかな思いを抱き、
時には“男”に恐怖を覚え。
しかし大人に成りきった主人公は、
夢に出てくる“男”に、もう何も感じません。
そういう姿が、達観した大人を感じさせます。
夢に出てくる“男”は、きっと人間の人生観を象徴しているのだろう。
そういうふうに感じた、やはり素敵な角田作品でした。