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クワイエットルームにようこそ |
松尾 スズキ | |
文藝春秋 |


松尾スズキ 著 : クワイエットルームへようこそ
を、読みました。
眼が覚めると、身体をベッドに拘束されていて
点滴と尿道カテーテルが、身体につながっていた。
なぜそんなことになったのか?おぼろな記憶をたどって
だんだん経緯が思い出され、同時にそこが精神病院の一室という事がわかってくる。
明日香は、この病院に入院中の、
拒食症の少女や、記憶障害の女性を見ては
自分はただ一人まともだと思っている。
主人公がのぞいた狂気の入り口を、
シリアスなユーモア満載で綴った物語。
何というタイトルでしたっけ?
アンジェリーナ・ジョリーが主演した、
奪われた子どもを探す物語。
子どもは帰って来るけど、その子はどうみてもわが子じゃなく
でも、周囲は全員その子が、あなたの子どもですよという。
そんな恐ろしいシチュエーシュンが、なんと実話だった!みたいな映画。
それって、子どもを奪われる恐怖も感じますが、
周囲の人が全員、自分を精神異常者とみなすという
そっちのほうが、怖いなと感じていたんですが、
この物語にも、同じような事を感じました。
精神病院で監禁されて、普通にしている事って難しいと思うんです。
いつもぼんやりしている私としては、いつも通りにしていると
死ぬまで出してもらえないような気がするし、
頑張って、きちんとしている振りするとボロが出て、やっぱ変だし。
そんなことばかり意識して、過ごしているとほんとに発狂してしまいそう!
だいたい、ヤバくない状態って??一日中全然ヤバくない人って
ほんとは、少ないかもよ??
狂気っていつもそばにあるのに、
気付かずに、もしかすると気がつかないふりをして
日々を過ごしているのかも。
松尾スズキの芥川賞ノミネート作品。
ユルイ感じの文体は、受賞に値したと思うんだけどな。