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なくしたものたちの国 |
角田光代 松尾 たいこ | |
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角田光代 著 : なくしたものたちの国
を、読みました。
おどおどしていて、愚図で、ぼんやりしているように見える子どもだった主人公の成子。
大人から見ると、いや、子ども同士から見たってそんな印象に映る成子は、
実は、いろんなものの声が聞こえる女の子だった。
木漏れ日、街路樹、ドアノブ、みかん。そんなありとあらゆるものの声が
彼女の世界を複雑にし、戸惑わせていた。
入学した小学校で、一番最初に友達になったのは山羊の“ゆきちゃん”
女だけど、どこかおネエ系な口調の、奔放なゆきちゃんと
心を通わせ、秘密を分かち合うが、
ある日を境に不思議な声は二度と聞こえなくなる。
成子の特別な感覚が、誰しもの普通の感覚に一致する
不思議な不思議な物語。
いろんなものの声が聞こえる女の子が、
高校生の時に猫の生まれ変わりの、中学生の男の子に出会い、
大人になってからは、苦しい恋の果てに生霊になってしまい、
その後、偶然の出会いという縁で結婚し・・・・・
と、全体的にファンタジーなんだけど、
でも、言っていることは(私が勝手に感じたことは)
人が生きるという事は、何かをなくしてゆくという事。
何かとは、物であり、人であり、感覚であり、思い出であり、
その他沢山のものを、日々なくしながら生きているという事。
そんないろんなものをなくすことを恐れなくていい。
また会える。いろんな形で。
いつもの角田作品とは、ちょっと違った面白さがあって、
やっぱり面白かったです。
天才と同じ時代に生きることができて、幸せだ~。