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ツキミソウ? マツヨイグサ?

2022年09月07日 10時16分46秒 | アカバナ科
2022.07.05撮影

今年植物屋さんで見初めて買ってきたマツヨイグサ属(待宵草属 Oenothera)の Oenothera fruticosa が、この画像の花です。園芸種で、その園芸名を 'Lemon Drop' といいます。

Oenothera fruticosa に和名はないようですが、英名 Narrowleaf evening primrose を訳すと「ホソバマツヨイグサ(細葉待宵草)」となります。また、Evening primrose のうち、昼間に咲くのを、英語で Sundrops(訳して、「太陽のしずく」?「太陽のドロップ」?)ともいいます。なお、Evening primrose を直訳すると「晩の桜草」ですが、サクラソウ科 Primulaceae サクラソウ属 Primula には、関係ありません。

マツヨイグサ属の植物の多くは、夜に咲いて朝方にはしぼむ一日花(一晩花!)ですが、うちの「太陽のしずく」は、名のごとく、昼間に咲いています。夜になればしぼむわけでもないみたい。夜間に咲いているかどうかを見るために、実際に、夜、庭に出たことはないのですが、次の日の花の様子から見ると、一日花ではないようです。

花を上から写したのをどうぞ。

2022.08.21撮影

マツヨイグサ属の系統と名称をまとめてみると、
上の段、左から、学名、和名(漢字表記)【中国語名】
下の段、英名

科名
Onagraceae アカバナ科(赤花科)【柳葉菜科】
Evening primrose family; Willowherb family

属名
Oenothera マツヨイグサ属(待宵草属)【月见草属】
Evening primrose; Sundrops

主だった種を拾ってみると次のようになりますが、和名、中国名が、
・「待宵草」なのか
・「月見草」「月见草」なのか
に、ご注目ください。

右端は、花の色。

・Oenothera rosea ........................ ユウゲショウ .........(夕化粧)...【粉花月见草】ピンク
・Oenothera speciosa .................. ヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)【昼咲月见草】ピンク
・Oenothera tetraptera .................. ツキミソウ ..........(月見草)...【四翅月见草】白
・Oenothera biennis ....................... メマツヨイグサ ...(雌待宵草)【月见草】黄
・Oenothera laciniata ..................... コマツヨイグサ ...(小待宵草)【裂葉月见草】黄
・Oenothera(elata x grandiflora)オオマツヨイグサ (大待宵草)【?】黄 *園芸種が野生化
・Oenothera stricta ....................... マツヨイグサ .......(待宵草)...【待宵草/线叶月见草】黄

この小さい「統計」からだけでは決定的なことは言えませんが、日本語では黄色のものを「マツヨイグサ(待宵草)」、そうでないもののうちのいくつかを「ツキミソウ(月見草)」と言っているのかもしれません。その点、中国語では押し並べて「月见草」、日本語で「マツヨイグサ(待宵草)」と呼ぶ種を「待宵草」と呼ぶこともある、という程度。

日本語では、「〜マツヨイグサ」と名前のついているものでも、「月見草」と言い習わしています。学問的な和名が、どのようにして、ほとんど「マツヨイグサ」になったのかの理由は知りませんが、あの一般に夜に咲く黄色い花を見て、「月見草」と呼んでいけないわけはないと思います。

「ツキミソウ」は花が白い、「マツヨイグサ」は花が黄色い、という区別の仕方は、たまたまではないでしょうか。第一、日本人の感覚として、月は「白」ではなく「黄色」では?

マツヨイグサ属の花には、黄色のも白のもあります(上には、白のは1種しか挙げませんでしたが)。もし、マツヨイグサ属の植物を、色で「〜マツヨイグサ」と「〜ツキミソウ」に分けるなら、今後、日本に入ってくるかもしれないマツヨイグサ属の植物の和名は、どうするのでしょうか。興味の持てるところです。

もう1枚、太陽の光線がわずかですが当たっているのをどうぞ。

2022.08.21撮影

マツヨイグサ属の中でも、メマツヨイグサ(雌待宵草 Oenothera biennis)のタネから取れるオイル「月見草油」(英語で、Evening primrose oil)が、民間薬としてですが、薬用とされます。主に、女性の生理障害や更年期障害に効果があるとされています。全く偶然なんでしょうけど、なんで和名が「雌」(雌待宵草)のタネなんだ? とは思いました。

次は、うちの「レモン・ドロップ」の、多分、今年最後の花。おととい、雨の中で撮りました。夏の間、花の開いたところに光が差したようにきれいに咲いてくれました。来年もまた咲いてくださいね。

2022.09.04撮影(2日前の記事「寒いよ、雨、最後のアジサイ」に掲載済み)

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