2021.09.08撮影
オトギリソウ(弟切草 Hypericum erectum)は、日本を含む東アジアに分布します。「弟切」という恐ろしい名前の由来については、次のWikipediaの記事をご参照ください。
冒頭にお見せした花は、「東洋の」オトギリソウのものではなく、セイヨウオトギリ(西洋弟切 Hypericum perforatum)のものです。花の右下の茶色いものは、果実です。
わたしの庭(カナダのバンクーバー)に自ら生えてきたもので、はあ、これが例の「セイント・ジョンズ・ワート」か、とつくづく思いながら、増えてくれるのに任せてあります。
学名 Hypericum perforatum
英名 Common St. John's wort「コモン・セイント・ジョンズ・ワート」
和名 セイヨウオトギリ(西洋弟切)
オトギリソウ科(Clusiaceae)オトギリソウ属(Hypericum)
英名の Common St. John's wort というのは、「聖ヨハネのありきたりな薬草」という意味です。オトギリソウ属の多くの種が、St. John's wort に何かを冠して呼ばれます。wort「ワート」というのは、「黄色い花の咲く薬草」という意味で、なぜ黄色がわざわざ他の薬草から区別されるのかは、わたしは知りません。「聖ヨハネ」を英語では St. John と言います。
属名の Hypericum ですが、これから取った「ヒペリカム」というのが、日本で園芸上の流通名として使われています。学名を本来の古典ラテン語式に読めば、「ヒュペリクム」です。
野草であるセイヨウオトギリの花は、1インチ(2.5センチ)ぐらいしかなく、園芸種の花のような大きさや派手やかさはありません。むしろ、汚らしい感じも受けます。それは、花びらに点がポツポツとついていて、その上、縦線も入っているからです。
次の雨に打たれた花の画像の方が、冒頭の画像でより、点と線がわかりやすいと思います。右下の終わった花で花びらがよじれているのは、黒い線がもっとはっきりと見えます。
2022.07.17撮影
葉にも、点々があるんですが、白い点と黒い点があります。白い点のところには油分があり、黒い点のところには色素があります。この黒い点のところがつぶされると、赤い色素が出てきます。この赤い色素が「血」として、使徒ヨハネに結びつけられたらしいです。
セイヨウオトギリは、また、ツボミや果実をつぶせば、赤っぽい、あるいは、紫っぽい液体が出るそうです。わたしはまだ試していません。開いた花では出ないそうで、それは、なぜ??
次の画像で、葉の点々(白と黒)をお確かめください。白い点の方が多く、黒い点は、主には、葉の外縁の方にあります。また、右下のツボミの黒い線もご覧ください。
2022.07.17撮影
以下の画像は、花が次々と咲く様子です。
2022.07.17撮影
セイヨウオトギリは、地上部分を刈り取って、乾燥させて、お茶や薬草にします。カナダでは、サプリメント類を扱う店で St. John's Wort としてよく売られています。
効能の程は、世界各地の種々の研究結果が相反しているようです。セイヨウオトギリは、他の古来からの薬草と同じように、多種の効能が挙げられますが、その中でも鬱状態を緩和するのに有用だとされます。
以下の画像は、その全草の様子です。葉の色がきれいです。
2022.07.06撮影
花と果実をもう一度どうぞ。果実は、冒頭の画像のより、青いです。また、花弁よりも長いぐらいのオシベが、華やかと言えば、華やかです。
2021.07.25撮影