ギター教室で、合奏に参加してくれと言われている。しかし、楽譜をもらって練習してみると、通常のギターの演奏と違い、マンドリン式のトレモロが主体なのだ。しかも、それをピックを使わず自分の人差し指の爪でやらなければならない。私は、それが非常に難しいと感じる。つまり簡単に言えば出来ないのだ。それなのに、去年初めて練習に参加したとき「上手な人の横に行って習え」と先生に言われ、私が練習会場に行くと、先生がわざわざ一番前の席を確保していた。その席で私は不慣れな練習をしたのだが、これが大きな問題の始まりだったのだ。別の練習会の日、休憩時間に一人で練習をしていると、誰か知らない人が近寄って来て「一人だけ目立つような行動はするな!」と、いきなり怒鳴られた。私は意味が分からなかったが、後で考えてみると、入りたての新人がいきなり一番前に行くものだから、いわゆる「センターポジション」を奪われると勘違いした先輩が、自分のポジションを守るため必死になって抵抗したのだろう。しかし、あんな誰も聞きに行かない、行ったとしても家族だけのつまらないギターの合奏で、すさまじいポジション争いがあるとは思わなかった。そこで私は考えた。時間がもったいないので、合奏は適当に参加して、教室の顔を立てつつも、あまり練習せず、へたくそに弾いて、センターは先輩方に譲り、本命の独奏曲だけ頑張ろう。そうすれば平和に解決するのだ。