絹糸のしらべ

一絃の琴、きもの、文学etc…日本人のDNAが目を覚ます・・・

ヴィリアの歌

2019年06月20日 21時57分00秒 | Weblog
ドイツのオペレッタに
「メリー・ウィドー」という演目がある。
陽気な未亡人、という意味だそうな。
 
その第2幕に出てくる歌の一つが
〝ヴィリアの歌〟だ。
 
森の中で、もし精霊を見たならば
その者の命はない、、、
そんな言い伝えがベースになっているのだろうか。。。
むかしむかし、
森で美しい妖精ヴィリアに出会った狩人は
恋の魔法にかかり、ヴィリアに恋い焦がれる。
命の果てる時まで、狩人は
ヴィリアを思い続けた、、、
 
まぁそんなとこでしょうか?
 
このオペレッタのヒロインは、
大富豪と結婚して1週間で寡婦となった
ハンナという美しい未亡人。
ハンナが手にした遺産の行方と
ハンナ当人が誰と結婚するのかが
ちまたの注目の的となる。
 
ハンナは、パリの自宅の庭園を
自分の故郷の田舎風にしつらえ
パーティを開き、
このお伽話の歌、〝ヴィリアの歌〟を歌う。
ハンナはこの歌に想いをこめる、、、
それはどんな想いなんだろう?
 
ハンナが妖精ヴィリア、元カレのダニロが狩人、
命の尽きる時まで、ヴィリアに恋焦がれる狩人のように、いまでもダニロが恋してくれていたなら、と願っているのだろうか。
 
第一幕から見ないとこの歌の真実が見えないようにも思えるが、
昔のオペラやオペレッタって、
あんまり理屈がしっかりしてないお話もある。
なんだこの終わり方?とか
ここでこうくるか?とか、、、
それでも、アリアは美しく切なく聴く人の心をうつのである。
 
ハンナは、ヴィリアではなく
むしろ狩人の気持ちでこの歌を歌っているような気もする。
遺産目当てと思われたくなくて、
愛しているのに
ハンナに素直な気持ちになれないダニロへ
〝この恋を叶えておくれ〟と
切なく訴えているのである。
おはなしの中のお話、なのに
この歌を聴いて涙を流す人もいるのは
恋の悲しみ苦しみが伝わった、ということではなかろうか。