FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<レッスン日誌>チームFCC合同練習会

2013-11-22 12:55:50 | クライミングレッスン報告
10月19日(土)
メンバー:コーヘイ(中2)、タクミ(中2)、たけくん(小4)

チームでは、毎月第3土曜日に全員が顔を合わせて一緒に練習する機会を設けている。

チームの子どもたちには大好きなクライミングを通じて是非とも身につけてほしいことがある。
それは、自分の能力を向上させて行くことの本当の大変さを知った上で、努力することの必要性や尊さに気付き、実践出来るようなメンタルを獲得すること。
それには先ず自分に向き合って、自らの足りない点をしっかり自覚しなければならない。

それは将来、生きる力の基礎となって、直面するであろう困難を乗り越えて行く重要な糧となるはずである
そしてこのことこそが、私がこの仕事をしていく上での最重要ミッションと考えている。


しかし、これらのことが実際に身につくように指導するのは、なかなか大変だ
先ず、顔を合わせるチャンスが少ないと子どもたちに自分の考えが届かない。そして通常のレッスンだけでは、対応しきれない。。。
チームの、この月1回の練習会は、そうした通常レッスンでの不足を補う時間でもある。
なので、必ず座学の時間を設け、そうしたメンタル面での指導を行っている。

さて、今日は運動会やら大会やらで出席者は3人。
タクミは9月末にボルダーのトライ中に怪我をして、今日は主に座学のみの参加だ。
でも、彼の提出した解答や会話の端々に、「今の自分に出来ることは何か」を真剣に考えている端緒が伺えて、少し嬉しい気持ちになった

・・・以前、定時制高校に勤めていたことがある。
そこに来る生徒たちの多くは望んでそこに来ているわけではなく、大多数の子どもたちは他に行き場がなくて。。。という状況だった。
すさんだ生徒たち。
タバコ、バイク、暴力団とのかかわり、ドラッグ・・・ありとあらゆる「非行」が生徒たちを取り巻いていた。
最初の頃、授業中は無法地帯で、立ち歩く子、抜け出す子、授業の途中で窓から入ってくる子、校内をバイクで走り回っている子・・・
けれど、授業を続けて行く中で痛感したのは、向上心のない子は一人もいない、ということだった。
彼らは不器用で、鬱屈した自分の心を持て余していたけれど、誰しもが「分かるようになりたい」「勉強したい」と切望していたのだ。
ひとたび彼らの信頼を得るや、授業風景は一変した。
全員教材を机に揃え、着席して授業開始を待ち、始業とともに全員がきちんと礼をして授業開始。
授業中は集中し、有益な質問が飛び交う。子どもたちは、見事に「化け」だ

指導をする上で、この時の経験は私の宝になっている。
向上心のない子どもは、一人としていない子どもたちを信じる

真剣に考えること、悩むことは成長に向かう第一歩である。
子どもたち・・・特に、自分の心のコントロールが求められるようになる中学生頃の心の成長は一筋縄ではいかない。
歯がゆいほど、行きつ戻りつ。。。多分、本人たちはもっと思い通りに出来ない自分の心に手を焼いているはず。。。
でも、子どもの力を信じて見守ろう

タクミは大好きなクライミングを通じて、自分に足りない能力を自覚し、補おうとし、もがいている。
そんなタクミの言葉は、やはり同じように自律的な心のコントロールに悶々としているコーヘイの心にも一石を投じたようだった

この時のミーティングを境に、コーヘイは「努力」を「実践」に移せるようになってきている

実技は、コーヘイはタクミのビレイでルートでの基礎体力トレーニング
腕を怪我しているタクミはトップロープで5.5を片手のデッドでトライしていた

ルートの途中で怖くなると先に行けなくなるたけくん。
近頃、ちょっとずつその殻を破りつつある
10cくらいのグレードは、そんなたけくんにとって立ちはだかる壁だ
でも、今日は10cが3本も登れた