HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

エターナル・サンシャイン

2006年05月22日 | 音楽・映画・本
人は失恋した時にあまりの胸の痛みに耐えきれなくて、ついつい「記憶を消してしまいたい」と思うことがある。もし、そういう事ができるなら、自分ならどうするだろうか?

この映画のジム・キャリー扮する主人公がケイト・ウィンスレット扮する恋人とある日喧嘩する。そして、しばらくして、その彼女が自分との記憶をまったく消し去る治療を受けたことを知り、がく然とする。まだ彼女を愛していた彼はそれが耐えきれなくて、自分もその治療を受ける事を決意する。

治療中、眠り続けている彼の中ではいろんな彼女との思い出が現れて、それが1つ1つ消されて行く。でも、それは楽しい思い出ばかりで、彼はその中で「治療をやめてくれ!」と逃げ回ることになる。記憶を消そうとする時、そこにはたくさんの楽しい思い出だけがよみがえる。

この治療院の受け付けにはあのスパイダーマンのヒロインを演じたキルスティン・ダンストや治療医の助手にロード・オブ・ザ・リングのイライジャ・ウッドなんかが登場する、妙にあれっと思う俳優たちが出ている映画でもある。

何よりすごいのはあのミッシェル・ゴンドリーが監督だということだ。ビヨーク、ケミカルブラザーズ、ホワイトストライプスなど数々のすばらしいPVを撮っている監督だ。

ゆえにやっぱりその映像がすごい。記憶が次つぎに消えて行って、展開していくあたりの構成・・・この映画をふつうのラブストーリーのように見ているとその目まぐるしさに混乱してくるかもしれない。理解に苦しむところもあるかもしれない。

でも、見終わって思うのは、人を愛するってことは素敵な事なんだな~っていう気持ち。

そして、記憶を消え去ったとしても、やっぱり人は同じ人に惹かれていくのではないかということ。

タイタニックの時と打って変わって、またネバーランドとも違うパンキッシュなケイトがかなり可愛いし、いつもはコミカルな誇張された役柄が多い、ジム・キャリーがシリアスに等身大というのかすごく身近にいそうな男性を自然体に哀愁を帯ながら演じていて、今まで見た彼の演技の中で一番好きかもしれない。

眠りの中で2人の思い出を消さないようにと戦っているジムと平行して、キルスティンの演じる受付嬢の悲しい愛が現実の世界の中で展開される。それも胸が痛くなる。

最後はどうなるのか・・・

それは見た人の感じ方なのかもしれない。

「どんなに辛かった恋であっても、思い出すのはやっぱり楽しかった事なんだ」という不変の人間の感情のゆくえ。

「人を愛することはやっぱり素敵だ」という温かい気持ちが見終わった後にさわやかに残るそんな映画だった。

ただ、ふつうの切り口の映画ではないので、頭を使わずに心で見た方がいいかも。

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