昔の事を話し出したらもう先が知れていると言われることがある。筆者もその年になってきたと言うことだろう。それでこれからしばらくの間、時々昔話を書くことにしたい。
太平洋戦争が昭和20年に敗戦を迎え、それから19年で日本は奇跡とも言われる復興を成し遂げた。そして昭和39年(1964)東京でオリンピックが開催された。世界の多数の国からたくさんのお客さんを迎えることができることを国民みんなが喜んだ。期間中の入場券は発売と同時に完売状態になり、手に入れることは大変困難であった。
筆者は、両親にオリンピックの雰囲気を見てもらおうと思ったが入場券を手に入れることができなかった。そんな時、勤め先大学の体育科のK氏が練習場でよければ入れてあげるといってくれた。それで指定の日に母を連れて代々木の体育館へ行った。指定された門のところにK氏が待っていて直ぐに練習場へ案内してくれた。練習場ではイタリアの選手たちが体操の練習をしていた。鉄棒競技の練習で選手がくるくる回る様や床でぴょんぴょん跳ね回っている様子を見て母は涙を流して感動していた。明治30年生まれの母は太平洋戦争中も含めて外国人に対しては異常なほどの恐怖感を持って過ごしてきた。その母が平和な社会になって身近にイタリアの体操競技の選手の練習風景を見て、恐怖感を忘れてしまうほど感動したことをみて筆者自身はそのことに感動した。
今、2020年のオリンピック開催を東京でという運動が展開されている時期に上のようなことを思い出した。