Y子がベッドから落ちた。
どうやって落ちたのか…、
Y子は、横ではなく、枕元の方へ落ちていた。
ベランダのある方に。
しかも、枕側にある柵を越えて…。
Y子は、目を覚まして、状況が飲み込めないような顔をしてきょとんとしていた。
「Y子!大丈夫?!」
「……私、なんでここにいるの?」
「私も見ていなかったからわからない…。けど、すごく唸ってた…」
「夢の中に、子供が出てきた…。髪の毛を引っ張るの…。」
「女の子?…男の子?」
「女の子。『痛い、痛い』って言うんだけど、声が出なくて…」
…だから、唸ってたのか…。
「力ずくで髪の毛を女の子から引っ張って離したら、今度は男の子が出てきて、やっぱり髪の毛を引っ張るの…」
Y子の髪の毛はそんなに長くない。
「…また『痛い、痛い』って言って、後ろに逃げるんだけど、壁があって…。でも、なんとか逃げ出したくて、壁を乗り越えて逃げた夢だった…」
その壁が、ベッドの枕側の柵だったのかも…。💦
「やっぱりふたり…夢の中に出てきた…」
「…うん。…だけど、夢だったことがわかったじゃない?今までは、夢が現実かわからなくて怖かったけど、悪い夢を見ているだけだってことがわかったじゃない?」
「…だけど、結局、ベランダに立ってる…ってことは、私は夢遊病ってこと?」
「……そうなのかも…💦」