「…変な夢を見るの…。」
「…変な夢?」
「最近、毎晩…。」
「…それで、眠れてないの?」
「寝ているような寝ていないような…。」
「どういうこと?」
「夢かも知れないし…」
「…現実かも知れない…?」
「…うん。」
「どんな感じの夢なの?」
「私が眠りにつくと…。あ、正確には、眠っているのか…それとも現実に起きている事なのかどうかわからないんだけど…。…目を閉じて少し経つと、ざわざわ…耳の奥に何かが聞こえて来るの…」
「ざわざわ…?」
「うん、ラジオのチューニングのような…」
「テレビの砂嵐のような?」
「うん、そう。…すると、何かがドスンと体全体に乗っかってくる感じがして…。」
「何か…って?」
「…わからない…。重たい何か…。特に胸の辺りにドスンと…」
「……」
「すると、次には、人の気配を感じて…」
「人の気配って、どんな?」
「呼吸っていうか、ゆっくりとした息づかい…」