虎に翼で思い出したこと

珍しく、あまり欠かすことなく『虎に翼』を見ていた。

そこで思い出したのが《尊属殺人》のこと。
尊属殺人罪が法の下の平等に照らし合わせて違憲である、という判決が下された年、私は大学生になった。

「原判決を破棄する。被告人を懲役2年6月に処する。この裁判確定の日から3年間右刑の執行を猶予する。尊属殺に関する刑法200条は普通殺に関する刑法199条の法定刑に比べ著しく差別的であり、憲法14条１項に違反して無効である。この見解に反する従来の判例はこれを変更する」by桂場さん

一般教養の『法学』の教授は当時、京大でも教えていたか、退官したばっかりか、とにかく京大教授であることを言いたがるようなところがあった。
最初の講義で、尊属殺人についてやっていきます。
みたいな話を切り出した。

今よりさらにおバカだった私は、尊属殺人という言葉すら知らなかった。　今ならこっそり机の下でスマホ検索するだろうけれど（笑）

その教授が続けて言うには『京大の生徒ならもっと難しい講義をするが、あなた方お嬢さんには（この程度の）軽い講義にします』的な挨拶をした。
すっごくバカにした失礼な言葉ではあるけれど、バカにされても仕方のないようなアーパーな私は、憤慨しつつも難しくなくてラッキーぐらいに思っていた。

今思うと、その教授は尊属殺人裁判の判決をずっと注目していたんじゃないかな。
晴れて違憲の判決が出されたのが、裁判年月日 昭和48年4月4日・・・ということなので、初めての法学の講義が始まるほんの少し前のことだ。

もうそれについて、語りたくて語りたくて仕方がなかったんじゃないかと思う。
京大だとやっぱり言いにくい事情もありそうだし。
私立のちっぽけな大学の・・・あまり政治や法など関心も持ってなさそうな『お嬢さん』の学校だから安心して喋れたんじゃないか？？と思うのはうがちすぎるか？

まぁその初っ端の挨拶だけが記憶に刻まれたものの、その後の講義の内容は全く覚えていないという残念な元お嬢さんがここに（笑）