以前勤めていた会社で色々と面倒を見てくれた先輩・Aさんから、30年以上前に聞いた話だ。Aさんが学生時代の事というから、もう40年近く前の事だと思う。今も存在している某居酒屋チェーンでアルバイトをしていた際、Aさんは店で行われる“信じられない行為”を、幾つも見たと言う。
Aさんはバックヤードで皿洗いや掃除を主に担当していたそうだが、「客が残した料理(サラダが殆どだったそうだが。)から、“使えそうな部分”を選り分け、他の客の料理に“再利用”している場面を何度か見掛けた。」と言っていた。
又、営業時間が終わった後、調理場の掃除をするのだけれど、「水分や食材等が落ちた床を、デッキ・ブラシでごしごしと洗う作業。」は、結構大変だったと言う。力を入れて行わなければいけないので、腰に来る事も在るので。
或る日、排水溝の上に置かれた金網をデッキ・ブラシでごしごし洗っていた所、他のアルバイトから「金網なんか汚れた儘、食器洗浄機に放り込んで洗っちゃえば良いんだよ。」と言われた。一瞬、冗談を言っているのかと思ったAさんは、「食器類が入っているんだから、そんな事出来る訳無いじゃないか。」と答えると、「熱湯で“殺菌”されるんだし、問題無いって。皆、している事だぜ。」と言い返されたそうだ。本当に皆がしている事なのかは判らなかったけれど、気持ち悪さを感じたAさんは、日を置かずに其処を辞めたと言う。
10数年前、所謂“バイトテロ”が多発し、大きな社会問題となった。そして今年、飲食店等で“悪巫山戯”の一言で片付けてはいけない様な悪質な行為をする馬鹿が多発している。実に腹立たしい事だけれど、「何時の時代にも一定数、こういう馬鹿は存在していたんだろうな。」と、Aさんの話から思う。携帯電話やインターネットが普及していなかった時代だからこそ、愚行が撮影される事も無く、又、ワッと拡散される事も無かった。詰まり、“可視化”されなかっただけの事ではないだろうか?
つい先日も、創業1865年、昭和天皇が宿泊したこともあるという福岡県の有名老舗旅館で、温泉のお湯の入れ替えが年に2回しか行われておらず、浴槽内からは最大で基準値の3700倍のレジオネラ属菌が検出されたというニュースがあったばかりです。
もう忘れかけていますが、2008年には高級料亭「船場吉兆」で賞味(消費)期限偽装、産地偽装、食べ残しの再提供(使い回し)等の不祥事が相次いで発覚し、廃業に追い込まれました。“ささやき女将”という別の話題でも有名になりましたね。
つまりは老舗、高級料亭といったメジャーな業界でもこんなバカな事をやってたわけですから、他の業者でももしかしたら見えない所で不衛生な手抜きをやってる可能性はもっとあるような気がします。
“バイトテロ”も、もしかしたら他のバイト先で会社自体のそんな不衛生な実態を見聞して、そんなら自分がやっても構わないだろうと思って実行した…そんな可能性もゼロではない気がします。SNSで拡散した事で発覚したけれど、拡散しない所でそんな行為はまだまだ広がっているかも…。あまり考えたくはないですね。外食する気が失せてしまいます。困ったものです。
3日前の記事「最悪の対応」(https://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/72ae253b6ed11f91fa80515e08379001)で触れましたが、二日市温泉・大丸別荘の一件は、「老舗なんだから、何でも許される。」という驕りが感じられてなりません。早急且つ真摯な対応が求められるにも拘わらず、全てを隠蔽&先送りにした。船場吉兆の一件(笑い事にしてはいけませんが、“囁き女将”の動画は何度見ても爆笑してしまいます。)だけでは無く、過去に数多くの不祥事が、好い加減な対応によって“最悪の結果”を導いてしまったというのに・・・人間って本当に“反省しない生き物”なんですね。
所謂“バイトテロ”が多発し、愚行をした者達が大きな社会制裁を受けたけれど、其れから時が過ぎ、そういう事実を知らない者達(知っていても、記憶が薄れて行った者達)が、再び愚行を繰り返す。インターネット・リテラシーを含め、親や学校が“教育の一環”として、子供達にきちんと教えなければいけないのでしょうね。