ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)の3つだが、「このミステリーがすごい!2024年版」が発表されたので紹介する。
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「このミステリーがすごい!2024年版【国内編】」
1位: 「可燃物」(著者:米澤穂信氏)
2位: 「鵼の碑」(著者:京極夏彦氏)
3位: 「あなたが誰かを殺した」(著者:東野圭吾氏)
4位: 「エレファントヘッド」(著者:白井智之氏)
5位: 「アリアドネの声」(著者:井上真偽さん)
6位: 「木挽町のあだ討ち」(著者:永井紗耶子さん)
7位: 「君のクイズ」(著者:小川哲氏)
8位: 「世界でいちばん透きとおった物語」(著者:杉井光氏)
9位: 「鈍色幻視行」(著者:恩田陸さん) / 「ちぎれた鎖と光の切れ端」(著者:荒木あかねさん)
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今回の10作品の内、実際に読んだのは「可燃物」、「木挽町のあだ討ち」、そして「君のクイズ」の3作品。
当ブログで何度も書いている様に、東野圭吾氏は大好きな作家の1人。「読みたい作品は、専ら図書館で借りる。」というスタンスの自分だが、東野作品に関しては例外的に、デビュー作から全て購入&蔵書している。当然「あなたが誰かを殺した」も“初版本”を購入しているのだが、購入してから2ヶ月以上経っているのに未読なのには理由が在る。「東野作品は購入しているので、何時でも読める。なので、他に図書館で借りた数多の作品を(返却日の関係から)先に読んでいたら、読む機会を逸し続けて来た。」のだ。幼い頃より速読派だったけれど、年齢を重ねて読むスピードが落ちた事も在り、実は未読の東野作品は他にも「透明な螺旋」、「マスカレード・ゲーム」、そして「魔女と過ごした七日間」の3作品も在る始末。先ずは「あなたが誰かを殺した」から初めて、残りの3作品も出来るだけ早く読みたいと思っている。
で、実際に読んだ3作品に付いてだが、「可燃物」(総合評価:星3つ)、「木挽町のあだ討ち」(総合評価:星4つ)、「君のクイズ」(総合評価:星3.5個)と自分は総合評価を下している。詰まり、今回の順位とは異なり、自分の中では「6位>7位>1位」と、「可燃物」が最も評価が低いのだ。
同じ“公民館”でも、地域によってシステムが結構違うんですね。悠々遊様の所の様に、ネットで全て完結するシステムは非常に便利では在りますが、其の一方で“普通の図書館”の様に「人気作は、借りられる迄時間を要する。」という事になってしまう。
自分の地域では、「ネット上で、何の公民館に、どういった本が入ったか。」は確認出来るのですが、予約は直接施設に行かないと出来ない。不便と言えば不便ですが、施設毎に「此の近辺で、新しい本が入るか。」が決まっていて、其の辺りで訪問すると直ぐに借りられたりします。普通の図書館では予約が千人単位なんていう人気作品も、待たされても精々数人という感じですから、本好きの自分にとっては非常に有難い存在。
とは言え、「ディープな本好きが、其処迄存在していない。」という証左にも感じられて、痛し痒しでは在りますが・・・。
以前予約した宮部みゆきさんの本は確かに1年以上待たされましたね(苦笑)。
売れっ子作家さんの本はともかく、図書館でしかお目にかかれないような本もあるので、一定数の購入需要がある図書館は、出版社や(あまり売れない)作家さんにとって、最後の砦になってるんじゃないでしょうかね。
昔は図書館で発掘してどうしても欲しくなった本は、改めて自費で買い求めるという事もありましたが、最近はそこまで惚れる本に出会えていません。
当方の拙いレヴューを参考にして戴いた様で、凄く嬉しいです。
「本を購入するのでは無く、借りる事が殆ど。」というのは、印税で生活している作家にとっては非常に申し訳無い事だとは重々思っているのですが、懐が寒い自分としては、どうしてもそうなってしまいます。
人気の在る作品、図書館だと借りる迄に滅茶苦茶時間を要しますよね。半年待ちなんて当たり前の世界で、中には1年近く先なんてケースも。
地域によっては異なるかも知れませんが、意外な穴場として「所謂“公民館の図書館”」というのが在ります。こういう所だと、図書館では半端無く待たされる作品でも、直ぐ、待っても数人という感じで借りられ、非常に重宝しております。
ゼロ・サム現象、所謂“小泉劇場”の頃から、其の傾向が強くなった様に感じています。「敵か味方か?白か黒か?」といった“二択”しか存在しないかの様な風潮は非常に危険だし、人々の思考能力を減じて行きますので。
又、「他者と同じで在りたい。」という同調意識も、結構広がってますよね。捻くれ者の自分なんぞは、「人が知らない名作を見付け出す事に喜びを感じる。」方なのですが、「無名な存在よりも、誰もが知る有名な存在が好き。」という人が本当に多い。
このうち「木挽町のあだ討ち」はgiants55さんのレビューを見てすぐに図書館に予約したのに、数か月待ちです。
今調べてみたら、あと2か月くらい先になりそう(苦笑)。
小説の評価も人それぞれ好みがあって、必ずしも評判どおりとはいかないでしょうが、一般人の評価と物書きのプロである人たちのそれが大きく乖離しているようなのも面白いですね。
小説に限らず漫画や映画などの表現物が、ある特定の一握りの作品に評判が集中し、それ以外は取り上げられることが稀という傾向が、近年ますます顕著になってきているようです。
それはユーチューバーなどの表現者についても同様で、このゼロ・サム現象とでも呼ぶべき傾向が「悪名は無名に勝る」とばかりに、一部の悪乗り迷惑系の跋扈を助長しているように思います。
多様性の時代との掛け声とは裏腹に、隠れた名作を掘り起こす努力が見られないのは残念な事。