先日、ライオンズの伊原春樹監督が“事実上の”解任をされた事に関し、「人心掌握は難しい」という記事を書いた。昨年オフ、ライオンズの監督に返り咲いて以降、無闇矢鱈と「規律」を口にし、時には選手がカチンと来る様な言動も少なくなかった伊原監督には、「遠からず、選手と抜き差しならない関係になりそうだなあ。」と懸念していたので、「案の定。」という思いが在る。
「人心掌握は難しい」という記事に対して、oumo様から御意見を頂戴した。伊原監督の“手法”に付いては疑問を感じていたが、「厳しい規律=悪」という安直な考えにも賛成出来ないでいた自分には、oumo様の御意見には共感出来る部分が在ったので、下に抜粋させて貰う。
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伊原監督の実質上の解任は残念です。彼の指導に、反発は可成り在ったと思います。
しかし、現状のライオンズを立て直す事を考えたら、仕方無い事だと思うのです。
渡辺前監督の方針では、或る程度の勝利を得る事は出来るかもしれませんが、日本一を得る事は難しいと感じていました。
規律が無いんです。渡辺前監督に。
或る程度の勝利で在れば、放任でも行けると思いますが、日本一を目指すので在れば、「個」以上の物が在る、という事を、リーダーが示す必要が在ると思います。
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監督就任初年度に日本一を達成し、6年間の監督生活で5年間はチームをAクラス入りさせた渡辺久信前監督。実績を見れば、決して悪い内容では無い。しかし、「優勝」という観点からすると、初年度以外は果たせていないのも事実。oumo様が指摘されているけれど、「“渡辺野球”というのは、『個』を尊重する一方で、『集団』という面に重きを置けなかった。」様に自分も感じていた。「個」を尊重するのは大事な事だが、集団競技で在る野球は、「集団」が確りと纏まっていないと、“一定以上の成果”を残すのは難しいだろう。
伊原監督の解任を受けた報道の中で、興味深い記事が在った。手元に元記事が無いので正確さには欠けてしまうが、「伊原監督は再就任以降、髭や長髪の禁止等、厳しい規律を次々に打ち出した事で、選手達から反発を食らったが、メジャーの名門ヤンキースも同様に厳しい規律で知られるのに、だからと言って其れ等が反発の種とはなっていない。過酷な試合を戦い抜き、そして世界一を達成するのは、生半可な事では無理。選手個々が厳しく身を律する事で、集団はより纏まり、他チームを引き離せる。だから規律は重要なのだが、問題は『何故、髭や長髪が駄目なのか。』を、選手達が納得出来る形で指導者が説明する事。選手達のプライドを尊重した上で、きちんと説明しなければいけない。」といった趣旨。報道を見聞する限り、伊原監督には「選手達が納得出来る形での説明」というのが出来ていなかった様に感じられ、其れが残念。
一昨日放送された「クローズアップ現代」は、「シリーズ 人手不足ショック① 見直し迫られる企業の戦略」というタイトルで、概略は以下の通り。
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今、様々な業種で「人手不足」が深刻化している。千葉・幕張では、巨大ショッピング・センターや物流施設が建設され、飲食業等でアルバイトやパートの奪い合いが過熱。其の結果、周辺の郵便局では、仕分けを担当するパート従業員が集まらないという、言わば、人手不足の“玉突き現象”が起きている。企業の間では、人材戦略を転換する動きも始まっている。ユニクロは、3万人居る非正規社員の半数以上に当たる1万6千人を、地域正社員にする事に。又、従業員のスキル・アップに力を入れる事で、アルバイトの定着率を上げる事に成功した飲食チェーンも。深刻化する人手不足の実態と、変わり始めた企業の人材戦略を追う。
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時間の都合で一部しか見られなかったのだが、強く印象に残ったのは「チェーン展開している某居酒屋店舗に於ける、アルバイト店員に対する“指導者”の接し方。」だった。「直ぐに辞められたら困るので、兎に角褒める。叱らないで、褒めて成長させる。」という考えが根底に在るのだが、「凄いねえ、君は。出来る子だと思ってたけど、流石だねえ!」と阿り捲る様な言葉の連発。
「厳しく接する事で、相手を成長させる。」という“指導”を受ける事が多かった自分には、「へー。」という意外さが在るけれど、「褒めて成長させる。」という事も重要だとは思う。唯、「ずっと褒め続けていると、其の時々の一言、一言が褒めた事にならないし、軽くなって行く様な気がした。」と此方で書かれているが、此の点は同感だ。
話を伊原監督に戻す。昨年10月の秋季練習初日、伊原監督と主砲の中村剛也選手との遣り取りが大きく取り上げられた。
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中村選手:「知りません。」。
伊原監督:「140円だよ、140円!初乗り料金を知らないなんておかしい。皆、高い給料貰っているけど、140円から始まっているんだよ。」。
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「芸能人やスポーツ選手は、概して社会人としての常識に欠ける部分が在る。何れだけ高額を稼いでいても、社会人としての常識は身に付けていなければいけないし、何よりも自分達を支えてくれているファンの生活を理解していないと、軈てはファンから見放されてしまう。」という親心から、芸能人やスポーツ選手に対して“指導者”が、「電車の初乗り運賃を知っているか?」と聞くのは、昔から良く在るパターン。伊原監督にも、そういった親心が在ったのだとは思うが、此の件に関して或る新聞記者が書いていた。
「伊原監督の思いは判るのだが、ICカード乗車券を利用している自分の場合、初乗り運賃を聞かれても答えられない。」。
嘗ては“常識”だった事でも、今では必ずしも“常識”と言えなくなってしまった事も在る。指導法も、時代の移り変わりと共に、変えて行かなければいけない部分も在り、「人」を育てる事の難しさを痛感。
「筆者はICカードを使用している」というのがオチとして成立すると思ってるなら、「ある新聞記者」さんの頭の中身は、ちょっと陳腐過ぎると思うんですが。そういう人が弱いものイジメ、伊原叩きとか原叩きして日銭稼いでいるんでしょうか。
ICカード乗車券云々の元記事、丸めて書いた事も在ってニュアンスが伝わらなかったと思うのですが、基本的には伊原監督に対して同情的な内容で、ICカード乗車券の部分も、「自分が選手の立場で、突然聞かれてしまったら、恐らくは答えられないので、困ってしまうなあ。」といった感じの書き方でした。何方かと言えば伊原バッシングの立場での報道が殆どの中、同情的な記事で在ったので、自分としても取り上げた次第です。
又、自分(giants-55)としても、伊原氏の目指していた方向性自体は必ずしも間違いでは無かったと思っており、問題が在るとしたら「『手法』と『言動』が、時代的にやや合わない分が在ったかもしれない。」という点。選手達に阿る必要は無いけれど、時代の移り変わりで“変化”させなければいけない部分が在ったのではないかというのが、自分の考えです。
今後とも、何卒宜しく御願い致します。
そういう事実があると
プロ野球界も行き過ぎ、やりすぎな感じがしますね。
人手不足の話もありますが
成果主義、消費税増税、ブラック企業がこうも多いと
逆にこういう結果に陥るのではないでしょうか。
値上げになればお客はモノを買わない。
ブラック企業や残業代ゼロ法案がまかり通れば
成果主義がまかり通れば
働く人は働く気が起きなくなる。
人材も不足することになりかねない。
面接したい人たちがいくら面接で熱意をアピールしても不採用になるなんてことが増えていく。
それでなくても難しい資格や条件をつきつけて
くるのですからたまったものではない。
プロ野球の世界でも監督や選手が欠けたら
代わりの人を探すのは難しいわけだし
そういう人手不足がどうのこうのの話が出てくる。
ましてやペナントレースの途中に
監督や選手が欠けたら
プロ野球ファンは混乱するだけですよね。
星野監督は体調不良で休養してるし。
谷繁は中日ドラゴンズの選手兼監督だし。
プロ野球独特のこういう成果主義も
原因ではないのかな。
あとはプロ野球界も含めて人をあまりにも
信用してない社会の構造、そういう世の中の流れも
問題ではないかと思うのです。
今回の記事は「選手」を育てる「監督」の難しさを書いたのですが、「監督」自身も育てなければいけないんですよね。1つの組織を掌握し、育て上げるには、其れ形の年月が必要。監督もフロントもファンも、或る程度長期的な視野で捉えていかないと、才能が在っても腐らせてしまい兼ねない。勿論、端から駄目な人材は論外ですが。