ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

権利は○○○に及ぶ

2008年11月23日 | 其の他
自分が手塚治虫氏の大ファンで在る事は、当ブログでも何度か書いて来た。彼の作品から得た知識、そして彼の作品が“導入部”となって得た知識は厖大な量で、彼の存在が無ければ今の自分は無かったと言っても良い。存命ならば、今年で傘寿を迎えた手塚氏。それを記念して早稲田大学大隈講堂で開催された「手塚治虫ファン大会2008 in 早稲田」というイベントに、同好の士と参加した。

以前勤務していた会社の同僚が早稲田OBで、彼に連れられて何度か早稲田界隈散策した事が在る。今から二十年近く前の話だが、その頃は未だバンカラな雰囲気の学生が僅か乍らだが居り、何とは無しに親しみを感じた物だが、昨日構内をぶらりと歩いた限りでは、今風の大学生で溢れ返っていて一抹の寂しさを感じた。

大隈講堂に足を踏み入れたのは、今回が初めて。大学入試で無謀にも早稲田を受験したものの、アッサリと“拒否”されてしまった学生時代。何ともほろ苦い思い出が在り、見学する事も無いままにこの年迄来てしまった。映像では何度も目にしている外観だが、重要文化財に指定されているだけ在って、ゴシック様式で歴史を感じさせる作り。昨年に内部を大幅改装した様だが、以前の姿がどんな風だったのか生で見れなかったのが残念。

肝心なイベントだが、豪華なゲストに魅了された。手塚氏の少し後輩という事で「ちばてつや氏(「ハリスの旋風」、「あしたのジョー」、「おれは鉄兵」等が好き。)と水野英子さん」が、そして手塚氏のアシスタントを務めていた「三浦みつる氏(「The・かぼちゃワイン」の“エルちゃん”が可愛かった。)と石坂啓さん」という、漫画好きには堪らない顔触れ。アトムの声を長年担当して来られた清水マリさんが、御元気な姿を見せていたのも嬉しかった。

以前紹介させて貰ったが、「手塚作品の中でも実写化が難しい作品」と思っていた「MW」が来年公開となるが、その一場面を見られたのも収穫。又、同様に「鉄腕アトム」をCGアニメ化した「Astro Boy」も来年公開予定で、これも一場面を見る事が出来た。手塚氏の没後20年に当たる来年に、彼の作品をモチーフとした映画が2つも公開されるのは非常に楽しみ。

イベントの最後、手塚氏の長男で在る手塚眞氏が面白い事を語っていた。「Astro Boy」の制作に当たり、香港ロサンゼルスに拠点を持つCGアニメ・スタジオ「Imagi Animation Studios」と契約を結んだ際の逸話だが、「権利関係」の条項に目を通した彼は或る部分に驚かされたと言う。「この映画に関する権利は、○○に及ぶ物とする。」という部分で、彼は「全米及び日本」とか「全世界」という用語が書かれていると思ったのだが、何と其処には全宇宙と記されていたのだとか。近年のハリウッド映画では、この手の条文が珍しくないとか。スペースシャトルで人類が宇宙に飛び立っている今、「諸権利が全宇宙に及ぶ」となるのも時代の流れなのかもしれない。「ガラスの地球を救え!」と訴え続けていた手塚氏が存命だったならば、この条文に感慨を覚える事だろう。

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6 コメント

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手塚さん (雫石鉄也)
2008-11-23 17:00:38
私も、手塚治虫で育った世代です。
一度だけ手塚さんにお会いしたことがあります。
大阪でのSF大会のおり、私も主催者側に関わっていて、ゲストでお呼びしました。お会いして、ご挨拶をさせていただきました。
イベントに手塚さんを、お呼びすると、ギリギリまで予定が判らず、主催者はやきもきすることが多いようです。
でも、SF関係のイベントは、できるだけ出席するように心がけておられたようです。
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Unknown (マヌケ)
2008-11-23 18:32:54
特許や著作権、版権、肖像権など、今はとても難解な契約が必要で、法律もずいぶんと難しくなっていて、グローバル化して、そのためだけに部署があるくらいです。 昔はちゃんとしていかなったとか、なあなあだったことから損したり、儲け損ねたり、訴えられたりと、権利ビジネスが確立していたアメリカからなんですけど、その権利関係について文書化する時にもユーモアのセンスがあるところがアメリカらしいですね。 特に日本はアメリカ企業からの訴えで痛い思いをたくさんしていますし、中国や韓国、台湾なんかに荒らされて来た苦い思いも多いですよね。 レコードやカセットテープで作品を残すことをひたすら拒否してきたオペラ歌手がリサイタル会場で不正に録音された音源を聴いて感動し、老いから来る生の声の不安もあって最後は音楽会社と契約することになります。 そこに至るまでに海賊版事件や音源の奪い合いにマフィアまでからんだミステリー作品が昔ありました。 シンシア・ホーキンスという歌手とその声を心の底から耽溺するファンの青年が不正録音した行為を「私はビートルズじゃないのよ」と最初は怒りを持って罵ったのですが、彼の熱狂的な行為に折れてしまいます。 作品はファンのもの。 私一人のものではない。 素晴らしいものは広く多くの人が触れられることでその素晴らしがより輝く。 そんな内容を思い出しました。 国松さまのお通りだい!懐かしいですね。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2008-11-23 21:31:25
書き込み有難う御座いました。

日本では考えられない様な、馬鹿げた裁判が少なくないアメリカですが、「全宇宙に及ぶ」という表現は、その可能性がゼロで無いとは言え、何処かユーモアのセンスを感じますよね。

世界に誇れる日本文化の一つ「カラオケ」も、考案した人物は特許を取っていなかったので、全く利益を享受出来なかったとか。でも、「妙に特許を取得していたら、こんなにも世界的に普及していなかったと思うし、結果的に良かったのではないか。」と当人が笑って話していたのを見て、大人物だなあと感心しました。
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Unknown (tak)
2008-11-24 14:36:36
そっかぁ、著作権が有効な年数内に宇宙空間での上映?やなんやらがあるかもしれませんものね。それこそ手塚先生が思い描いていた宇宙時代がもう直ぐそこに、そしてそれが自身の作品の契約条項に記載されているとは。。。
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>tak様 (giants-55)
2008-11-24 15:37:53
書き込み有難う御座いました。

そうなんですよね。手塚眞氏もチラッと話しておられたのですが、宇宙空間での上映っていうのも、最早夢物語では無い時代になりましたからね。60年以上前から、未来世界を描き続けて来た手塚氏。その中には、現実化した物も結構在ります。もし存命だったら、今の世の中をどう描くかも興味在りますね。
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マキャヴェリスト (Mars)
2008-11-24 22:05:33
こんばんは、giants-55さん。

私はマキャヴェリの信奉者ではないですが、彼から学ぶべき点は少なくないと思います。

マキャヴェリといえば、目的の為には手段を選ばないと思われがちですが、最終的に追い詰められた場合のみで、それ以外は正論すぎる位、正論なのです。

果たして、彼が生きていたフィレンツェの状況と、我が国の状況は、同じように見えてくるのですが、、、。

(特許や著作権、版権、肖像権、人権など我が国の権利は、何時まで持つのでしょうか、、、)
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