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「外来水草『長柄蔓野鶏頭』 関東以西で猛威、20府県に侵入」(7月11日、日本農業新聞)
農業現場に深刻な被害を齎す外来水草、長柄蔓野鶏頭が少なくとも20府県で確認されている事が判った。繁殖力が強く、溜池や農地に一度侵入すると、根絶は困難。大繁殖して、水稲の大幅減収や農業水利施設の目詰まりを引き起こす。“地球上で最悪の侵略的植物”とも呼ばれ、農業関係者は警戒を強めている。
長柄蔓野鶏頭は南米原産の多年草で、国の特定外来生物に指定されている。最大の特徴は繁殖力の強さで、「僅か2cm程の断片からでも、芽や根を出して増殖する。」ので駆除が難しい。発生農地で草刈り機やトラクターを使うと、散らばった植物片から爆発的に増える恐れが在る。
国立環境研究所によると、1989年に兵庫県尼崎市で初めて発見されて以降、現在迄に千葉、神奈川、静岡、滋賀、京都、大阪、兵庫、徳島、香川、福岡、佐賀、熊本、鹿児島、沖縄の14府県で分布を確認。更に、日本農業新聞が7月上旬、各県に聞き取り等を行った所、同研究所が把握する以外に茨城、三重、奈良、島根、山口、長崎の少なくとも6県で確認されている事が判った。
農水省は「千切れた植物の塊が、水路や揚水ポンプを詰まらせる被害が大部分を占める。近年、被害は増えている。」(植物防疫課)と指摘。又、水稲を倒伏させて、収量や品質を低下させる被害も懸念されており、「昨年度、農地への侵入を初めて確認した。」(茨城県)といった声も在る。
「全国で最も溜池密度が高い地域」とされる兵庫県の淡路島。島中西部に在る農業用溜池「本田池」(洲本市)でも、長柄蔓野鶏頭が深刻な被害を齎している。
「実は、此処は溜池なんです。」。本田池を管理する地域組織のメンバー、岡本賢三さん(60歳)は、辺り一面に広がる“草叢”を見詰めて、こう話す。
本田池で長柄蔓野鶏頭が初めて確認されたのは昨年10月。近隣の溜池に比べて水草が異常に繁殖している事に違和感を感じ、県に問い合わせた所、発覚した。当時は池の3割を覆う程度だったが、現在では略全面を埋め尽くす程に増殖。水面は殆ど見えず、辺り一面に草叢が広がっている様に見える。
県は「現状、本田池への侵入経路は、良く判っていない。」(自然環境課)と話す。
県によると、島内では現在、本田池と其の下流に在る大久保池の2ヶ所で生息を確認。更に長柄蔓野鶏頭は、水草で在るにも拘らず、陸上でも繁殖出来、6月には本田池周辺の畑に広がっているのが見付かった。
本田池では現在、地域住民が県や市民団体と連携して、駆除に取り組む。池に遮光シートを張って光合成を阻害し、枯死させる。本田池を取水源としていた水田約1ヘクタールには、別の溜池から水を送る。唯、其れでも駆除迄、数年程掛かると言う。
岡本さんは「一度侵入すれば、根絶は極めて難しい。此れ以上、被害を広げない為にも、関係者が一丸となって封じ込めに動く必要が在る。」と訴える。
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8年前の記事「北海道には元々居なかった」で書いたが、外来種の動植物による被害は大きな問題になっている。日本だけでは無く、例えば「アメリカでは(アメリカにとって)外来種で在る葛が大繁殖していて、其の処理に頭を悩ませている。」という話も。「元々、アジア圏を生息地としていたが、或るアメリカ人が本土に持ち帰った事で、現在の大繁殖に到っている。」との事。
葛も根絶が困難という事だが、長柄蔓野鶏頭は其れ以上の様だ。
原産地ではどうなっているんでしょうかね。
繁殖を抑える天敵のような生物がいるのかな。
厄介外来種を単に駆除するというだけでは、コスト面からもなかなかはかどらないでしょうが、食料化など有効利用できる方法が見つかればいいですね。
実は此のニュース、1週間程前だったでしょうか、ラジオ番組で取り上げていました。其の際、記憶違いで無ければ、「海外では“天敵”の昆虫が存在しているので、異常繁殖には到っていない。『日本でも、其の昆虫を持ってくれば良いのでは?』と思われるでしょうが、日本の場合は其の昆虫が食する”別の食材”が存在する等、上手く機能しないと言われています。」との事でした。今回改めて調べた所、其の昆虫は「薊馬」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B6%E3%83%9F%E3%82%A6%E3%83%9E)という名前の様です。
本種の防除対策として、アメリカ合衆国では1960年代頃からアザミウマなどを利用した天敵導入が行われている