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「火を使って狩りをする鳥の存在が確認される」(1月22日、GIGAZINE)
「火を扱えるのは、人間や一部の猿等の高い知能を備える動物に限られる。」と考えられて来ましたが、「オーストラリア北部に、火を使って狩りをする鳥が3種類も居る。」いるという研究発表がされています。
オーストラリア北部に生息する「Milvus migrans(鳶)」、「Haliastur sphenurus(フエナキ鳶)」、「Falco berigora(茶色隼)」の3種類の猛禽類が、獲物となる小動物を誘き出す目的で火を扱っている事を明らかにする論文が発表されました。研究者によると、鳥は火の点いた枝を咥えて運び、叢に投下して火を広げる事で、其の周辺に住む小さな哺乳類や蜥蜴、昆虫を逃げ出させてから狩るとの事。鳥は単独や集団で、狩りに火を利用している事が確認されています。
オーストラリアのノーザンテリトリーには、古来から「火を運ぶ鳥」の存在が伝承されており、アボリジニーの中には「伝統的な儀式の中に、火を運ぶ鳥を模写した物を持つ種族。」も在るそうです。火を運ぶ鳥は、オーストラリアの東海岸から西海岸に掛けた北側の地域に広く知られる等、オーストラリアでは其の存在は、広範囲で知られていた様です。鳥類学者のボブ・ゴスフォード氏は今回の発見に付いて、ノーザンテリトリーのアボリジニー・グループに話した所、殆どのグループが発見の確かさを満足気に認めたそうです。
オックスフォード大学のアレックス・ケースリンク氏によると、「鳥は山火事等が発生した時に、多くの動物が逃げる事を見て、其の行動を学んだと考えられる。」との事。更に、「火から逃げるという小動物の習性を利用して狩りをするという行為を、若い鳥が見て学んだ結果、火を使った狩りが代々受け継がれて来ているのではないか。」と推察しています。
此れ迄ヨーロッパでは、「火を使う鳥に関するオーストラリア原住民の伝承は、科学的な文書が存在しないという事を理由に、認められて来なかった。」との事。然し、今回の研究は、人間以外の動物では殆ど観察されていない火を使う動物が居る事とを示している点で、ケースリンク氏は非常に魅惑的な物で在ると評価しています。
尚、オーストラリアで発生する大規模な火事は、人間の行動や雷が原因だと考えられいましたが、火の点いた枝を使って火を広げ様とする鳥の行動が原因で在る可能性も指摘されています。
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「熊等、狂暴な動物から身を守るには、彼等が怖がる火を点けておけば良い。」と昔は言われていた。然し、何年か前に「熊は、火を恐れない。火を点けている事で、却って此方の存在を熊に教えてしまう事になる可能性も。」という話を知り、「へー。」と思った物。
「オーストラリアに生息する3種類の鳥は、火を使って狩りをする。」という今回の研究発表には、同様の驚きが在った。彼等が自分自身で火を点ける事は出来ないだろうから、飽く迄も自然発火や人間が点けた火を利用するという“受動的な火の利用”という事になる。狩りをするタイミングは、或る意味“他者任せ”となろうし、又、「“現場”迄の距離によっては、火を運ぶのも大変だろうな。」という思いも。