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東京都内で、バイクを利用したコンヴィニ強盗が連続発生。然も、国道246号沿いに集中している。警視庁の覆面捜査バイク・チーム「トカゲ」にも召集が掛かる。上野数馬(うえの かずま)と白石涼子(しらいし りょうこ)は、捜査本部が置かれた世田谷署へと急行、新設されたIT捜査専門組織・警視庁捜査支援分析センターも総動員されるが、解決の糸口が見付からない。漆黒のライダーは、何処へ消えたのか?
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今野敏氏の「TOKAGEシリーズ」。其の第3弾に当たるのが、今回読了した「連写 TOKAGE3 特殊遊撃捜査隊」。
国道246号沿いに在るコンヴィニ店に、バイクを利用した強盗が連続して押し入るのだが、最初の3件は略1週間置きに、そして3件目から4件目迄は2週間の間が空いて発生するも、其れ以降は犯人側の動きがピタッと止まってしまう。警察による警戒が厳しくなった事も理由として考えられたが、単なる強盗にしては不自然な点も少なく無く、捜査陣は困惑させられる。犯人達の“本当の目的”に関しては「成る程。」と思わされたが、事件の解決に繋がる経緯に関しては御都合主義的な面が在り、鼻白んでしまった。
新聞記者として中堅所の湯浅武彦(ゆあさ たけひこ)と、彼が教育係を務める若手の木島(きじま)との遣り取りは、何処の組織にも見られる“ジェネレーション・ギャップによる噛み合わなさ”が在り、身につまされる。自らは動こうとせず、指示されても一々不平や不満を口にする木島に対して、「此奴は、新聞記者としての適性が無い。早く辞めた方が良い。」と思っていた湯浅だが、木島の主張にも理が在ったり、彼形の考えが在る事に気付き、自身の価値観に疑問を感じたりするのが面白い。又、湯浅の手法に彼此と不平や不満を口にし乍らも、取り入れるべき点は取り入れている様な、木島の強かさも中々で、此の組み合わせは結構良いのかも。
残念なのは、他のキャラクター達が、今回の作品に関して言えば、存在感が充分に出し得ていなかった事。「トカゲ」というバイク・チームの特殊性を、もっと打ち出しても良かったのではないだろうか?
ストーリー的には、「こんなもんかあ・・・。」という感じで、今野作品にしては物足りなかった。総合評価は、星2つとする。